[事実関係]

 青色申告法人である原告が、工場に設置した冷房機について、特別減価償却規定のある機械に当たるとして損金計上にた確定申告につき、税務署長は、本件冷房機は機械には当たらず、建物付属設備と認められるとの理由により更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

大阪高裁は、

「本件冷房機が織物設備に当たるかか建物附属設備に当たるかという判断は、純然たる法的評価の問題であるということはできないのであって、本来的には事実認定の問題であるということはできないのであって、本来的には事実認定の問題に属するものと言わなければならない。

また、税務署長は、本件冷房機が専ら織物の製造工程を改良する目的や機能を有して直接生産に寄与するものではなく、夏期に工場内で働く従業員の労働関係を改善するためのもので、いわば間接に生産に寄与するにすぎないと認めて機械(織物設備)ではなく、建物附属設備であると認定し、本件更正処分を行ったものであって、このことは本件更正通知書の前記記載から十分うかがい知れる旨主張するが、本件更正通知書の記載からは、本件冷房機が前説示のとおり何ゆえに機械にあたらないと認定されるのかについての具体的根拠を全く知ることができないものと言わざるを得ない」とする(大阪高判昭和55年11月26日)。

最高裁は、

「原審の適法に確定したところによれば、被上告会社は、青色申告の承認を受けた法人であり、昭和48年2月1日から昭和49年1月31日までの事業年度の法人税について確定申告をしたところ、上告人がこれを更正したが、

その更正通知書には、更正の理由として「1.減価償却費の超過額・・・36万8,036円。昭和48年6月取得の冷暖房について機械として特別償却をしていますが、内容を検討した結果、建物附属設備と認められ、特別償却の適用はありませんので、次の計算による償却超過額は損金の額に算入されません。(種類)冷暖房設備(償却限度額)17万3,319円 (貴社計算の償却費額)54万1,355円(差引償却超過限度額)36万8,036円」と記載されていた、というのである。

右記載によれば、本件更正は、被上告が確定申告において、昭和48年6月に取得した本件冷房機が租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの。以下同じ。)45条の2第1項所定の「機械」に当たり、したがって、その減価償却費の計算については、右の特別償却規定が適用されるとの見解の下に、その減価償却費を54万1,355円と算定してこれを損金に計上したのに対し、本件冷房機は、法人税法2条24号、同法施行令13条1号所定の建物附属設備にすぎず、その減価償却費の計算につき、右特別償却額が適用される「機械」には当たらないとして、被上告会社が損金計上した54万1,355円から法人税法31条1項所定の普通償却の方法に基づき算定した減価償却費17万3,319円を差し引いた36万8,036円について、その損金算入を否認したものであるということができる。

ところで、本件法人税法130条2項が青色申告に係る法人税について更正をする場合には、更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは、法が青色申告制度を採用し、青色申告にかかる所得の計算については、それが法人の帳簿の記載を無視して更正されるることがないことを納税者に保障した趣旨に鑑み、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきであり、

したがって、帳簿の記載自体を否認して更正する場合において更正処分通知書に附記すべき理由としては、単に更正にかかる勘定科目とその金額を示すだけでなく、そのような更正をした根拠を帳簿の記載以上に信憑力のある資料を摘示することによって、具体的に明示することを要するが(最判昭和38年5月31日)、

帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正する場合においては、右の更正は、納税者による帳簿の記載を覆すものではないから、更正通知書記載の更正の理由がそのような更正の根拠を、前記の更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨、目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないと解するのが相当である。
本件更正処分記載の更正の理由には、本件更正の根拠とした資料の摘示がないことは否定できないところではあるけれども、本件更正は、本件冷暖房の存在、その取得時期及び取得価額の帳簿を覆すことなくそのまま肯定した上で、原告の確定申告における本件冷房機の属性に関する評価を修正するものにすぎないから、右更正をもって帳簿書類の記載自体を否認するものではないというべきであり、したがって、本件更正通知書記載の更正の理由が右のような更正をした根拠についての資料を摘示するものでないとしても、前記の理由附記制度の趣旨目的を充足するものではある限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないというべきである。

本件更正理由の記載は、本件冷房機が法人税法2条24号、同法施行令13条1項所定の建物附属設備である冷房設備にあたり、したがって、これが特別償却規定の適用のある機械に当たるとは認められないから、本件冷房機の減価償却費は前記普通償却の限度において算定されるべきであるという趣旨を記載したものということができ、これによれば、右更正理由の記載は、税務署長が何ゆえ右超過額を右36万8,036円の損金算入を否認したかについて、その法律上及び事実上の根拠を具体的に示しているということができる。

右更正理由の記載は、本件冷房機がなにゆえ特別償却の対象とされる機械に当たらないのかについて、これが法人税法2条24号、同法施行令13条1項所定の建物附属設備に当たるとするにとどまり、税務署長の判断の基礎となった具体的事実関係を明示していないが、冷房機はもともと建物内部を冷房して空気温度を調整する機能を果たす目的で製作されるものであるから、その機能が特殊の用途に用いられているため特別償却の対象たされる機械に当たることを肯定しうる例外的でない限り、普通償却の対象とされる法人税法2条24号、同法施行令13条1号所定の建物附属設備としての冷房設備又は同条7号所定の器具備品に当たるというべきであり、右の理由の記載もこのことを前提としたうえで、本件冷房機が、その構造、機能及び設置使用状況からみて、右の冷房設備に当たることを認めた趣旨を記載したものと解することができる。

そうであるとすれば、右更正理由の記載は、本件更正における税務署長の判断過程を省略することなしに記載したというものということができ、税務署長としては、前記のような内容の理由を記載することによって、本件更正における自己の判断過程を逐一検証することができるのであるから、その判断の慎重、合理性を確保するという点で欠けるところはなく、右の程度の記載でも処分庁の恣意抑制という理由附記制度の趣旨目的を損なうことではないというべきである。

また、本件更正理由の記載を右のような趣旨のものと解することが可能であるならば、本件更正の理由は、理由附記制度のもう一つの目的である不服申立ての便宜という面からの要請に対しても、必要な材料を提供するものということができるのであって、前記の内容を有する本件更正理由の記載は、法人税法130条2項の要求する更正理由の附記として欠けるところはないというべきである」とする(最判昭和60年4月23日)。

[解説]

 冷房機の存在、取得時期、取得価額だけが全ての事実ではない。現実に使用した使用の実体もある。金融資本家は、税務行政機関に、冷房機の実体のない使用目的を述べるだけで、冷房機に関する全ての事実関係、理由を確定させていない。

法解釈、法律上の評価すなわち事実の認定は、国際金融資本家との資本関係、国際金融資本家の現金留保義務に基づいて規定された法に基づいて現実の経済上の事実、事実関係に価値属性を付与し、課税による現金留保に属性を与え実体化させるのであるから、納税者の帳簿記載事実を否定することであり、事実の確定の問題である。

帳簿記載事実を否定しないで更正したと主張するとしても、いかなる事実関係を土台にして法を解釈して法に包摂したのかがわからない。

土台となる事実関係の記載がなければ、金融資本家が生産関係のある税務行政機関を使用して、恣意的に、金融資本家の資本関係、資本関係を土台とした現金留保義務のみを土台に、事実関係を全て把握し確定せずに、納税者の現金留保を疎外して、現金留保に異常、担税力という価値属性を与え、金融資本家が、金融資本家の、全資本家からの現金収奪、再投融資による組織再編、オフショア預金の過程にある、全資本家から拠出させたところの現金留保を確定し、現金に価値属性を付与することにより、担税力という価値属性を実体あるものと社会に認めさせたこととなる。

資本家が資本関係、生産関係から負担する義務がある租税は、現実には労働者の生存の土台となる給与に転嫁されるのであって、租税によって得た現金留保は、現実には石油、原子力、戦争に投融資されるから、納税者の事実、事実関係を漏れなく把握、確定し、法への包摂の土台となる事実関係に当てはまらない事実、事実関係が一つでもあれば、課税は行い得ない。

納税者が知っていたか否かという実体のない唯心論に関係がなく、金融資本家の資本関係、現金留保義務を土台にした現実の課税関係、課税過程に鑑みれば、現実の構造、設置、使用を調査によって把握、確定する義務があるのであるが、それが処分過程の中で明らかにされていないのである。

機械も建物も現金を投下しそれを所有しているだけでは剰余現金を産み出さない。固定資本には価値属性は備わっていない。

固定資産か、固定資産の内、建物か機械か否かは、現実の使用が規定する。現実には建物附属設備なるものは存在しない。生産手段を労働者に貸与して行わせた労働を疎外し、疎外した労働を固定資本に転嫁し、一定の割合で減価償却費に振替えていくという手段により、労働の評価を不払にし、労働過程、経済過程を労働力が稼働させた架空の商品と交渉し、それに時間という属性を付与し、労働者が生殖による労働者の再生産の評価の基礎となる時間を低く規定し、すなわち、労働力という価値属性を与え、労働力商品と引き換えに現金を支出し、支出した現金に価値属性を与えて、労働力商品という価値属性を実体あると社会に認めさせることで、資本の利潤、現金留保が確定する。

納税者は、冷房機の全てについて、税法について百科事典並の知識を有しているわけではない。知っているか否かは実体のない観念である。

最高裁は、冷房機の実体のない機能、目的、属性を述べて税務行政機関がさせられた処分を維持するだけで、生産手段にして貸与するという使用の実体について更正通知署に記載されず、質問検査により事実確定の全体化がなされず、更正理由が記載されていないから、納税者が、金融資本家が行政機関を使用して調査し、確定させた冷房機の使用の実体と納税者の現実の使用とが乖離していないかがわからないのである。

理由と目的は違う。理由が記載できないということは、金融資本家の資本関係、現金留保義務にのみ基づき、恣意的に納税者の所得、現金留保を疎外して担税力を付与しているということである。

質問検査の過程で、機械と建物付属設備の相違について説明を受けたとしても、その説明、説明に使用した資料すなわち調査による事実確定の過程と建物に当たること、備わっていない属性が付与され実体化されることの根拠条文、法の解釈が文書で示されなければ、課税を受けざるを得ない理由がわからないし、質問検査の過程で説明されたことが事実確定の根拠となって処分が行われたか否かが通知書記載になければ、納税者は知ることができないのである。

当該冷房設備が建物附属設備であるという結論に至った過程が当該判決にある更正処分の通知書においては、大幅に省略されてしまっている。すなわち、見積書、竣工図、完成引渡書、領収書を始めとする帳簿書類、実地調査した結果、複数の労働力が各々、装置を稼働させたことにより、一の室外機と建物全体にある複数の室内機が接続され、室外機を稼働させることができるものであったということが記載されていないのである。

租税は、労働を疎外とする、労働力との間の資本関係のフィクションに基づく紙幣発行権、準備金制度の所有関係に基づいて、配当、利息、保険収入の既存の回収不足を土台に課され、紙幣発行権、準備金制度を所有しない経済実体は、現実の資本関係、経済関係、生産関係が疎外され、国際金融資本により他の経済実体への投融資に回される。

よって、理由附記の趣旨目的とされる恣意の抑制、不服申立ての便宜を与えるということは、課税関係、課税過程からすれば、実体のない観念たる趣旨、目的ではなく、資本関係上、生産関係上、経済関係上、それを土台とした実体関係の法律上の義務であって、法の趣旨目的と交渉するのではなく、課税の過程、経済関係上の現金留保の減少の現実を土台に、資本の理由附記の義務が規定され、事実関係の全体化の義務を履行しているか否かという、義務に基づいて理由附記が処分前に問われるのである。

理由の附記によって、紙幣発行権、準備金制度のフィクション及び再生産に基づく現金留保、回収義務から、紙幣発行権、準備金制度を所有しない経済実体のフィクションされ現実のものとされた資本関係、経済関係、生産関係を疎外して、実体のない理由により納得させる過程であってはならず、事実関係の全体化を通じて、土台となるフィクションされた資本関係、経済関係、資本関係の実体のない更正処分をしない義務、国債の負担を国際金融資本にさせる義務が資本にはあるのである。