[事実関係]

請求人が、中小企業活性化支援補助金の交付決定の通知を受けた事業年度において、法人税法42条第1項に規定する「返還を要しないことが確定」したとして、当該事業年度において固定資産圧縮損を計上したところ、それが否認されたことにつき、審判所が「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条の規定によれば、各省各庁の長が同法第14条の規定に基づく実施報告書等の審査等により交付すべき補助金の額を確定し、これを当該補助金事業者等に通知しなければならない旨を規定していることからすれば、補助金の申請者がその通知を受けるまでは、法人税法42条第1項に規定する「返還を要しない」は、確定していないと解するのが相当であるから、交付決定の通知がされただけでは、交付すべき補助金の額は確定していないと認めるのが相当である」とした(平成25年4月19日裁決)。

[解説]

リース取引は、リース物件を賃借している法人の労働者の代表(経済関係によっては出資もさせられている。)からだけでなく、リース会社の資本に貸付けをフィクションしている金融資本に労働を疎外される。労働者は、物件の買入れたとされる物件の代金を、税引前の給与から負担させられている。

保険金等で取得した固定資産等、収用等に伴い取得した代替資産、買換えにより取得した特定の資産の圧縮記帳については、適用される固定資産の範囲から所有権移転外リースは除外されている(法法47①括弧書き、租法64①括弧書き、租法65条の7⑯ニ)。

国庫補助金、保険金の支給は、現実には、国際金融資本による労働者への貸付のフィクションである。

法人税法上、所有権移転外リースについて、法42条1項の圧縮損計上を妨げる除外規定はない。ここでいう所有権移転外リース資産は、法人税法上、所有権移転外リースに該当するものを言います(関係条文ー法64条の二、令48条の2第5項第5号、法基通7-6の2-1~8)。

投下された紙切れは利潤を産むのではないから、補助金交付を受けた段階では、法基通10-2-1の言う定期的に相当の収益が生じた場合に返還しなけらばならないというのは、実体のない観念である。労働を疎外して利潤が得た段階で、要返還が確定する。よって、経済上は、補助金の交付を受けただけでは、未だ労働をさせていないのであれば、返還不要も確定しない。資産を取得して労働をさせていれば、疎外労働の評価額の一部が、審査を通じて、現実に労働を疎外する前に確定したということになる。

返還不要確定については、補助金の交付を受けた段階では、返還不要が確定していないとは言えないであろう。金融資本は、固定資産を労働者に貸出しをフィクションして労働を疎外して利潤に価値が付与される。それが資産(資本)に転嫁される。遊休過程と稼働過程に価値属性を付与したところの時間の経過によって付与される価値が減るのではない。

国際金融資本は、永久に稼働できたら、再度購入させて再投融資をして、疎外労働をさせて、利潤を得るという過程を採ることができない。国際金融資本は、資材の投入を抑制させ、開発した製法、技術を出し惜しみさせて生産させ、納入先の生産手段をフル稼働させ、労働を強化し、使い物にならないまでの過程を短縮させる。疎外労働による利潤を得る過程のサイクルを反復することで、稼働できなくなって、再購入を余儀なくされる。

圧縮損にしろ定率法にしろ特別償却にしろ、減価償却費は、現実には、未払人件費の一部であり、国際金融資本が、労働を疎外して、資本関係のある産業資本に内部留保と国債負担の繰延をさせていることの方便でしかないのだが、通達の規定により、事実上、補助金交付の評価が確定した段階で、圧縮損は建てることが、否認できないということになってしまうであろう。国際金融資本は、国際金融資本がした借金である国債につき、産業資本の赤字をフィクションして産業資本を通じて国債負担を繰り延べ、金融機関に貸倒引当計上をフィクションし、国債の返済負担を免れるのである。

法人税基本通達

10-2-1

法人が受けた国庫補助金について次のような一般的条件が付されていることは、法第42条第1項(同条第5項を含む)、第43条第1項(同条第2項、第6項若しくは第8項を含む。)又は第44条第1項(同条第4項を含む。)≪国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等≫の規定上、当該国庫補助金等につき返還を要しないことが確定しているかどうかの判定には関係がないものとする。

(1)交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。

(2)一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならないこと。

(注)補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条≪補助金等の額の確定等≫の規定により交付すべき補助金等の額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定した国庫補助金に該当する。

法人税法

第42条

内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(第44条までにおいて「国庫補助金等」という。)の交付を受け、当該事業年度においてその国庫補助金等をもってその交付の目的に適合する固定資産の取得又は改良をした場合(その国庫補助金等の返還しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限る。)において、その固定資産につき、その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額(以下、この項において「圧縮限度額という。)の範囲内でその帳簿価額を減額し、又は経理したときは、その減額した決算において積立金として積立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の額の損金の額に算入する。

租税特別措置法

第65条の七

16 二 取得には、建設及び製作を含むものとし、第一項の表の第一号、第三号及び第九号の上欄の場合を除き、合併、分割、贈与、交換、出資又は法人税法第二条第十二号の六に規定する現物分配によるもの、所有権移転外リース取引によるものその他政令で定めるものを含まないものとする。