預託金債権の全額が切り捨てられて優先的施設利用権(プレー権)のもとなったゴルフ会員権について、現実には自主債権型の債権など存在しないのであるが、自主債権型の債権が行われた場合のゴルフ会員権の譲渡所得の計算につき、当該譲渡所得の計算の際に所得から控除される取得費は、更生計画等の内容から、プレー権が、会員の選択等にかかわりなく、更生手続等の前後で変更することなく存続することが明示されていること、更生手続等により、プレー権のみのゴルフ会員権となるときに新たに入会金の支払がなく、かつ年会費等納入義務等を約束する入会手続き等が取られていなければ、預託金会員制のゴルフ会員権を取得したときのプレー権相当部分を取得費とすることを認めるをいう改定があった。平成24年6月27日東京高判を受けての改正と言われる。
ゴルフ会員権としての性質が同一であるかをメルクマールとするが、ゴルフ会員権には性質なる属性は備わっていないから、当該ゴルフ会員権に係る経済関係が同一か否かである。別の運営法人に変わる会社更生法の適用にしろ、経営者すなわち資本の変更を伴わない民事再生法の適用にしろ、労働を疎外し、引渡して配当を受ける前に利潤又はその収奪が確定し、更生手続申請前と経済関係上、損失があったことを社会に認めさせることに成功したわけであるから、プレー権が更生手続等の前後で存続することというのは方便であって、現実には、更生手続によりプレー権が消滅し、新しいプレー権が付与されたとみるのが、現実の経済関係の変形のプロセスに即している。
今回の改定は、ゴルフ場運営法人資本、ゴルフ会員権保有者に対する税金投入である。その後、ゴルフ場に投融資している国際金融資本による国債の発行が行われ、ゴルフ場運営法人の資本家がその国債を購入すれば、国際金融資本は運営法人の事業を承継させて労働力商品を購入することなく労働の疎外を土台とした利潤を得ることができ、運営法人の資本家はおこぼれをもらえて儲かるのである。資本家が司法、行政という資本経済維持装置を使用して資本家に減税を行った分を消費税増税を行って低所得者に負担をさせるという構造がここでも看て取れる。