虚構たる不況、例えば、リーマンショックと呼ばれるもの以降、今も、派遣労働者や非正規社員等は、消費物資を切り詰めなければならないほどの生活を強いられている。資本家及び経営者と使用人、すなわち、生産手段を独占する階級と生産手段を所有しない階級との矛盾は、収入の矛盾、作り出された全生産物量を分配するに際し、各階級に分配される生産物の分け前、具体的には、給与の矛盾に現れる。階級の異なる存在は、その意識をも規定する。ブルジョア階級は、殆どと言ってよいくらい自らの技師である自民や民主を支持して投票する。わざわざ投票しなくても事前に技師の当選は決まっているのだが。

最も保守的且つ同時に支配的少数者にとって最も一般的な階級利害の実現は、生産物総量の分配に当たって、階級の持分を最大にしようとする階級の利害である。搾取が可能な生産関係を維持し拡張しようとする努力である。体育会学生を雇用し、労働組合をつぶしにかかったり、非正規雇用に切り替えて労働組合を解体してきた。会社が労働者の社会保険料を負担しなくてすむようにした。賃金を払いたくないから、不況ということにするのである。労働者は、労働者自身が作出するよりも多くを作出する。そして、それは、作出された生産物の一部、すなわち剰余価値が資本の増殖、蓄積(内部留保)に、配当原資として費やされるのみならず、労働者、特に高賃金労働者が生産手段を所有者を支持し、資本家のために働くからである。経営者は労働者に養われているにも関わらず、俺は社員とその家族を養っているのだという論理を、剰余価値増殖の手段である搾取の正当化や侵略戦争費たる税の負担を労働者に押し付けることの方便として使う。

社会の経済的構造は、そのブルジョアの代表者たる国家組織によって固められ、上部建築によって支持される。経済的な階級利害が、政治的、宗教的、ブルジョア科学等の利害の外衣を纏っている。一方の階級が他方の階級にその利害を認めさせて、一般的利害、社会的理想とされるものが形成されていく。高額の役員報酬や高額の配当金は、略奪戦争を支持し、派遣社員や植民地労働者を犠牲にして高められたものなのである。そして、戦争を遂行するに当たり、ブルジョアジーは、力の限りを尽くして民商法を破り、税法を破っている。しかも、その民商法又は税法自体、ブルジョアジーの利益を考慮し、戦争しているブルジョア国家によって作出されたものである。そして今も昔も臨時立法を名乗って、戦時立法がいとも簡単に成立する。

ブルジョアジーの利益を守るという要請から、国務、法律家を処理する階級を必要とした。政治は経済の集約的表現と言える。この階級並びにブルジョア学者は、ブルジョアの中から選出される。ブルジョア階級は、それとともに、労働者に労働の重荷を課すことも忘れなかった。ここでは、また、分業及び職業は、階級構成の原因ではなく、生産関係(労働の指揮者と使用人の関係)の一種にすぎない。目的(自然)や技術的関係(条件)からの職業及び分業ではないのである。