[事実関係]

上告人の父は、昭和63年11月18日、ゴルフ会員権を購入し、A株式会社に代金1,200万円を支払い、同ゴルフクラブの正会員となった。

上告人は、平成5年7月1日、その父から本件会員権の贈与を受け、同社に名義書換手数料82万4,000円を支払って、同ゴルフクラブの正会員となった。

上告人は、平成9年4月3日、株式会社Bに本件会員権を譲渡し、譲渡金額100万円とした。

本件会員権の譲渡に係る所得金額の計算において、上記の会員権の代金1,200万円及び本件手数料82万4,000円を資産の取得費として、総収入金額を100万円としてそれぞれ計上し、その差額の1,182万4,000円を総合課税される所得税法33条3項2号所定の長期譲渡所得の金額の計算条生じた損失の金額として申告したところ、被上告人を通じて所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を受けた。

裁判所は、下記のように判示した。

法60条1項は、居住者が同項1号所定の贈与、相続(限定承認に係るものを除く)又は遺贈(包括遺贈の内、限定承認に係るものを除く)により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の計算において、その者が引き続き当該資産を所有していたものとみなす旨を定めている。

同項の規定により、受贈者が当該資産を取得するのに要した費用が引き継がれ、課税を繰り延べられた贈与者の資産の保有期間に係る増加益も含めて受贈者に課税されるとともに、贈与者の取得の時期も引き継がれる結果。資産の保有期間(法33条3項1号、2号参照)については、贈与者と受贈者の保有期間が通算されることとなる。

この規定は、受贈者の譲渡所得の金額の計算において、受贈者の資産の保有期間に係る増加益に贈与者の資産の保有期間に係る増加益を合わせたものを超えて所得とすることを予定していないとしうべきである。そして、受贈者が贈与者から資産を取得するための付随費用の額は、受贈者の資産の保有期間に係る増加益の計算において「資産の取得に要した金額」(法38条1項)として収入金額から控除されるべき性質のものである。そうすると、上記付随費用の額は、法60条1項に基づいてされる譲渡所得の計算において「資産の取得に要した金額」に当たると解すべきである(最判平成17年2月1日)。

[解説]

当該法人資本が労働力商品を購入して、購入した労働者に貸し付けて労働を疎外して得た利潤に至る過程における生産手段が、ゴルフ場の労働者の労働が疎外されたことを土台とした権利に付された価値の引渡しを受ける前に、支払った現金に付された価値である。預託金に付された価値を超える、いわゆるプレミア分に付された価値は、ゴルフ場の労働力商品を購入することなく労働の疎外を土台にして産み出された利潤に、他の経済実体に引渡される前に付され確定した価値であり、架空資本たる会員権商品を引き渡して配当を受け、受け取った現金に価値が付されたものである。ゴルフ会員権を使用することなく他の経済実体に引渡したのであれば、引渡しの前の段階に、受け取った現金に付される価値全てが配当となり、原価はないと介さなければならないであろう。

譲渡所得課税の趣旨、納税者の納得云々は、実体のない観念であるから、事実関係の確定、法の解釈、適用の過程において交渉不要である。付随費用と属性が付与された紙切れには、現金の属性も備わっていないし、収入から控除されるべき性質は備わっていないから、正確に言うと「控除されなければならないと評価されるもの」である。