前回述べた学理的解釈には、文理解釈と論理解釈が存在すると言われる。文理解釈は、自者たる者が、文字や文章を媒介に物に与えた属性を読解することである。土台となる経済関係を登記することによって法律上の権利としたり、行政庁が行政処分を行う場合、権力を取得された他社が義務に服する場合も、法律行為をなしたる場合には、法に従う従わないに自由意思がないから、まずは、文理解釈を行って現実の経済関係上社会関係上の権利義務関係を把握することとなる。同一法令の中において、現象だけからすれば類似した実体について別な表現が用いられていれば、それは立法者が意識的に使い分けているのではなく、土台となる経済関係が異なるから両者を使い分けているのである。納税義務者(所得税法15条)と納税義務がある者(所得税法234条)とは異なり、後者は、納税義務者の他に源泉徴収義務者も含む。税法が私法上の用語を借用している場合、税法が当該用語に独自の属性を与えていることがある。これは、民商法のいう私的自治と、税法の課税事実か否かという目的や見解の相違ではなく、私人間の経済関係と国家納税者間の経済関係という土台の相違に基づく。例えば、旧商法上不適法とされる蛸配当は、税法上の配当には含まれることなどが挙げられる。