所得税の確定申告をする義務がない人でも、住民税の申告をしなければならない場合があります。それは、どのようなケースで、いかなる手続をすればよいのでしょうか。
住民税の申告義務がある人
年の途中で退職して、年末調整を受けていないサラリーマン
給与所得以外の合計が20万円以下であることにより、確定申告しなかったサラリーマン
給与所得のある人で年末調整を受けているが、その他に合計20万円以下の年末調整を受けていない給与や、給与以外の所得がある人
給与所得のある人で支払者からの給与の報告が市区町村に来なかった人
事業所得・不動産所得などの合計が所得控除合計を下回り、確定申告しなかった人
非上場株の配当所得があるが、年間10万円以下なので確定申告しなかった人
非課税証明書等の発行を受けたい人や国民健康保険料の軽減措置、国民年金の納付猶予などの手続きをする人で市区町村に収入の資料のないかた
所得は公的年金のみだが、年金所得が400万円以下なので確定申告しなかった人
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、所得税の確定申告をする必要がありません。ただし、確定申告書を提出しなければ所得税の還付は受けられません。
この確定申告不要制度により確定申告を行なわなかった方のうち、以下に該当する方は住民税の申告が必要になります。
公的年金等に係る雑所得のみがある方で、「公的年金等の源泉徴収票」に記載のない社会保険料の金額や扶養親族、寄附金控除をはじめ各種所得控除及び生命保険料控除、医療費控除、住宅取得借入金控除等がある人
公的年金等に係る雑所得以外の所得がある人
住民税の申告期限は(所得税の)確定申告と同じく2月16日から3月15日です。6月、8月、10月、翌年1月が住民税の納期限となります。
住民税の申告手続き
住民税の申告に必要な物を挙げると下記のとおりとなります。
収入のわかるもの
アドセンス収益ページのコピー。
振込通帳のコピー。
会社から発行された給与所得の源泉徴収票(源泉徴収票がない場合は給与明細、支払証明書など)。
公的年金等の源泉徴収票(支払報告書など)
収支内訳帳(収入と経費が書かれた紙。市区町村によっては、申告書内にある場合もあります。)
本人確認書類
本人確認書類(免許証、健康保険証、在留カード)
マイナンバー通知カード
印鑑(認印で差し支えありません。)
所得控除の証明書、領収証
①小規模企業共済等掛金:払込証明書
②社会保険料:国民年金保険料等は証明書、 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などの領収金額がわかるもの
③医療費:領収書(合計金額を計算しておきます)コピーは不可。
④生命保険料・地震保険料:控除証明書、支払証明書
⑤障害者:障害の等級のわかる各種手帳(申告書を郵送する場合はコピーを同封してください。)
⑥勤労学生:学生証など(申告書を郵送される場合はコピーを同封してください。)
⑦雑損:警察の盗難届、消防署の罹災証明、領収書 ⑧寄附金:領収書、寄附金税額控除申告書
⑨国外にいる被扶養者の扶養控除を受ける場合:送金証明書及び家族証明等
領収書、レシートやクレジットカードの明細書は保管しておかないと経費の控除が難しくなります。
住民税申告書は、収支内訳帳は必要事項がもれなく記載されていれば、エクセルで作っても申告書として扱われます。
住民税を自分で納付したい場合は、普通徴収で行う旨を申請します。
後ほど自宅に住民税の書類が届くので、届いた書類に従って住民税を納税すれば完了です。
住民税の申告書の記載の仕方は、所得税の確定申告書と概ね同じですが、所得控除の額が所得税と異なります。
収入は、申告する年分の1月1日~12月31日おいて、商品、サービスの引渡しが完了(商品の場合は発送をもって労働を完了。サービスをする側が給与の場合には、支給金額が確定したもの)したもの全てです。
副業の場合の経費としては、インターネット料金、プロバイダー料金、サーバードメイン代、スマホ使用料、メール便代、他サイト、クリック課金の広告出稿代、ワードプレステンプレート代、adobeソフト代、ツール代、同業者とのオフ会に要した費用、情報交換会に要した費用、アプリケーションサービスプロバイダーの手数料、Fxの取引手数料、書籍代、セミナー代、写真代、ブログの記事、デザインを外注に出した場合の外注費、倉庫代、事務所家賃、水道光熱費などがありますが、労働以外の生活とまたがって使用しているものは、労働に要した分だけ経費に計上します。
まとめ
所得税の確定申告の義務がないからといって、住民税の申告のみで終えてしまった場合には、所得税法上の所得控除、税額控除、措置法上の特例、欠損金の控除、繰越、損益通算が行えなくなることがあります。
申告期限は、3月15日までありますので、総合的に考えて所得税の確定申告もするかどうかを考える必要があります。