酒類販売法人のA社の株主であり、原告甲の母、原告乙の祖母である丙が、その付与された不動産賃貸業C社の持分を、何れも同族会社であり、何れも原告甲、原告乙が株主となっているA社及び不動産賃貸業B社に譲渡したところ、税務署長は、時価より著しく低い価額での譲渡であり、譲渡によりA社及びB社の株式等の価額が増加したところから、相続税法9条により、原告甲が丙から贈与されたとみなされ、上記後になされた原告甲から原告乙へのB社の持分の贈与について、同法9条により、その譲渡によって原告乙が丙から贈与されたとし、贈与税の決定処分等、及び更正処分等を行った。

裁判所は、「同族会社に対する時価より著しく低い価額での財産の譲渡により、会社の資産が増加した場合には、会社の株主又は社員は、株式又は出資の価額が増加することにより、実質的にみて、譲渡をした者から、増加に相当する金額を贈与により取得したものとみることができる。

そうすると、このような場合、同法9条のいう著しく低い価額の対価で収益を受けたものと認められるから、相続税法9条の9-2(4)の定めは、同法9条に該当する場合の例示として適当であると言うべきである。

財産評価通達188(1)を形式的に適用すると、C社は、原告甲及びB社の同族関係社者には該当しない。本件の原告甲及びB社とC社の関係のように、前者が後者を実質的に支配する関係にある場合において、同基通188(1)及び法人税法施行令4条2項を形式的に適用することは、同通達188及び通達188-2の趣旨にもとるというべきであり、上記の場合には、後者を前者の同族関係者とみることとするのが相当であり、その点において、同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるというべきである」とした(東京地判平成26年10月29日)。

丙の夫は、A社株と土地建物を出資してC社を設立し、C社と取引関係のあった13社にA社株を購入させた。丙は、17年3月31日にC社株をB社に引渡し、同年5月9日に、原告甲は、B社株を原告乙に引渡した。その後、平成17年3月31日から、13社は、B社にA社株を引渡した。丙は、B社を持株法人にした。

持株法人は、労働力商品を購入することなく、投融資した法人の労働者の労働を疎外する。持株会社の資本は、丙が、賃借している経済実体の社員の労働の疎外を土台として得た利潤を紙切れに低い価値を付して、疎外した労働に付与された価値の全てを分配することなく、得たということになる。

持株法人の資本は、財団や社団という属性を付与しようとも、傀儡ではない。財団であろうと、一般社団であろうと、それら資本を含め、法律行為により社会に、利潤を実体あるものとして認めさせている。

188(1)の趣旨と交渉することなく、188(1)の事実関係とは異なっている。13社にA社株を引渡し、丙がA社株を買い戻した相対取引は、法律行為を通じて実体化させ、紙切れの支払いを書面上フィクションさせてはいるが、13社は、社員総会には出席せず、議案に反対することをしたことがなかった。実体のない観念である通達188及び188-2の趣旨と交渉することなく、丙との経済関係を土台にした13社のA株式の購入を、現実には、原告甲グループとC社は、資本関係、生産関係があるとして、13社を同族関係者と看做すということになるであろう。