「原因論」の処で述べた生産関係と社会と意見(思想)と生活条件との相関関係によって問題解決を図る方法は、資本家は、効用を狙って生産をするのではなく、社会的効用にかかわりなく剰余価値を増殖する労働は、生産的労働である。

一切の労働は、生産に属するとの前提を導くことが可能となる。

しかし、これに対しては、全てのものは、この生産の中に埋没して、全体によって部分を説明しているのではないかという反論がありうる。

イデオロギーは社会関係、物的関係に基づいている点で観念とは異なるが、更に、理念、形象、規範、理論等の体系であるイデオロギーと意見(思想)つまり専門用語で言うと上層建築を区別する必要がある。

上層建築の領域としては、音楽を例に分割・分化を試みてみると、

1.意見を表明する技術、労働手段-音楽におけるライブハウス、楽器、PA、レコード、作曲技術、演奏技術(例えば、オカズやアドリブ)、他の人間を凌駕するシャウト力、正確なリズム、音程、メリスマ、微濁音等の技術、プロデュース技術。MC技術、パフォーマーの空間を利用する技術、これらを支える音楽知識 

2.人と人との関係-プロデューサーと作曲者・編曲者とシンガーの相互関係、舞台技術者との関係、ライブハウススタッフとの関係。観客との関係。

バンマスとメンバーの関係、スポンサーとの関係、レーベルとの関係

3.理念、形象、規範、理論等の体系-サウンド、歌詞両面における楽曲のコンセプト、スケールやコード進行、メイク、ランスルーの時間配分、イデオロギーの物質化したものが思考の分析の出発点ということで歴史上の楽曲(コピーという点で1,カヴァーの際、2に分類されることもありうる。その意味でこれを4.として1-3の2以上に亘って及びいずれにも横たわるものと新たに領域を設定できるかもしれない。)に分けられるのではないか。

反対論が生起したのは、例えば、意見の内部にある構成要素と他の構成要素との関係を具体的に示さずに、一面的な問題の立て方として、依存するとか規定するとかいう不確定概念を用いていることもあったからである。

生産力の要請はどこから、何ゆえにやってくるのかの根拠が明らかでないとの反論についても、前述の上層建築(心理ではない)の「影響」しうることによる生産の減退及び新しい生産までの停滞は、これに先行する生産力の状態によって絶えず制限されることを考慮に容れれば、目的論者の防波堤を崩すことは可能なのではないか。

上層建築中のイデオロギー的要因のみならず、上層建築の構成要素としての物的生産的社会的関係、又は、上層建築でないところの物的生産的社会的関係にも原因があることはいうまでもない。