所有権移転外リースについても、税法上売買として取り扱われることとなって、しばらく経過するが、こうしたリース期間終了後、所有権が移転しないリース物件を賃借した場合には、当該事業年末までに借受けることにより(通常は、試運転、検収が済んで借受証発行となるが、発行されない場合もある。かつてのIT投資減税のように稼働(試運転含む)は要求されていないようだが、いつでも事業の用に供することが出来るようになっていることと併せて、検収の事実だけでなく、試運転の記録等を業務日誌等に記録しておいたほうがよいかもしれない。)、租税特別措置法42条の6の中小企業者等が機械を取得した場合の税額控除が受けられる。

税額控除に関する書籍でこのことを取り上げているものは少ないし、取り上げていても、隅の方に小さな文字で書かれているだけのものが多い。機械やパソコンは、ひとりでに稼動しない。試運転を含むのは、フィクションされた経済関係上、機械やパソコンを稼動させるられるのは、労働力である人間の肉体である。労働が疎外されて利潤を生み出している以上は、資産の取得である。

課税側は、下記に該当する場合には、所有権移転外リースに該当するものとは認めないとしている。

(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引に準ずるものの意義)
7-6の2-1 令第48条の2第5項第5号《所有権移転外リース取引》に規定する「これらに準ずるもの」として同号に規定する所有権移転外リース取引(以下この節において「所有権移転外リース取引」という。)に該当しないものとは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(1) リース期間(法第64条の2第3項《リース取引の範囲》に規定するリース取引(以下この節において「リース取引」という。)に係る契約において定められたリース資産(同条第1項に規定するリース資産をいう。以下この節において同じ。)の賃貸借期間をいう。以下この節において同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース契約(リース取引に係る契約をいう。以下この節において同じ。)において定められているリース取引(リース契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)

(2) 賃貸人に対してそのリース取引に係るリース資産の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引

(著しく有利な価額)
7-6の2-2 リース期間終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を買い取る権利が与えられているリース取引について、賃借人がそのリース資産を買い取る権利に基づき当該リース資産を購入する場合の対価の額が、賃貸人において当該リース資産につき令第56条《減価償却資産の耐用年数、償却率等》に規定する財務省令で定める耐用年数(以下この節において「耐用年数」という。)を基礎として定率法により計算するものとした場合におけるその購入時の未償却残額に相当する金額(当該未償却残額が当該リース資産の取得価額の5%相当額を下回る場合には、当該5%相当額)以上の金額とされている場合は、当該対価の額が当該権利行使時の公正な市場価額に比し著しく下回るものでない限り、当該対価の額は令第48条の2第5項第5号ロ《所有権移転外リース取引》に規定する「著しく有利な価額」に該当しないものとする。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(専属使用のリース資産)
7-6の2-3 次に掲げるリース取引は、令第48条の2第5項第5号ハ《所有権移転外リース取引》に規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」に該当することに留意する。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(1) 建物、建物附属設備又は構築物(建設工事等の用に供する簡易建物、広告用の構築物等で移設が比較的容易に行い得るもの又は賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものを除く。)を対象とするリース取引

(2) 機械装置等で、その主要部分が賃借人における用途、その設置場所の状況等に合わせて特別な仕様により製作されたものであるため、当該賃貸人が当該リース資産の返還を受けて再び他に賃貸又は譲渡することが困難であって、その使用可能期間を通じて当該賃借人においてのみ使用されると認められるものを対象とするリース取引

(専用機械装置等に該当しないもの)
7-6の2-4 次に掲げる機械装置等を対象とするリース取引は、7-6の2-3の(2)に定めるリース取引には該当しないものとする。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(1) 一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等

(2) その主要部分が一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等で、その附属部分が特別の仕様を有するもの

(3) (1)及び(2)に掲げる機械装置等以外の機械装置等で、改造を要しないで、又は一部改造の上、容易に同業者等において実際に使用することができると認められるもの

(形式基準による専用機械装置等の判定)
7-6の2-5 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第48条の2第5項第5号ハ《所有権移転外リース取引》に規定する「その使用可能期間中当該リース取引に係る賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(識別困難なリース資産)
7-6の2-6 令第48条の2第5項第5号ハ《所有権移転外リース取引》に規定する「当該目的資産の識別が困難であると認められるもの」かどうかは、賃貸人及び賃借人において、そのリース資産の性質及び使用条件等に適合した合理的な管理方法によりリース資産が特定できるように管理されているかどうかにより判定するものとする。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(相当短いものの意義)
7-6の2-7 令第48条の2第5項第5号ニ《所有権移転外リース取引》に規定する「相当短いもの」とは、リース期間がリース資産の耐用年数の100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるものをいう。(平19年課法2-17「十五」により追加)

(注)

1 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産につき耐用年数を加重平均した年数(賃借人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により判定を行っているときは、これを認めるものとする。

2 再リースをすることが明らかな場合には、リース期間に再リースの期間を含めて判定する。

(税負担を著しく軽減することになると認められないもの)
7-6の2-8 賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなリース取引については、令第48条の2第5項第5号ニ《所有権移転外リース取引》に規定する「賃借人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるもの」には該当しないことに留意する。(平19年課法2-17「十五」により追加)