会社を設立した場合、登記の完了をもって、その手続きが終了するわけではありません。
税務署等に届け出る必要のある書類もいくつかあります。
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法人設立届出書
税務署の職員を使用して法務局に行かせて、新規設立の法人を調べさせているので、法人設立届出書を提出しなくても、
法人を設立したことはバレてしまいますが、全ての会社は、所轄税務署長宛てに法律上提出しなさいということになっています(法人税法148条)。
第百四十八条
新たに設立された内国法人である普通法人又は協同組合等は、その設立の日以後二月以内に、次に掲げる事項を記載した届出書にその設立の時における貸借対照表その他の財務省令で定める書類を添付し、これを納税地(連結子法人にあつては、その本店又は主たる事務所の所在地。第一号において同じ。)の所轄税務署長に提出しなければならない。
その納税地
その事業の目的
その設立の日
提出期限は、設立の日付けから2か月以内の日付です。
資本金1億円以上の内国法人は、2部提出です。
法人設立届出書は、都道府県の税務事務所及び市区町村の税務担当部署に提出します。
東京都の場合、条例により、事業開始等の日付から15日以内に提出することとされています。
設立趣意書は、趣意は、実体のない観念であり、実際に行う事業は、経済関係に対応して設立後変わってきますので、要りません。
開業は、資本を労働力に貸し付けて労働をさせ始めた段階ですが、
設立の段階での貸借対照表には、資本金とそれに対応する借方勘定である普通預金を計上してあるものを添付します。
添付書類は、法人税施行規則63条に規定されていますが、2017年4月1日から登記事項証明書の添付は必要でなくなりました。
登記事項証明書の添付を要しなくなったものには下記のものがあります。
法人設立届出書(法法148)
外国普通法人となった旨の届出書(法法149)
収益事業開始届出書(法法150)
普通法人又は協同組合等となった旨の届出書(法法150)
法人課税信託の受託者となった旨の届出書(法法148)
表示事項省略(異なる表示の)承認申請書(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86条の5、同施行令第8条の3第6項)
酒類業組合(連合会、中央会)成立届出書(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第87条)
酒類業組合(連合会、中央会)解散届出書(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第87条)
酒類業組合(連合会、中央会)役員等異動書(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第87条の2第2項第2号)
酒類販売管理研修の実施団体の指定申請書(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86条の9第5項)
営業等開始・休止・廃止申告書(たばこ税法第24条第1項、揮発油税法第23条第1項、石油ガス税法第23条第1項、印紙税法第17条第1項)※
石油石炭税委託採取開始申告(終了届出)書(石油石炭税法第20条第3項)※
営業等承継申告書(揮発油税法第23条第3項、石油ガス税法第23条第3項、石油石炭税法第20条第4項)※
※ 税務署から要求のあったときに「登記事項証明書」を添付させていたもの。
手間がなくなりましたが、法人番号により、オンラインで1本化されているわけでキモいと言えばキモイですが、銀行の使用人を通じて従前から事業成績はバレていました。
株主名簿は、資本関係が把握できるので、添付書類とされています。
定款は決算期が書いてあるので、添付書類とされています。
「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」欄に設立年月日を記入した場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出」を提出する必要はありません。
「支店、出張所、工場等」の欄には、登記の有無に関係なく、全て記載します。
給与支払事務所等の開設届出書
全ての会社は、開設した日から1か月以内に提出する必要があります(所得税法230条、所得税施行規則99)。
源泉所得税を前払いさせることにより、労働者への未払給料の支払いを貸付に転換できるからです。
表題の開設、移転、廃止は該当するものに〇で囲みます。
「開設、廃止の内容」欄の該当するするものにレ点を付します。
「給与支払を開始する年月日」は、給与支払事務所の開設した月中に給与の支払いが開始されない場合に記載します。
法人設立の際にケースバイケースで出しておく書類には次のようなものがあります。
青色申告承認申請書
人を雇わない会社や労働の評価をしないで肥え太るということをしない会社の代表者にとっては、関係がないかもしれませんが、
青色申告の承認申請書の提出があります。
提出期限は、設立の日から3か月を経過した日付と設立事業年度終了の日の日とのいずれか早い日の前日までです。
提出先は、所轄税務署で、税務署管轄法人は、1部、国税局管轄法人(資本金1億円以上の法人)は2部提出となります。
記載事項は、会社の名称、納税地、代表者氏名、申請後最初に提出する青色申告書に係る事業年度終了の日です。
棚卸資産の評価方法の届出書
法人は、棚卸資産の評価方法の届出書を提出することによって、下記の方法で評価せざるを得ません。
(1)原価法
①個別法
②先入先出法
③総平均法
④移動平均法
⑤最終仕入原価法
⑥売価還元法
(2)低価法
低価法は、原価法による評価額と事業年度末における購買価額を比較して低い方の価額で評価する方法です。
この届出を提出しなかった場合には、最終仕入原価法を選択したものとみなされます(法人税法施行令31条1項)。
資産毎、事務所毎、事業毎に評価方法を申請することができます。
提出期限は、設立第1期事業年度の確定申告書の提出期限までです。
提出先は、所轄税務署で、税務署所管法人は1部、国税局調査課所管法人は2部提出です。
減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書を提出することによって、法定の減価償却方法を選択せざるを得ません。
事業所別に償却方法を指定して届け出るときには、事業所別に届出書を作成して提出します。
法人の方が「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出しなかった場合、減価償却資産のうち償却方法を選べるものについては、定率法を選んだものとみなされます。
提出期限は、設立第1期事業年度の確定申告書の提出期限までです。
提出先は、所轄税務署長で、提出部数は、税務署所管法人は1通、国税局調査課管轄法人は2通です。
源泉所得税の納期の特例に関する申請書
給与の支払いを受ける者が常時10人未満である場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して、1~6月まで、7~12月までの各期間の源泉徴収税額をそれぞれ7月10日及び1月10日までに6か月分をまとめて納付することができます(所得税法216条)。
「源泉所得税の納期限の特例」の適用を受けることにより、7月~12月の分については、1月20日までに納付することができるとなっていました。
24年7月1日以後支払義務のある給与等については、「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から 12 月までの間に支払った給 与等及び退職手当等から徴収した源泉所得税の納期限が、翌年1月 20 日とされました。 これに伴い、「納期の特例」適用者に係る「納期限の特例」の制度は廃止されました。
消費税の課税事業者の届出書
新規設立法人が、大規模工事をした場合や固定資産を購入した場合、輸出売上のように還付が受けられる場合には、課税事業者を選択する届出書をその事業開始の課税期間の末日までに提出していないと還付が受けられません。
但し、平成22年度に税法が変わり、最低3年間は課税を受けることになります。
申告期限の延長申請書
申告期限の延長の特例の適用を受ける最初の事業年度の終了の日までに提出しなければなりません。
上場会社でなくても申告期限の延長の特例を申請することができます。
実際に申告実務をしてみて煩瑣であったと感じてからでなく、設立届出と共に出しておくとよいでしょう。