[事実関係]
建玉に係る含み損益の額は、建玉について決済したとすれば見込まれた過程の損益に過ぎず、このような過程の損益金額を計算するのは、顧客に取引業者との間で、FX取引の担保である取引保証金の十分性を評価し、また、顧客の投資判断に資するなどのためであり、当該仮定の損益金額についてその含み益部分を取引口座から顧客が引き出すこともできなければ、その含み損分を取引業者が徴収することはできないとした上で、建玉に係る含み損益は、未実現の評価損益であり、権利としても損失としても具体的に確定したものとはいえないものであるから、建玉に係る含み損の額を雑所得の金額の計算に反映させることはできないとした事例がある(平成25年3月7日裁決)。
[解説]
紙切れ、オンライン上の紙切れは物差しではない。
FXは、架空資本と架空資本の引換えであり、商品と商品の引換えである。FXは、商品の引換えによって利潤が実現するのではない。時の経過によって利潤が実現するのではない。投下しただけで、投下した価値に付された価値が価値を産むのではない。商品、労働力商品を購入しなかったことによる逸失利益は方便である。決済によって利潤が実現するのではない。
労働力商品を購入することなく、労働を疎外して利潤を得てそれに価値を付して実体化する。利潤は偶発ではない。
利潤と又は損失は実現している。しかし、FXにおいては人民はその段階では利潤に付された価値を、金融機関との資本関係を土台とした実体関係上、引き出すことはできない。
現実には雑所得や一時所得では譲渡所得ではなく配当所得であるから、国際金融資本の使用人にオンライン上の紙切れを購入させてオンライン上で手放した紙切れに付された価値は、投資であり、顧客は国際金融資本から、建玉に投下されたオンライン上の紙切れに付された価値分借りていることにされ、建玉に投下した架空資本に付された価値と預け入れた証拠金に付された価値の処分権は国際金融資本に移り、買いポジションに付された価値を損失に算入した過程を経た損失と為替差損を損失に算入できないとすることができるであろう。