労働基準法は、病気怪我による欠勤については診断書を提出する義務は規定していない。

長期休暇の場合には診断書を提出することが就業規則に規定されていることがある。この場合、診断書を提出する義務があるのか。

資本は、診断書を提出すれば、有給休暇に振り替えて無給のところを給料をあげますよという。

これは優しさなんかではない。

労働者は、病気であっても労働力を提供する義務、資本を儲けさせる義務があると言っているのである。

労働者は、資本関係、生産関係に基づき、無償労働で残業に応じることにより病気になり、欠勤することを余儀なくされ、病気による欠勤を有給休暇に振り替えられ、有給休暇が無償による残業を原因に1日分カットされる。

資本は、無償労働をさせたことに加え、有給を返上させることにより、有給休暇であった日に生産労働を行わせ、労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁し、生産手段の貸与を方便に労働力商品を提供したことによる現金に付与する価値をカットし、費用損失を労働者に転嫁し、更に残業を無償で行わせ、更に資本を増殖させることができる。

有給休暇を消化することにより、疎外された労働分の給与を取り戻した労働者の利益を資本は再び奪い返すのである。病気により倒れた者に代えて新たに労働者を増やさず、資本は現業労働を行わず、既存の使用人を代わりにシフトに入れて、残業をさせ、更に資本を増殖することができる。現実には資本は医療費を負担しない。

労働者は病院に行く金がない。診断書を提示することができない。労働者は残業が終わった後、家事を行い睡眠をとる暇がない。

病気の原因は疎外された労働、無償労働が原因であるから、生産関係を土台にする有給休暇については理由、現実の使途にかかわらず、有給休暇ををカットせず、生産関係上、病気による欠勤分についても給与を支払い、生活を補償しなければならない。診断書は労働者のプライバシーにもかかわることである。

病気による欠勤の場合、労働契約において診断書の規定があるにしても、欠勤の理由、完治した旨、重大な病気怪我の場合、医師から完治を告げられたこと、感染しないことを口頭で述べれば足り、診断書の提出までを義務づけたものとは言えないであろう。

労働者は、有給休暇への振替と引き換えに診断書の提出に応じてはならないのである。