国税通則法の改定により、事実関係の確定を行い、調査を終了させるとき、更正処分を行わなければならない場合や修正申告をさせざるを得ない場合には、課税側は、口頭でその理由を伝え、更正処分の場合、文書において理由附記が行われることとなった。
(国税通則法74条の11)
2. 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。
3. 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し、修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。
この場合において、当該調査の結果に関し、この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求はすることはできる旨を説明すると共に、その旨を記載した書面を交付しなければならない。
(国税通則法74条の14)
行政手続法第三条第1項(適用除外)に定めるものの他、国税に関する法律に基づき行なわれる処分その他公権力の行使に当たる行為(酒税法第2章(酒類の製造免許及び酒類の販売業免許等)の規定に基づくものを除く。)については、行政手続法第2章(申請に対する処分)(第8条(理由に提示)を除く。)及び第3章(不利益処分)(第14条(不利益処分の理由の提示)を除く。)の規定は適用しない。
2 行政手続法第3条第1項、第4条第1項及び第35条第3項(適用除外)に定めるものの他、国税に関する法律に基づく納税義務の適正な実現を図るために行なわれる行政指導(同法第2条第6号(定義)に規定する行政指導をいい、酒税法第2章及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に定める事項に関するものを除く。)については、行政手続法第35条2項(行政指導に係る書面の交付)及び第36条第2項(複数の者を対象とする行政指導)の規定は、適用しない。
行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内に置いて一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものを言う(2条第6号)。
(行政手続法3条1項)
次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第4章までの規定は適用しない。
六 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税官吏(他の法令に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び行政指導並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分及び行政指導
十四 報告又は物件の提出を命ずる処分及びその他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
(行政手続法14条3項)
不利益処分を書面でするときは、前2項の理由は書面により示さなければならない。金融資本家との資本関係上、税務修正申告をさせなければならない場合、その旨を口頭で説明し、異議申立て、審査請求はできないが、更正の請求はできることを文書で通知しなければならないとされた(国税通則法74条の11)。
修正申告の慫慂は、行政手続法第2条6号の行政指導に該当し、74条の14第1項の「その他公権力の行使」に該当しないとされる。
所得計算、課税が、疎外労働を土台とした利潤を転嫁させた商品と引換に得た納税者の現金留保の評価を疎外して、担税力という属性を与えて、課税による現金取得により付した属性を、実体あるとする過程であること、調査により全ての事実関係を確定し、法解釈、法への包摂を行って課税を行わなければならない理由が確定するという過程、義務があることは、行政指導の場合も更正処分の場合も同じである。
更正処分による課税も修正申告の提出により課税を受けることも、課税を受ける受けないに納税者に、フィクションされた経済関係上自由意思がない。
行政指導の場合には、口頭により理由を述べるだけで、修正申告をせざるを得ない理由を文書に附記しないということはできないものと解することができる。
修正申告をさせないまでも、指導事項があった場合にも、金融資本の恣意課税、資本関係、現金留保義務からの課税という既成事実と既成事実を土台とした金融資本家の恣意課税、資本関係、現金留保義務に基づいた課税を排除する金融資本の義務と調査過程上の事実確定の全体化の義務に鑑みれば、その理由すなわち原因となる事実、法解釈及び法への包摂を文書に附記しなければならないと解されるであろう。
唯心論に基づいた信義誠実の原則を方便に修正進行の慫慂を徹底したところで、行政指導に基づいて申告したところ、後日不利益処分が行われたということは減少しないであろう。
信義誠実の原則を持ち出すことは法律の専門家の言うことではないであろう。行政指導の理由附記により、課税側の指導により申告したところ、その後、不利益処分が行われたということが減少することの装置となるものと思われる。