債権証書の取上げについて、法は、「徴収職員は、債権の差押のため、必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。この場合においては、第56条第1項(動産等の差押手続)及び第58条(第三者が占有する動産等の差押手続)の規定を準用する」と規定する国税徴収法65条)。債権証書を第三者が占有している場合には、当該第三者が滞納者の親族その他の特殊関係者であるときは、直ちに取り上げるkとができるが、これらの者以外の者が占有し、引渡しを拒んだときは、引渡命令を発し、その命令に従って引き渡されたとき又はその引渡しの期限までに引渡しがないときには、動産差押の方法に準じ取り上げることができると規定されている(国税徴収法58条)。

債権証書を取り上げたときは、差押調書に準じて取上調書を作成、交付しなければならない。債権の差押えの債権証書とは、郵便預金通帳、郵便預金証書、銀行預金証書、債権に関する契約書をいう。無記名定期預金証書、公正証書、契約書のように訴訟に際し証拠として用いられるものも含まれる。

「必要があるとき」債権の証書を取り上げることが「できる」とあることから、金融資本家との資本関係、生産関係に基づいてこれら証書を取り上げなければならないということになる。滞納処分、その土台たる課税所得が、納税者の現金留保を疎外し、金融資本家の現金留保へ集中する過程であるから、滞納処分、差押えをすることの経済土台を有していなければならず、処分の土台となった事実関係の確定、理由を附記する義務があり、事実確定、理由が明らかに出来なければ、滞納処分、差押は、実体のない処分、法律行為ということになる。金融資本家は、全ての納税者、人民に生産関係を土台に搾取の源泉たる労働力再生産、債務者、被投資者再生産義務を課しているから、生産関係上、滞納処分、差押によって、課税最低限、最低生活費を下回る生活を余儀なくされることはできない。生存、生活の土台となる資産を差し押さえることはできないと解される。