[事実関係]

土木工事業を営む法人が、取引先の倒産したことによる資金繰り悪化に基づいて納税猶予を申請したところ、原処分庁は、取引先の倒産というだけでは納税が困難になるとは言えないとしたことにつき、裁決は、国税通則法46条2項各号の定める納税猶予は、納税者の責めに帰すことのできない金銭納付を困難ならしめることをいい、請求人が取引先に振り出した各手形は、経営困難に陥った取引先の資金調達のため、手形の振り出しの原因事実のない融通手形であるが、それは請求人の主要な取引先が売掛債権が回収できなくなることから止むを得ず振り出したものであると認定し、手形振り出し及び取引先の手形債務の負担が請求人の責めに帰すことができず、不測の事態によって資金繰りが困難になったとして、納税猶予の該当事実である売掛金の回収不能と同視されるとして納税猶予申請の不許可処分の全部を取り消した事例がある(平成21年7月6日)。

[解説]

裁決事例集の文面からは取引先の倒産が閉店しただけなのか、解散したのか清算したのか、民事再生法上の申立てか決定か、破産廃止なのか明らかではないが、少なくとも土台となる内部留保、支払手段が不足し、債務超過であり、資本関係生産関係経済関係に応ずることができないということであろう。

金融資本家は、手形を持ち込んだ者に、その者の資金繰り、内部留保に関係なく金を貸す。貸付先が資金不足で清算しようが破産廃止になろうが、金銭を貸した資本家は、紙幣発行銀行を所有するその親会社や親会社が所有する国家すなわち他の資本家から税金を投融資される。

手形を持ち込んだ者にとっては、満期日に収受する現金の前借りであり、金融資本家は、割引料すなわち利息という方便により、手形持ち込み者が所有する労働者を搾取する。

融通手形を振り出した資本家は、資本関係により内部留保を蓄積せざるを得ず、労働者に商品を引渡し、役務を提供させ、売上先の労働者から搾取し、経済関係から安く売らざるを得なければ、自己の所有する労働者、取引先労働者の役務の対価を絞って生産手段を生存させざるを得ない。

自己所有又は他人所有の労働者から搾取の源泉となる売掛金の回収がしえなくりうる場合には、融通手形を振り出さざるを得なくなる。

融通手形を振り出した者は保証人ということとなる。融通手形の振り出し者は法律を媒介に利子を取ることを社会に認めさせることに成功していない。

経済取引を行わざるを得ない者は、百科事典並の知識を有するわけではない。結果の土台となる原因を説明できないことはあっても、取引先の破産は偶発ではない。融通手形の受取人の破産しうることを知っていたか否かの問題ではない。

説明できたか否かの問題ではない。貸倒れと言いうるか、納税猶予がされうるかの前提は、取引先が破産したという経済関係上の事実、手形交換所取引停止処分を受けたという事実、売掛先の保証をせざるを得なかった経済関係である。