<p>外国上場法人の有価証券の評価損の計上するしないは、外貨の評価に基づくこととなっている。貨幣も株券には何ら属性は備わっていない。資本家がそこに属性を与えているのである。外国株式の評価損といい、内国法人株式に係る評価損といい、為替差損益といい、評価損益は、虚構である。しかし、評価益については、虚構であることを認めるが、評価損については、恰も、現実に損失を生ぜしめたかのように、損金算入を認めさせることに成功したのだ。法人は、信用という唯心論に基づいて購入し、他の法人の労働者から搾取してきたのであるが、当該株式発行法人が第三者から搾取されたことにより、株式発行法人の労働者から搾取の度合いが小さくなりうるということである。資本主義経済を前提とする以上は、このようなことが起こりうることは偶発ではなく、必然である。つまりは、経済関係から乖離した目的論に基づく購入であることから、有価証券の購入自体が事業上必要であったかが問題となり、事業に必要がないとすれば、それに係る、しかも虚構に過ぎない評価損の損金算入についても疑いが持たれるのである。</p>