使用人が消費者よりチップを受け取ると、資本が金融資本との資本関係から課された売上の不足の補填に充てたり、社員旅行の名目で法人資本が積み立てることに協力することを余儀なくされる。

アメリカ税法においては、使用人10人以上を雇用する飲食業は、売上金額の8%がチップによる収入とされ、売上に基づいたチップ収入の推定額が使用人が申告したチップ収入の額を超えるときは、その超えた金額についての所得税負担、社会保険税は使用人に転嫁されているのである。

チップは法人資本と消費者との契約とは別に、消費者が労働者が提供した労働と現金商品を交換したものと解すれば、給与所得に当たるとする見解は成立する。

資本が規定した労働基準法は、給与全額支給、債務相殺の禁止、社会保険の給与からの天引き、労使協定があった場合の給与天引きを規定する。生産関係上の債務とは別に実体のない債務を創造し、生産関係を土台に労使協定に応じさせ、給与からの天引きを行っているのである。資本、生産手段を有しない労働者は、生活手段の消費の土台となる経済に基づいて法人に資本により投下された現金を使用することはできないから、売上不足を賠償する義務はない。

労働者は給与を返上して社員旅行という労働を余儀なくされている。法人資本は、消費者から労働者に贈与があったとして、所有する法人の収益に計上せず、租税を負担せずに、資本から徴収された労働者に租税が転嫁されているのである。国際金融資本の投融資により設立され、国際金融資本に所有された、現実には持株会社である政治団体、宗教団体、慈善名目の団体への贈与については、贈与を受けた側である政治団体、宗教団体を所有する資本は租税を負担しない。政治団体、宗教団体、慈善名目団体へプールされた現金は原子力、石油産業に投融資され、戦争に投融資される。政治団体、宗教団体、慈善名目の団体への寄附は、生産関係に基づいて労働者から徴収され、又は給与から天引きされ、労働者にその支払いが転嫁されているのである。