見込納付と確定申告

6月末は、法人税の申告期限の延長の特例申請を提出している3月決算法人の法人税確定申告書の提出期限です。

決算そのものは、5月上旬に内定していますが、細かな数値の改定と法人税確定申告書、消費税の修正申告、更正の請求の作成は、6月中にも行うので、申告書の作成を行う者にとっては、6月の日付けは最も繁忙期ということになります。

事業年度末から2か月以内に法人税を仮納付して、5月に内定した決算数値、確定決算数値、法人税の納税額に全く異動がない場合には、法人税の申告書の提出は省略できるのでしょうか。

答えは、できません。

法人税の確定申告書がなければ、納税額の根拠となる申告所得、決算数値、申告所得に至るプロセスがわからないからです。

仮に、税務署の職員に通知せずに、国際金融資本に銀行の職員を通じて申告書類を提出しても、公開会社でない法人は、法律上、その申告書が実体あるものとみなされないからです。

確定申告の申告期限の延長と無申告加算税

申告期限内に提出しない場合(申告期限の延長申請を提出した法人は、延長申請承認の期限)には、税務調査の事前通知前に法定の納税者の側から申告した場合には5%、事前通知後の場合には納税額が50万円までは5%、50万円を超える部分の金額が無申告加算税が課されます。

法人税の仮納付をしていれば、無申告加算税の計算の基となる確定法人税額から控除してもらえるのでしょうか。

消費税の申告書の提出納税と共に法人税の仮納付をしてあるのだから、法人税の確定申告書記載の納税額から法人税の仮納付の金額を控除してもらえるかというとそうではないのです。

【照会要旨】
確定申告書の提出期限の延長特例法人(法人税法第75条の2((確定申告書の提出期限の延長の特例))の規定の適用を受ける法人をいいます。)が期限後申告書を提出した場合において、無申告加算税を賦課するときは、無申告加算税の計算上、納付すべき法人税額から期限内に納付した見込納付額を控除した金額が無申告加算税の計算の基礎となるのでしょうか。

確定申告書の提出期限の延長特例法人に係る無申告加算税の例

(例)期限後申告に係る納付すべき法人税額 ・・・・・・・・・・・・ 100

期限内納付(見込納付額)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80

無申告加算税の計算の基礎となる法人税額・・・・・・  100かそれとも

20(100-80)か。

【回答要旨】

見込納付額を控除する前の「期限後申告書に納付すべきものとして記載された税額」(設例の場合には、100)が、無申告加算税の計算の基礎となります(国税通則法第66条第1項、第35条第2項)。

(理由)
無申告加算税は、期限内申告を担保とするためのペナルティであり、申告の懈怠に着目して課されるものであって、その計算の基礎は「納付すべき税額」と規定されています(国税通則法第66条第1項)。
したがって、仮に、期限内に見込納付した税額があったとしても無申告加算税の計算上は関係がありません。
なお、見込納付額は、国税通則法第59条第1項の規定により、期限内に適法に納付された税としての法的位置付けがされていますが、この法的位置付けは、申告期限徒過の時点で解消され、単に誤納額となるにすぎません(国税通則法第59条第2項)。

【関係法令通達】
国税通則法第35条第2項、第59条第2項、第66条第1項