[事実関係]
宗教法人であるXは、旧借地権者に対し、当該土地を賃貸していたところ、本件旧借地権者がかかる賃貸に係る借地権を新借地権者に譲渡し、Xは、譲渡承諾料を収受した。
Xの本件各土地の貸付けは、低廉住宅用貸付業に係る貸付けとして非収益事業に該当するのに対し、Xの本件新借地権者に対する本件各土地の貸付けは収益事業としての不動産貸付業に係る貸付けに該当するものであった。</p>
第1審は、
「施行令5条1項5号へは、低廉住宅用貸付業を収益事業とされる不動産賃貸業から除外し、右貸付業から生じた所得を非課税としているところ、右規定の趣旨は、公益法人等が低廉な対価によって住宅の用に供する土地の貸付けを行っている場合には、他の営利法人との間の競合関係が生じることが少ないので、右貸付業から生じた所得から生じた所得をあえて収益事業から生じた所得として課税しないくても、課税上の不均衡等の弊害が生じないことを顧慮したものであると解される。
右規定の趣旨に照らすと、公益法人等の土地の貸付けから生じた収入が、低廉住宅用貸付業に係る収入に該当するかどうかについては、右収入の基因となった貸付けが、右収入を収受した時点における当該土地の利用状況に照らして、低廉住宅用地貸付業に係る貸付けとしての要件を満たすものであり、他の営利法人との間で競合関係が生じないといえるものであるかどうかによって判断するのが相当である。
そして、例えば、賃貸人が、借地権の設定、更新、条件変更のために権利金、更新料、更改料その他の一時金等を収受した場合においては、右収入は、借地権の設定、更新、条件変更等によって新たに設定された賃貸借関係に基因するものということができるから、新たに設定された賃貸借関係が低廉住宅用地貸付業に係る貸付けとしての要件を充たしてしるときには、非収益事業とされる低廉住宅用地貸付業に係る収入に該当することになる。
ところで、借地権の譲渡は、旧借地権者から新借地権者に対して借地権が承継的に移転するという法的効果をもたらすものではあるが、これを実質的に見れば、賃貸人と旧借地権者との間の賃貸借関係を終了させ、新借地権者当該土地を将来に向かって利用させるものであるから、賃貸人と新借地権者との間に新たな賃貸借関係を設定することにほかならない。
したがって、賃貸人が借地権の譲渡を承諾した際に収受する譲渡承諾料は、賃貸人と新借地権者との間に新たな賃貸関係を設定するための対価としての実質を有するものであり、前記の権利金、更新料、更改料等と同様、賃貸人の借地権者に対する新たな貸付けに基因するものというべきである」とした(東京地判平成7年1月27日)。</p>
控訴審は、
「借地権の譲渡は、旧借地権者から新借地権者に対して借地権が承継的に移転するという法的効果をもたらすものであるが、実質的には、賃貸人と旧借地権者との間の賃貸借関係を終了させ、新借地権者に当該土地を将来に向かって利用させるものであるから、賃貸人と新借地権者の間に新たな賃貸借関係を設定することにほかならないものであり、賃貸人が借地権の譲渡を承諾した際に収受する譲渡承諾料は、賃貸人と新借地権者との間に新たな賃貸借関係を設定するための対価としての実質を有するものであり、権利金、更新料、更改料等と同様、賃貸人の新借地権者に対する新たな貸付けに基因するものというべきである」とした(東京高判平成7年10月19日)。</p>
「解説]
宗教法人が、他の経済実体に土地を貸与し、賃借した経済実体は土地を生産手段にして、労働者に貸与し、労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁している。土地は、所有又は賃借しているだけでは現金を産まず、賃借人において、既に労働を疎外済にし、疎外した労働を土地に転嫁し、使用権が疎外され、現金商品の引渡しを余儀なくされる。担保名目で取り上げた不動産を売却し、購入した経済実体に投融資して、購入した経済実体に、生産手段にして労働者に貸与し労働を疎外を余儀なくさせるのは国際金融資本である。
不動産を購入させることにより、国際金融資本は儲かる。資本関係から不動産を購入することを余儀なくされた経済実体は、土地を貸与して、貸与先の労働者の労働を疎外せざるを得ない。資本関係を土台とした法の趣旨と交渉して事実確定を行っている。
法の趣旨を持ち出さずに本件の現実の経済関係を見ると、借地権の移転させることは、全ての法律行為は効果を産まないから、効果はないが、国際金融資本との資本関係を土台に、実体あるものと社会に認めさせることを余儀なくされているから、旧借地権契約と新借地権契約は別物である。
賃貸を行う経済実体に意思はないから、承諾は実体のない観念であって、現金商品の引渡しを受けたことにより経済事実が確定したのである。譲渡承諾料名目の金員は、新借地権を現金商品を引き渡すことによりにより取得した経済実体に土地を貸し付けて、生産関係を創設する土台となったのであり、生産関係を土台に実体あるものと社会に認めさせることを余儀なくされている。金員には、予め、賃貸借関係設定のためという属性は備わっておらず、目的は実体のない観念である。
譲渡承諾料の名目で収受した金員は、収益に計上することが義務付けられると解される。