当初申告要件って何だろう。

当初申告要件という言葉は聞いたことがない方もいるかも知れませんが、税務上のさまざまな規定の適用を申請する際に、最初に提出した確定申告書に金額を始めそれらに関する記載が要件とされているものをいいます。

所得税において当初申告要件が廃止されたもの

所得税において、当初申告要件が廃止されたものには次のようなものがあります。

これにより、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合であっても、 修正申告書や更正請求書に適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した書 類を添付することにより、修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を 受けることができることとなりました。

給与所得者の特定支出の控除の特例(所法57の2)

資産を譲渡して保証債務を履行した場合の所得計算の特例(所法64)

純損失の繰越控除(所法70)

雑損失の繰越控除(所法71)

変動所得及び臨時所得の平均課税(所法90)

外国税額控除(所法95)

資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入(所令182の2)

※ 平成23年12月2日の属する年分以後の所得税から適用されます。

法人税において当初申告要件が廃止されたもの

法人税法における受取配当等の益金不算入制度や所得税額控除制度などにつ いては、確定申告書等(確定申告書及び仮決算をした場合の中間申告書をいう。以下同じ。)に、その適用を受ける金額など一定の事項を記載し た場合又は一定の書類を添付した場合に限り、適用することとされていました (以下これを「法人税法における当初申告要件」という。)(旧法 23⑦、68 ③等) 。 これにより、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には、修正 申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることはできないこととさ れていました。 (注) これらの制度には、一定の書類の保存が要件とされているものが あります。

次に掲げる制度について、23 年 12 月改正により、法人税法における当初 申告要件が廃止されました(法 23⑦、68③等)。 これにより、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合であっても、 修正申告書や更正請求書に適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した書 類を添付することにより、修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を 受けることができることになりました。

受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)

外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)

国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)

会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法法59)

協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法法60の2)

所得税額控除(法法68、81の14)

外国税額控除(法法69、81の15)

公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例(法令73の2)

引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例(法令113)

特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の5倍要件の判定の特例(法令113の2)

特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例(法令123の8)

特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例(法令123の9)

※ 平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税から適用されます。

相続税において当初申告要件が廃止されたもの

相続税において、当初申告要件が廃止されたものには、次のようなものがあります。

配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)

贈与税の配偶者控除(相法21の6)

相続税における特定贈与財産の控除(相令4)

※ 平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来する相続税又は贈与税から適用されます。

まとめ

外国税額控除とか、受取配当の益金不算入とか、外国子会社から受ける配当の益金不算入とか当初の経済関係を歪めているものの救済措置を認めているものはありますが、

労働者の人は、いくら当初申告要件といっても、自分の税負担を軽くするものは、最初の申告のときに申告できるものは、申告しておくことが重要です。