[事実関係]

法人からの借入に際して担保として提供した当該法人の株式について、自己株式の取得に伴って法人が株主に支出した金額の内資本金の額を超える部分の金額は、みなし配当であるとされた更正処分を維持した事例がある(さいたま地判平成21年11月25日)。

[解説]

裁判所は、法人の自己株式の取得に基づいて出資した額を超えて金銭その他資産の交付を受けた場合には、金銭その他資産の交付を受けたのと同様の経済効果を得た債務の消滅の場合も含むとし、原告が担保権の実施に伴って受けた金額から資本金の額の内担保権の実行された部分に対応する金額を差し引いた金額をみなし配当として、資力を喪失して債務が弁済することが著しく困難な状態であるとは認められないとして課税処分を維持した。

法人の資本家は、当該法人の資本家の一人に投融資をして、投融資を受けた資本家は、自らが出資している当該法人について、資本関係に基づき、労働者を搾取して内部留保を蓄積せざるを得ない。投融資を受けた株主は、担保権が実行させるまでの、法人資本家との資本関係によって法人が労働者から搾取して蓄積した内部留保を土台として支払われた法人の自己株取得代金を受領したのであるから、当該受領金銭は、当該法人との資本関係に基づき受領したものである。