[事実関係]

国外の貨物事業について、請求人が外国子会社(国外関連者)に支払った料金と他の企業グループとのアライアンスに基づいて設定した料金の差額が、請求人から外国子会社への寄附金に該当するか否かが争われた事例がある。

審判所は、当該差額につき、アライアンスに基因して請求人グループ内で生じる利益の移転を解消するために支払われたものであるとし、利益の移転を放置しなかったかったことは通常の経済取引として自然な行為であり、利益移転を解消することには経済的合理性があるとし、金額の算定にも妥当性、対価性も認められるとした。

原処分庁は、経済的合理性の範囲は、法基通9-4-1にいう親会社として今後より大きな損失を被ることになるという場面においてこれを回避するために止むを得ずしたなど、例外的な場面に限られ、事業経営上の必要性、合理性があるという場合まで広く含むものではないと主張した。

審判所は、法人税法37条7項にいう寄附金は、民法上の贈与に限らず、経済的にみて贈与と同視し得る資産の譲渡又は利益の供与をいうのであり、経済的にみて贈与と同視しうる資産の譲渡又は利益の供与とは、金銭その他の資産又は経済的利益を対価なく、他に移転させる場合で、その行為について、通常の経済取引として是認できる合理的な理由が存在しないものとし、その上で、法基通9-4-1に定められるような相当の理由が、認められるようなものを含め、寄附金に該当するか否かは法令の解釈に照らして判断されるべきであり、当該差額は、請求人子会社の想定利益の補填を目的とするものとは認められないとした(平成26年11月11日裁決)。

[解説]

当該グループ法人内の外国子会社の資本が、他のグループ法人の資本に、労働力商品を購入し、資本、生産手段を労働者に貸与して、労働を強化し、労働に付された価値を疎外して、疎外された労働の価値を役務(≠労働≠労働力商品)を含む商品に転嫁して、資本が利潤を得て、現金商品と商品を交換し、現金商品に価値が付される。

納期が短縮され労働過程が同じか延長され、労働が強化されると労働に付される単価が下がり、簡単な仕事という方便が付与され、労働過程の回転数が増加することにより、疎外された労働に付された価値の単価が小さくても、資本が得る利潤の総量は減少せず、労働量が増えても労働力商品に付される価値は増大しない。需要がフィクションされる。

行政、司法は、他のグループ法人と当該グループ法人内の外国子会社の双方が、①どこから投融資を受けているかー資本関係、②労働力商品、生産手段を購入しているか、③資本、生産手段を労働者に貸与したか、③書面又はオンライン上に記録されただけの労働の実体があるのか、④資本ー産業資本と国際金融資本ーは、労働を疎外して利潤に価値を付しているかー国際金融資本と産業資本は、給与の支給を待たせ、国際金融資本がフィクションした銀行を使用した国債の発行と買取の過程を源泉とし、労働の疎外を土台とした利潤を得ているーということから寄附金であるか否かを、

損失補填した場合には、①損失の実体はあるのか、既成事実となっているのか、②資本(資産)ーあれば無制限に紙切れの発行と価値の付与をフィクションできる投融資が受けられるーは無いのかということを付加してから、子会社の損失の事実関係を確定しなければならないであろう。

通常の取引として是認できるかとか、経済合理性であるとか、想定損失であるとか、利益移転解消という目的であるとか、知っているか否かとか、自然、不自然といった宗教学であるとかの実体のない観念と交渉して寄附金についての事実確定をしてはならないのである。法は、子会社損失に限定する文言を記載していない。行政、司法は、経済上の事実関係を土台にして法を解釈するのであって、法の趣旨目的という実体のない観念に照らして法の解釈してはならないのである。