東北地方にて家屋、事業に損害を被った者が、受け取った義援金が収入認定を受けたり、避難地域と旧住所と管轄が異なることを理由に生活保護が受けられないケースが存在している。損害に係る賠償や義援金と、生活保護の前提となる収入金額とは別のものである。前者によって、被害に会う前の現状に回復し、後者によって、業務を行っていた当初必要としていた、予定していた生活を送るという「原状」の回復が実現されるのである。前者の内の賠償は自由意思の介在しない経済関係という土台に基づく義務である。義援金は、支出した個々人が、自らの抱える経済関係を把握し、その問題を被害者に当てはめることによって、被害者の経済関係を知って支出し、支出の見返りを求めないものである。よって、義援金や賠償金を受けたことは、生活保護申請をはねつける理由には該当しないのだ。