法人が年の途中で、事業用建物を取得した場合について、取得した日の属する年度の固定資産に関し、当該建物の旧所有者との間で、譲渡契約に基づき、その所有期間に応じて、相互に固定資産税を負担することがある。建物の取得者は、その意思に基づいてではなく、契約書面だけでは事実上の取得にすぎないとされうるから、所有権移転登記をするわけであるから、当然、登記の完了をもって法律上の所有者となる。法人税の執行上も固定資産税は、固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示に含まれていない(法基通7-3-3の2)。しかし、固定資産税は暦年課税であるから、その年の1月1日の所有者が課税を受けることとなっている。固定資産負担の上記のような負担方法は、慣行とされいるのであるが、こうした慣行は、売主の方が買主に固定資産税を払わせることを認めさせきたという既成事実にすぎず、税法は民商法の特別法であるから、新取得者の固定資産税の負担は、売買当事者つまりは事業関係者との関係に基づく経済的利益の供与であるから、交際費であると主張も理論的には成立しうるかに見える。ただ、事業を行う上で、経済関係社会関係等物的関係上、支払わざるを得ない義務的な支出といえなくもないから交際費や固定資産の取得原価に算入せず、租税公課として処理することも認められるものと思われる。