確定申告の段階までにレシートや領収書が全て出てこないことは「たまたま」ではありません。管理の仕方に問題があるからですが、人は、領収書を置いておいた場所や挟んでおいたけれども、過去の確定申告のときにそれを確認し計上し忘れたということがないわけではありません。
請求書、発送送り状、納品書を介して取引をしている場合は、発送の連絡が来た段階で仕入れなり、棚卸で計上しますので、レシートや領収書の金額を計上し忘れるということはあまりありませんが、現金売りの店で買った商品の領収書、レシートは、細かく管理していなければ、計上し忘れます。
部屋を掃除していたら、過去の年分の領収書やレシートが見つかった場合で、それを過去の確定申告で計上していなかったことが確認できた場合、今年の経費になるのだろうか?
今年の経費にはなりません。
では、どうしたらいいのだろう?
ここで、多くのワードプレスのブロガーさんは、
文脈と関係ある画像を貼るとGoogleの使用人をして検索上位にしてもらえるので、
“困り顔のブス”の画像を貼るところですが、俺は貼りません。
大抵の税理士が書いたブログ、知恵袋、教えてgoo、クラウド会計の宣伝などでは、「今年の経費にできないからあきらめろ」「更正の請求ができます」「更正の請求の期間が過ぎたら嘆願書を書け」としか書かれていません。
税理士と契約していない素人にいきなり、更正の請求や嘆願書を出せだなんて、できるわけがありません。
しかも税金のプロでありながら、「更正」を「更生」と書いています。
しかし、税理士に払う金がない。払う金はあるけど税理士は使えない。
それじゃ、あきらめろというのか?
税金は、債権者でありながら、労働者が法律上債務を負わされて支払わざるを得ないものです。
みすみす諦めることはありません。
過去のレシートや領収書が発見された場合、もっと、簡単にできる、現実的な経費として申告する方法がないわけではありません。
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過年度(前期)損益修正損
法人税は、800万円以下の部分は、15%ですが、800超の部分は、23.9%で、所得金額に関わりなく税率が一定である平均課税ですが、所得税は、上の表のように累進課税となっています。
法人税は、平均税率なので、法人税の所得計算においては、決算書を作る過程で、決算仕訳において前期損益修正損という科目を用いて、費用損失の計上を行うことがあります。
この前期損益修正損が建てられる例として、通達の解説本や契約変更の場合などが挙げられ、費用の計上漏れがあっただけでは、計上できませんと書かれていたり、裁決などでは、前期損益修正損の計上を認めると、当期の費用を多額の収益が出たときに計上することができてしまうので、費用の計上漏れというだけで、前期損益修正損の計上は認められないよと言っています。
しかし、現実の実務では、費用の計上漏れを、それが実現した期に計上させたところで、実現した期に繰越欠損金が発生し、当該事業年度で欠損金を使い切ってしまう場合などは、繰越欠損金が控除できる期間又は更正ができる期間においては、控除を認めざるをえないので、更正の請求をしなさいとは言いません。
それに、将来の利益予測や租税回避の意図は、実体がないので、立証のする手段はありません。
またそのようなケースでない場合でも、それを発見した期に計上して、金額が小さいと評価されればスルーで、金額が大きいと評価された場合には調査が入ります。調査の際に、それが発生した期は違う旨を話して減額更正をさせるというのが、現実の実務のやり方です。
課税側も使用人の労力を要し、コストがかかるので、そのまま発見した年度の計上を認めてしまうこともあります。
所得税の場合においては、計上し忘れた年分の費用が実現した年分に計上した場合の費用が実現した年分の適用税率と今年に計上した場合の適用税率が同じであれば、法律上は邪道ですが、課税側は何も言ってこないでしょう。
1,000円未満は切り捨てですから、例えば、1、000円未満の商品を引渡しの年分でなく、発見した年分で計上しても100%何も言ってきません。
国税局電話相談で回答しているのは、税理士ですが、余程経験や知識が浅い税理士でないかぎりは、更正の請求をして下さいとは言いません。
27年に買って使った消耗品を27年に計上した場合の税率が10%で、それを27年に計上せずに28年分の必要経費に計上したら、28年分に適用される税率も10%だった場合には、28年に計上したとしても、課税側は、先ずは何もいってこないでしょう。
嘘だと思ったら税務署の職員に直接聞いてみて下さい。私は、こんな下らないこと聞いたことはありませんが、よほど、経験や知識の浅い職員でない限り、今年でやって構わないと言いますから。
27年12月に買った減価償却資産を計上し忘れても、減価償却は試運転させて労働をさせたときが計上始期ですから、初めて肉体をして稼動させたのが28年からであると説明して、28年分の資産計上、減価償却をすればいいだけです。
28年で計上して計算したところ、税率の区分が変わってしまったのであれば、調査が事実上行われるのは過去3年、繰越欠損金が使えるのが3年、課税側が更正できる期間が7年(法人の場合は最長9年)ですので、現実の実務においては、金額に応じて3~9年に分割して計上しています。
発見した年が実現した年分を入れて数えて7年目又は9年目であれば、発見した年分で一括で計上して、調査の際にその旨を話して、減額更正をさせるというのが実務上のやり方です。
科目は、買った品物の科目でやります。消耗品を買ったのであれば、消耗品、仕入れであれば、仕入れ(在庫は棚卸資産)です。
こんな細かいことわからないという人は、発見した年分の確定申告書の必要経費に一括で計上してみるのという考え方も成立します。実際にそうしている人もいます。
いつもの年よりも突出して膨らんでいる費用がなければスルーされますし、突出したものがあれば、更正の請求を出した場合と同様に調査を受けます。
レシート、領収書があっても、労働する上で、生産手段になり得ないものは、費用として認められません。
過去の領収書、レシートを今年の必要経費に算入して認められなかった場合には、下記のように過少申告加算税及び延滞税が課税されます。
経費として認められるかどうか、必ずしも明らかでない場合には、必要経費に計上して下さい。
更正の請求よりも、「経費にならないと指摘された後で払う」の方が簡単にできますから。
「指摘されたら払う」には、「修正申告」をすると「更正処分を受ける」というものがあります。
修正申告に応じると不服申立てができなくなります。
修正申告に応じないのであれば、課税側に更正処分をさせて下さい。
課税側は、課税を受ける経済上の事実関係をフィクションさせてきたかという課税の根拠すなわち方便を書かなければなりませんから、課税するのは難しくなります。
第六十五条 期限内申告書(還付請求申告書を含む。第三項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第一項ただし書又は第六項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。
2 前項の規定に該当する場合において、同項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があつたときは、その国税に係る累積増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と五十万円とのいずれか多い金額を超えるときは、同項の過少申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、当該超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは、当該納付すべき税額)に百分の五の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
※2017年1月に納期限が到来するものから、調査の連絡から調査の開始前までに修正申告をした場合にも5%(50万超の部分は10%)の過少申告加算税が加算されることになりました。
第六十条 納税者は、次の各号の一に該当するときは、延滞税を納付しなければならない。
一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき国税があるとき。
三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。
四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
五 源泉徴収による国税をその法定納期限までに完納しないとき。
実際のところ、修正申告の慫慂に応じれば、増額する税額が10万円程度であれば、過少申告加算税を全く課してこないことがあります。
2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第十七条第三項 (引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付)の規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日)の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額とする。ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第六十三条第一項、第四項及び第五項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した額とする。
3 第一項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。
4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
(1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
年「7.3%」
平成12年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」の割合となります。
また、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりです。
平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間 年2.7%
平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間 年2.8%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間 年2.9%
平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間 年4.3%
平成21年1月1日から平成21年12月31日までの期間 年4.5%
平成20年1月1日から平成20年12月31日までの期間 年4.7%
平成19年1月1日から平成19年12月31日までの期間 年4.4%
平成14年1月1日から平成18年12月31日までの期間 年4.1%
平成12年1月1日から平成13年12月31日までの期間 年4.5%
(2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
年「14.6%」
平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年9.0%
平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年9.1%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%
(注1) 法定納期限とは、国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限をいいます。
(注2) 納期限は次のとおりです。
期限内に申告された場合には法定納期限
期限後申告又は修正申告の場合には申告書を提出した日
更正・決定の場合には更正通知書を発した日から1月後の日
(注3) 特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣に告示させた割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
現実の実務では、修正申告に応じると、1~2ヵ月程度であれば、延滞税を執行してきません。それを超えて年2.7%、一年分の利息しか執行してこないことも多いです。
国際金融資本は、無制限に紙幣を脳内でフィクションして社会に認めさせることができますから。
更正の除斥期間
第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。
一 更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)
二 課税標準申告書の提出を要する国税に係る賦課決定 当該申告書の提出期限
三 課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日
2 法人税に係る純損失等の金額で当該課税期間において生じたものを増加させ、若しくは減少させる更正又は当該金額があるものとする更正は、前項の規定にかかわらず、同項第一号に定める期限から九年を経過する日まで、することができる。
3 前二項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた更正の請求に係る更正又は当該更正に伴つて行われることとなる加算税についてする賦課決定は、前二項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。
4 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。
一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等
二 偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正(前二項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)
三 所得税法第六十条の二第一項 から第三項 まで(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)又は第六十条の三第一項 から第三項 まで(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)の規定の適用がある場合(第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出及び税理士法 (昭和二十六年法律第二百三十七号)第三十条 (税務代理の権限の明示)(同法第四十八条の十六 (税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)において準用する場合を含む。)の規定による書面の提出がある場合その他の政令で定める場合を除く。)の所得税(当該所得税に係る加算税を含む。第七十三条第三項(時効の中断及び停止)において「国外転出等特例の適用がある場合の所得税」という。)についての更正決定等
法律に則ったやり方は更正の請求
上記の方法は、国際金融資本の代理人との交渉術、取引例を挙げただけです。
法律どおりにクソまじめにやるというのであれば、更正の請求というものがあります。
確定申告書を提出した後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合や確定申告をしなかったことにより決定を受けた場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに実際の所得に応じた税額にすることを求める場合の手続です。
更正の請求をする場合には、請求の原因となる経費等のレシート、領収書の”写し”を添付して提出します。
更正の請求をすると、減額される税額が大きいと評価されると必ず調査を受けます。
経費が実体のないことを立証する義務は課税側ですが、経費が実体があることを立証するのは納税をする側です。
原本を提出してしまうと、手元にレシート、領収書が残りません。
更正の請求は、国税に関する法律の規定に従っていなかった場合又はその計算に誤りがあった場合は、法定申告期限から5年以内に提出しなければなりません。
確定申告の必要のない方が確定申告の必要があるとした場合の法定申告期限後に、還付申告をした場合はその提出した日から5年以内です。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。