[事実関係]

 食肉販売業を営んでいた被告人は、川崎民主商工会の会員となり、川崎税務署長は、被告の昭和37年分所得税確定申告書について翌38年に被告の帳簿書類を店舗において売上帳仕入帳の呈示を求めたところ、事前通知がなければ調査に応じられない旨主張して検査を拒んだ。

当該行為は、旧所得税法70条10号所定の罪(検査の拒否・妨害・忌避の罪)にあたるとして起訴され、一、二審ともに有罪の判決を受けた。

最高裁は、旧所得税法63条の検査につき、

「この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法70条所定の刑罰を加えることによって、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ制裁として必ずしも軽微なものとはいえないにしても、その作用する強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思を著しく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは認め難いところである」とした上で、

「憲法35条1項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。

しかしながら、前に述べた諸点を総合して判断すれば、旧所得税法70条10号、63条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることを一般的な要件としないからといって、これを憲法35条の法意に反するものとすることはできない。

同法70条10号、63条に規定する検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは前示のとおりであり、これらの点については、同法70条12号、63条に規定する質問も同様であると解すべきである。

そして、憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強制されないことを保障したものと解すべきことは、当裁判所大法廷の判例(昭和27年(ぁ)第838号同32年2月20日判決・刑集11巻2号802頁)とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりではなく、それ以外の手続きにおいても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、等しく及ぶものと解するのを相当とする。

しかし、旧所得税法70条10号、12号、63条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右規定そのものが憲法38条1項にいう自己に不利益な供述を強要するものとすることはできず、この点の所論も理由がない」とした(最判昭和47年11月22日)。

[解説]

 国際金融資本家の資本関係、現金留保義務を土台とした日本の持株法人買収という組織再編契約による組織再編過程における、税務行政機関を使用した現金留保の収奪は、富裕層たる劣後金融資本家から中小零細法人にも及んだ。

民主商工会は、非民主的な税務行政、軍国主義化に反対する運動を行い、民商会員は、民商会員以外の納税者が調査を受けた割合に比し、高い割合で調査を受け、帳簿の記載と全く関係のない質問がされたり、民商会員に調査結果を伝えずに先に新聞報道するといったことが行われた。

逋脱の意思は実体がなく、逋脱の意思のあるなしに関係なく、納税義務の履行をしていなければ、納税者は更正処分を受ける。金融資本家は、所有する資本関係、現金留保義務、生産関係を土台に裁判所に令状を発行させ、刑事手続に移行する。

金融資本家は、刑事捜査において被告に黙秘を認めさせているから、刑事捜査に至らない行政調査においては、現実には不答弁、無申告であるだけでは、更正処分はされることはあっても、刑事告発、司法処分をされるということはない。

金融資本家は、不答弁、無申告に反資本経済、反社会の属性を付与して、それを立法により実体あるものとしている。

金融資本家は、刑事捜査ではないとしても、刑罰により強制力が担保させており、質問検査に応じる応じないに現実には自由意思はない。

犯罪捜査の、実体のない目的により、所得税法上の質問検査から犯罪捜査へ移行はできないが、質問検査により犯罪の事実が確定されれば、刑事手続に移行することが、金融資本家との生産関係上の義務を土台とした法律により義務づけられ(国犯法12条の2、17条、18条)、裁判所に臨検,差押、押収を認めさせる。

刑事上の責任追及の目的と所得税の公平確実な徴収という公益目的という目的から法への包摂があるなしを規定するが目的は実体がないから、刑事処罰を受け容れる受け容れないに自由意思はなく、刑事法上の義務であって、現実の刑事処罰の実体関係、刑事処罰の過程、課税関係、課税の過程により規定されるものと解される。

金融資本は貸付又は投資により全資本を雇用する。

金融資本家が他の資本家から承継した現金留保の移転による資本関係、資本関係を土台に義務付けられた、市場に流通させたとフィクションした現金と各資本家の現金留保に応じて、金融資本家が現金を留保する義務、金融資本家再生産の義務、資本関係、生産関係の更新義務を土台に、所有する全法人の現金留保について調査し、把握し、資本家が経営者を使用して労働を疎外することにより、労働者の現金留保を疎外し、労働の疎外により留保された全法人の現金留保を疎外して、留保現金に価値属性を付与して、生産関係のある使用人を用いて現金を収奪し、収奪した現金に価値属性を込めて税引前の留保現金に込めた価値属性を実体あるものと社会に認めさせ、使用人への租税利子配当払いの転嫁、現金留保の再疎外、低い価値属性の付与と賃金支払による価値属性付与の実体あるものとしたことを社会に認めさせ、組織を再編する過程を行政手続、課税手続という。

収奪された現金留保は低所得者や労働できない者に分配されることなく、国際金融資本家によって、石油、原子力産業に投融資され、戦争を引き起こさせるのである。

所得税法上の質問検査に基づく課税処分の過程も、現金留保を収奪され、経済過程を拘束されるのであるから、金融資本家は、資本関係、現金留保義務を土台に、生産関係のある税務行政機関に有形力や脅迫や実体のない誘導尋問を用いて供述を行わせたり、帳簿書類を押収させたり、手続すなわち事実確定の全体化の過程を省略したりして、恣意的に処分を行うことはできないと解される。

質問検査により刑事手続に移行せざるを得ず、現実に刑事上の手続における資料収集となった場合には、当該行政手続には憲法35条、38条の適用があり、刑事手続に移行しなかった質問検査においては、包摂される法律の根拠条文が35条、38条ではないというだけで、課税関係、課税過程を斟酌すれば、刑事手続と同じく、手続上の要件を全て踏まなければ、金融資本家の現金留保のみに基づき、納税者の経済関係については、恣意が排除せずに留保現金を疎外した見込み処分であって、所得税法234条の義務違反と解されるということになるであろう。