[事実関係]

 中古自動車の競り売りを行う法人が、オートオークションにおいて行った抽選回の景品の購入に要した費用を支払奨励金として損金の額に算入して法人税の確定申告を行ったことにつき、税務署長が、当該費用は交際費等に該当し、損金算入が認めれないとして更正処分を行った。

 判決は、

「本件オークションの会員になるには、前記のとおり、中古自動車取扱古物許可証を有する者であるか、本件オートオークションの会員契約を締結した業者であって、かつ、本件オートオークションに参加を承認された者、又は本件オートオークションが特別に認めた者であることを必要とするから、本件支出の相手方が法人の事業に関係のある者に限られていることは明らかである。

本件費用は、抽選会における景品の交付、換言すれば、本件会員に対する贈答その他これに類する行為のために支出されたものであり、また、法人の主張によれば、本件抽選会の開催は、かかる方法によって、休眠状態若しくはそれに近い会員をオークション会場に来場させ、夜遅くまでオークションに参加させることを企図したというのであるから、それはとりも直さず、得意先等関係者に対する贈答その他これに類する行為により、親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るために支出すされたものということである」とした(横浜地判平成4年9月30日)。

[解説]

 販促費や売上割戻しの算定基準が存在していなければ、債務が確定していないということになる。

当該法人に売上代金を返済するという債務があって、債務の弁済について、抽選会の景品を使用して代物弁済したというものではない。

取引関係者に利益を供与する義務があって、その義務を景品を使用して弁済したというだけである。判決は、オートオークションの会員は、事業の関係のあるものに限られているから、宣伝広告費に当たらないとする。

判決は、当該景品購入に要した費用につき、支出の目的から判決を行っている。判決は、その他の要件も考慮して交際費としたが、目的や意図は実体がないから、目的や意図に基づいて事実の確定を行うと、現実の経済関係とは異なった処分や決定や裁決や判決が行われることとなるのである。

支出の目的、意図に基づかず、支出の相手先、支出の原因たる経済関係、支出が義務であること、経済利益の収受、金額の多寡といったことが更正処分、判決の土台となる。