[事実関係]

旭川市を保険者とする国民健康保険の一般保険者の資格を取得した原告は、平成6~8年度までの各年度分の国民保険の保険料について、旭川市から賦課決定処分を受け、旭川市長から、所定の減免事由に該当しないとして保険料を減免しない旨の通知を受けた。

裁判所は、

「国又は地方公共団体が課税権に基づき、その経費に充てるために資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当する全ての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たるというべきである」とした上で、

国保料については、「被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるもの」であるとし、国保事業の経費の約3分の2が公的資金で賄われていることを挙げ、

「保険料と保険給付を受け得る地位との牽連性が断ち切られるもの」ではないとし、強制加入、強制徴収については、「保険給付を受ける被保険者をなるべく保険事項を生ずべき者の全部とし、保険事故による個人の経済的損害を加入者相互において分担すべきであるとする社会保険としての国民健康保険の目的及び性質に由来するもの」であるとし、「したがって、上記保険料に憲法84条の規定が直接適用されることはないというべきである(国民健康保険税は、前記のとおり目的税であって、上記の反対給付として徴収されるものであるが、形式が税である以上は、憲法84条が適用されることとなる」とする。

裁判所は、憲法84条につき、

「国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したというものというべきである。

したがって、国、地方公共団体等が賦課徴収する租税以外の公課であっても、その性質に応じて、法律又は法律の範囲内で制定された条例によって、適正な規律がされるべきものと解すべきであり、憲法84条に規定する租税ではないという理由だけから、その全てが当然に同条に現れた上記のような諸原則の埒外にあるとすること」は相当でないとし、

「租税以外の公課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものには、憲法84条の趣旨が及ぶものと解すべきである」とする。

裁判所は、

「市町村が行う国民健康は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても、憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが、他方において、保険料の使途は、国民健康保険事業に要する費用に限定するのであって、法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは、賦課徴収の強制の度合いのほか、社会保険としての国民健康保険の目的、特質等をも総合考慮して判断する必要がある」とする。

裁判所は、

「本件条例は、所定の算定基準に従って賦課総額を確定することをも、旭川市長に委任したものと解される。国民健康保険料は、国民健康保険料に要する費用に充てるために徴収されるものであるから(法76条本文)、当該年度の費用から収入(保険料を除く)を控除したその不足額の合理的な見込額を基礎として賦課増額を算定し、これを世帯主に応分に負担させることは、相互扶助の精神に基づく国民保険料の徴収の趣旨及び目的に沿うものであり、本件条例もこれを当然の前提としているものと解される。

本件条例は、保険料率算定の基礎となる賦課決定総額の算定基準を明確に規定した上で、その算定に必要な上記の費用及び収入の各見込額並びに予定収納率の推計に関する専門的及び技術的な細目にかかわる事項を、旭川市長の合理的な選択に委ねたのであり、また、上記見込額等の推計については、国民健康保険事業特別会計の予算及び決算の審議を通じて議会による民主的統制が及ぶものということができる。

本件条例が、8条において保険料率算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で、12条3項において、旭川市長に対し、同基準に基づいて保険料率を決定し、決定した保険料率を告示の方式により公示することを委任したことをもって、法81条に違反するということはできず、また、これが憲法84条の趣旨に反するということもできない」とした(最判平成18年3月1日)。

[解説]

徴収された現金、投下された現金には価値属性は備わっていない。判決がいう租税は、国又は地方公共団体の経費に充てるための資金であるとかの目的や保険給付を受けることの反対給付として徴収されるという属性付与、目的は実体のない金融資本家の方便であって、リスクも実体がない。

租税も国保料も、現実には、金融資本家によって、租税名目、国保料名目で集められた現金を源泉に投融資が行われている。

租税も国保料も法人税法上、所得税法上の各法人の現金留保を疎外し、金融資本家が資本関係、生産関係を土台に技師を使用して現金留保に価値属性を付与して規定し、法人税法上の法人の資本家、所得税法上の法人に支払う、支払わないに自由意思はない。租税名目、社会保険料名目で収奪された現金留保は、労働者や低所得者には分配されない。

国際金融資本家は中央銀行を所有する民間銀行を所有するから、投融資に回した租税名目、社会保険料名目で徴収現金を帳簿上埋め合わせることができ、現金が無記名であることから、官僚が使用したという方便を所有するメディアに流させ、投融資を受けることを余儀なくされた所得税法上の法人の投融資の申込にも、中央銀行を所有する民間銀行を所有すすることから、応ずるのである。

租税と国保料の徴収は現実には同じ経済関係、経済過程にあるものである。金融資本家は生産関係上の義務である医療費を、労働者に生殖により労働力商品を再生産させることで家族を生産集団とし、宗教学、道徳を媒介に相互扶助という方便により免れている。

金融資本家による資本関係に基づいた現実の法の創設過程からすれば、法の目的と交渉して解釈すると、法人税法上又は所得税法上の法人の現実の経済関係、現金留保から乖離する。課税関係が上記の経済過程にあるから、生産関係上課せられた義務からすれば、法の目的は実体がなく、法が、課税される法人の現実の現金留保、経済実体に基づかずに規定されているから、法の目的に関係なく、法にいう、法を包摂する現実の経済実体、現金留保がなければ、法により金融資本家の付与した価値属性が実体あるものと社会に認めさせることができず、課税を行うことができないことになると解される。

現実の課税関係は、現実に現金留保があって、実体のない価値属性を現金に付与して、法により課税を行って、現金留保に付与した価値属性を実体あるものと社会に認めさせる。

技師、全資本家からの留保現金の拠出からなる国家や地方金融資本家は、経済を規定したり、選択する権限を有しない。

前述の課税関係、課税過程に鑑みれば、租税、租税たる国保料は、全ての法人税法上又は所得税法上の法人の現実の経済実体、現金留保を土台に法律を規定し社会に認めさせる義務があるのである。