[事実関係]
訴外ミキ観光、PL農場、訴外法人は、いずれも株主、役員の一部を同じくし、TとUに経営を委ねた。
ミキ観光は、1億7347万円坪869円でPL農場へ土地を譲渡し、PL農場は訴外法人に2億2622万円で譲渡し、訴外法人は別の法人に坪3,000円で当該土地の一部を譲渡した。
ミキ観光についての別訴訟で、本件土地の時価を3,000円として計算し、寄附金損金不算入額を所得に加算する更正処分が行われ、裁判所はミキ観光が土地の時価が3,000円を下回らないことを認識していたとして原処分を維持した(最判昭和57年3月9日)。
PL農場については、本件土地の時価とミキ観光からの実際の取得価額との差額を受贈益とし、同金額を訴外法人への転売における原価として損金に算入するとともに、本件土地の時価と転売価格との差額を訴外法人への寄附金と認定し、その内の損金算入限度額を超える部分の金額を損金不算入とする更正処分を行った。
裁判所は、PL農場がした売買は、TとUが順次売却することを計画し、法人税の納付を回避する目的に出たものであるから、PL農場にとっては、ミキ観光から本件土地を買い受けた後、これを直ちに訴外法人に2億2,622万円で売却することが、ミキ観光との売買契約の一内容となっていた、仮にPL農場が承諾しなければ、PL農場は本件土地を買い受けることができないと事実を確定し、低廉譲渡があった場合には、その差額部分にも収益があり、それが譲受人に実質的に贈与したものとする法人税法22条2項、37条6項は、譲受人が譲渡価額よりも高額に譲渡できるのに、経済人としては不合理にも、それよりも低額に譲渡した場合に適用されるのであって、譲渡価額よりも高額に譲渡できる利益、権利、地位を有していたところを不当にも低く譲渡したとして同法37条6項を適用することはできないとした(大阪高判昭和59年6月29日)。
[解説]
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本件における取引の経済関係は、時価より安く譲渡したことにより、譲渡者に収益が実現し、その収益から譲渡者が現金を支出したのではない。
現実に受け取っていない現金に譲渡益を生ぜじめ、現実に収受した現金にも収益を生ぜじめたとすることは、現実の経済関係に乖離する。全ての物に価値は備わっておらず、価値は、金融資本家とその他資本家と生産関係のある労働者との資本関係、資本家の現金留保義務に基づいて規定され付与される。
それによって、現金を留保し、留保現金に課税が行われる。法人税法上の債権、債務は時価である。
預金を源泉に投融資をし、現実には預金されていない現金をフィクションして発行し投融資をして、投資先から労働を疎外したことによる現金留保から、法人税課税前に配当が支払われ、配当に課税がなされず、所得税額控除という補助金を受け、収受した配当や配当原資となり、搾取の源泉となる現金留保をオフショアに流し課税を免れ、他の資本家に中央銀行設立、搾取の土台となる現金を所有させず、法人課税後の現金留保から労賃が支払われ、二重課税であるとか、法人は実体がないとかの方便により、資本家に法人税の支払が転嫁されず、税負担が労働者に転嫁されているのであるが、これらは、配当課税、オフショア対策課税、生産関係上の問題、給与所得課税の問題がある。
労働者に税負担が転嫁される過程において、法人は金融資本家の税負担を転嫁されているが、労働者にそれを転嫁して、現金を留保しているという現実がある。
法人は資本家の集まりではあるが、資本関係を土台に、法人を登記により実体あることを社会に認めさせている。譲渡者の現金取得の土台となる債務金額は、引き渡した資産の時価であって、資産を譲渡することによって、代物弁済をしたことになる。
資本家との既存の資本関係に基づき、各法人は現金留保をせざるを得ない。配当支払の担保名目により、土地を購入し、資本家の現金留保義務に基づいて譲渡して現金留保せざるを得なかった。
土地を安く購入できたということで、譲受者は自己の現金留保義務に基づいて土地の使用ができず、譲渡者の現金留保義務に基づいて内部留保せざるを得ないから、譲渡者との間に資本関係が形成された。
時価と現実の販売価格との差額は、譲受者への投資ということになる。人が理論に合致しているか否かに基づいて譲渡を行うのではないのである。
経営者は、使用人であるから、自己の現金留保義務に基づいて、資本家が投融資した法人の現金を使用できない。
生産関係に基づいて、資本家の現金留保義務に基づいて使用せざるを得ない。PL農場は、法人資本家ミキ観光を所有する資本家との資本関係により、土地売買による留保現金を訴外法人に贈与しえず、留保現金は、2億2,622万円であるから、本件土地の時価と訴外法人への差額を贈与することはできない。
資本家は、ミキ観光が、ミキ観光の資本家との資本関係により、転売を所有する各法人に行わせ、第三者に譲渡したことにより現実に収受した現金留保をして、訴外法人に現金を流出させずに留保させた。
訴外法人への販譲渡価格と時価との差額は、資本関係を土台に譲渡により実体あるものとなり、ミキ観光の資本家はミキ観光を通じて資本関係を新たに取得した。資本家と各法人間の資本関係、経済関係を見ていけば、課税を行う、行えないの根拠は確定できるのである。
各法人の譲渡益部分の金額が配当の原資たる現金留保となったのである。資本家は、土地に備わっていない価値属性を付与して譲渡により実体あるものとし、契約により実体を社会に認めさせ、各法人により現実には配当原資となる現金留保を取得しながら、譲渡契約により課税を免れることに成功しているのである。
取引の恣意的に行うという文言にみられる恣意は実体がない。目的は意思であるから実体がない。
現金の被承継者たる資本家と承継者たる資本家、その又承継者へと移転される各過程を土台とした資本関係、生産関係を土台とした現金留保義務に基づいて、譲渡価格は決められ、そこに自由意思はないのである。
法人税納付の回避という目的に基づいて更正処分を行ったり、それを維持することはできないのである。