土地収用とは、日本国憲法第29条第3項「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」に基づき、公共の利益となる事業の用に供するという名目で、土地の所有権その他の権利を、収用委員会(委員は都道府県議会の議決を経て任命された収用委員により構成される行政委員会)での審理や裁決など、一連の手続きを経てその権利者の意思にかかわらず、国又は地方公共団体等に強制的に取得させる行為をいいます。

国も地方公共団体も実在しません。補償金は、国際金融資本から支出されます。委員は、国際金融資本が出資設立した機関で教育を受けた者が任命されます。

ここでいう公共工事は、実際には、国際金融資本が建設会社の下請会社の労働者に貸付けをフィクションして労働をさせる民間事業です。

国がやったことにすれば、国債の発行をフィクションさせることができます。

国際金融資本は、労働者が産み出した利潤を借りて日銀を出資設立した自分に国債を買わせれば、未払いの労働の評価を貸付けにすることができ、国際金融資本の借金である国債を負担させることができます。

収用による譲渡益は、キャピタルゲインや交換によって産み出されたものではありません。

譲渡益は、労働によって産み出された利潤の評価を、労働の評価をゼロにすることによって旧資産に転嫁され、旧資産を引き渡すことを労働の完了とみなし、引換に得た商品を評価して実現されたものです。

資産が、土地収用法等の規定によって、特定の公共事業等の名目で収用が社会に認めされられたり、買い取られ補償金等を収受した場合には、その補償金等の全部又は一部の金額で一定の期間内に代替資産を取得したときは、「収用交換等の場合の譲渡所得の特別控除の特例」と「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を選択することを余儀なくされ、それを条件に、その譲渡所得についての特例の適用を受けられることができるとされています(措法33条、64条)

国際金融資本は、労働量が大きいと評価される事業を行わせれば、評価をゼロにできる労働の評価の量も大きいわけでです。

これら特例は、国際金融資が、労働が評価されずに国際金融資本に前貸ししている労働者に、補償金を取得しても、代替資産を買って労働力に貸付けて、労働をさせて、産み出した利潤を、労働を評価せずに国際金融資本に使用させ、分配させてくれれば、国債の負担を軽くしてやるよ言っているものである。補償金といっても実体は、労働者への貸付けのフィクションです。

収用等により取得する各種補償金の所得区分

収用の補償金は、対価補償金。移転補償金。収益補償金。経費補償金。その他の補償金。の5種類あります。
例えば、対価補償の金額は譲渡所得又は山林所得、移転補償金は一時所得、収益補償金等は事業所得等とはされますが、例外的な取扱いにより、所得区分が変わることもありえます。

このうち、代替資産の買換え特例や5,000万円の特別控除の特例を適用できるのは、対価補償金に対してのみです(措置通 33-9)。ただし、一定の補償金について特別な扱いがされるものがあります。例外的には、対価補償金以外のものでも経済実態に応じて取り扱われるケースがあります(措置通64(2)-3、5 他)。

対価補償金

土地や建物等の買取りに対する補償金です。

他人の建物を使用していた者が、その建物を収用等されたことに伴い転居先の建物の賃借に要する権利金等に充てることを義務づけて交付を受ける借家人補償金は、対価補償金として取り扱われます( 措通33-30 )。
土地の買収(あるいは土壌採取)がある場合のみ、補償金課税の特例が受けられます。

したがって、借家人補償金を取得した者が土地建物を取得して他に転居した場合には、その土地建物を代替資産として、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例や特別控除の規定が適用されます。

5年を越えて所有している山林の伐採、または譲渡による補償金は「山林所得」になり、土地代金とともに「対価補償金」として扱われますので、5,000万円の特別控除の適用になります。
ただし、伐採した立木を起業者やその他へ売却した対価は、特例の適用がない「山林所得」となります。
なお、5年以内で伐採、または譲渡による補償金は「雑所得」として扱われ、課税されます。

事業を廃止する場合等でその事業の機械装置等を他に転用できないときに交付を受ける経費補償金は、 対価補償金として取り扱うことができます。

土地等の収用等に伴い、起業者から当該土地等の上にある建物又は構造物を曳家し又は移築するために要する費用として交付を受ける補償金であっても、目的は実体のない観念であるから、その交付を受ける者が実際に当該建物又は構築物を取り壊したときは、当該補償金(当該建物又は構築物の一部を構成していた資産で、そのもの自体としてそのまま又は修繕若しくは改良を加えたうえ他の建物又は構築物の一部を構成することができると認められるものに係る部分を除く。)は、当該建物又は構築物の対価補償金に当たるものとして取り扱うことができる。5,000万控除の特例の適用が受けられます。

補償金を受けて建物等を曳き家又は移築した場合で実際にはその建物等を取り壊したとき及び移設困難な機械装置の補償金を 受けたときは、対価補償金として取り扱うことができます。
注)土地の買収(あるいは土壌採取)がある場合のみ、補償金課税の特例が受けられます。

家屋を取り壊す場合の建物移転補償金は、対価補償金として扱われ譲渡所得となります(措置通 33-14)。

収益補償金名義で交付された補償金を対価補償金として取り扱う場合
建物の収用等に伴い営業補償金名義で補償金の交付を受けた場合に、その建物補償金として交付を受けた金額が、収用等をされた建物の再建築価額(収用等された建物と同一の建物を新築すると仮定した場合の取得価額)に満たないときは、その満たない金額に達するまでの金額を譲渡所得の計算上その建物の対価補償金として計算すれば、その部分の収益補償金は対価補償金として取り扱われます(措通 33-12 )。

すなわち、建物の取壊しが義務付けられていて、起業者が補償金の算定の基礎とした建物の再建築価額が明らかであれば、その再建築価額までは補償されるけれども、もしその補償金が再建築価額より少ない場合には、その再建築価額に達するまでの金額を収益補償金から対価補償金に振り替えて計算することができることになります。この場合、起業者における補償金の算定の基礎とした建物の再建築価額が明らかでないときは、収用等された建物が、木造または木骨モルタル造りであればその対価補償金の65分の100を、その他の構造のものであればその対価補償金の95分の100を、再建築価額として上記の振り替えが認められることになります。

土地補償金、残地補償金は、土地対価補償金(措置通 33-16)

所有する土地等の一部について収用等された場合に、その残地の損失について交付を受ける残地補償金は、収用等された土地等の部分の対価補償金とみなして取り扱うこととされています。ただし、収用等された土地が棚卸資産又は棚卸資産に準ずるものであるときは収益補償金となります(措通 33-16 )。

なお、土地の一部が収用等されたために、残地を従来利用していた事業に供することが困難となり、その残地について収用等の請求をすれば、収用等されることとなる事情があることから、残地を起業者に買い取られた場合には、買い取られた土地の対価については、収用等の課税の特例が適用されます(措通 33-17 )。

収益補償金のうち建物の収用等に伴って支払われる営業・家賃減収補償金

土地の買収(あるいは土壌採取)がある場合のみ、補償金課税の特例が受けられますが、

営業補償金は、原則として収益補償金です。よって、事業所得や不動産所得に計上します。

建物等対価補償金その他、建物移転補償金・工作物移転補償金、営業補償金の中にも対価補償金に該当するものがあります(措置通 33-11、14)

立竹木移転補償金 は、立竹木対価補償金(譲渡所得)となります。

使用補償金
譲渡所得の基因となる不動産等の貸付け、すなわち、地下鉄や高架鉄道により借地権を設定した場合や、特別高圧架空電線の架設や飛行場又はモノレール等が原因で地役権を設定した場合などで、その設定等により受ける対価補償金の金額がその土地の設定前の更地価額(借地権の転貸となるときはその借地権の価額)の1/2(土地の上下の範囲を定める借地権等の場合や遊水地役権などの場合にあっては、1/4)を超える場合には収用等の課税の特例の適用があります。

しかし、工事中に、材料置場、工事事務所用地等として一時的に土地等を使用させることに伴う賃貸料その他の補償金には、収用等の課税の特例の適用がありません。

農業廃止に伴う農機具等売却損の補償は、「対価補償金」として扱われますので、5,000万円の特別控除が適用になります。

移転補償金

建物や構築物、立竹木等、資産の移転に要する費用の補償金です。資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付される補償金

移転補償金・・・仲介手数料、登記費用

建物確認申請の手数料・建物登記費用などの移転雑費の補償

法令上の手続き費用は、「移転補償金」として扱われます。ただし、交付の目的に従って充てた金額は課税されません。

これらは、その交付の目的に従って支出した場合は、その支出した額については、総収入金額に算入されません。
その交付の目的に従って支出されなかった場合又は支出後に補償金が残った場合、一時所得又は不動産所得になります。

目的は、実体のない観念ですから、補助金を国際金融資本が代理人をして規定したとおりに履行させなければなりません。

目的とありますが、現実にフィクションされた経済関係上は、義務と言っても差し支えないでしょう。

動産移転補償金、仮住居補償金、移転雑費補償金は、一時所得に該当します。

都市計画法による買取請求に基づく買取りの場合(措置法33①三の三)
土地等が都市計画法第52条の4第1項(市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内の土地の施行予定者に対する買取請求)、同法第57条の5(施行予定者が定められている都市計画施設の区域等内の土地の施行予定者に対する買取請求)又は同法第56条第1項(建築物の建築が許可されない場合の事業予定地内の土地の買取り申出)の規定に基づいて買い取られ、対価を取得する場合

(注)1 これらの区域等は強い権利制限が付されており、買取請求に基づく土地等の買取りは、収用事業である都市計画事業に直結していることから、これを収用等の範囲に含めています。

2 これらの規定により土地等が買い取られた場合に、その土地等の上に存する建物についての移転補償金が支払われたときには、その建物の移転補償金については収用等の課税の特例の適用がありません(措置法33③二)。

土地等が使用される場合(措置法33③一)
土地等が、①土地収用法等の規定に基づいて使用され、補償金を取得する場合又は、②土地収用法等を手段とする契約により使用され、対価を取得する場合において、その土地等の使用が所得税法施行令 第79条 に規定する「譲渡所得の基因となる不動産の貸付け」に該当するとき

(注) 土地等が使用される場合にも、その使用の対価の額又は補償金の額がその土地の時価の2分の1(特定の場合には4分の1)を超え譲渡所得として課税されるときには、収用等の課税の特例が適用されます。なお、対価又は補償金の額が2分の1を超えない場合には、その対価又は補償金に係る所得は不動産所得として課税されることから、この特例の適用はありません。

一定の収用等をされた土地の上にある資産を取り壊した場合(措置法33③二)
土地等が収用等されたことに伴い、その土地の上にある資産について収用され、又は取壊しや除去しなければならなくなった場合において、その資産に係る対価又は補償金を取得したとき

(注)1 これは土地が収用等又は使用されるすべての場合に適用があるものではなく、この土地等の収用等が上記に掲げられたケースなど特定の場合に限られます。

2 上記Nの場合において土地の使用の対価又は補償金の額がその土地等の時価の2分の1(又は4分の1)を超えず不動産所得となる場合においても、その土地の上にある建物等の移転補償金等については、収用等の課税の特例の適用があります(措通 33-26 )。

収益補償金

収益補償金は、所得補償金です。

家賃減収補償金は不動産所得、営業補償金等は事業所得といった具合に、所得補償の種類に応じた所得に区分されます。

廃止の場合転業に必要な期間中の所得相当額の補償は、「収益補償金」の扱いとなり課税の適用を受けます。また、休止の場合の所得減補償も同様の取扱いとなり課税の適用を受けます。

立毛補償、土地使用料は「収益補償金」とみなされ、課税の特例は受けられません。

経費補償金

事業上の費用の補てんに充てるものとして交付される補償金。たとえば、解雇手当補償金や休業手当補償金がこれにあたります。

(イ) 休廃業等の補てんに充てる補償金・・・不動産所得、事業所得又は雑所得。
(ロ) 収用等による譲渡資産以外の資産(たな卸資産を除きます。)についての損失補てんに充てる補償金・・・ 山林所得又は譲渡所得。

経営規模縮小に伴う農業施設・農機具等過剰遊休化による損失の補償は、「経費補償金」として扱われ課税の対象となります。

その他の補償金

原状回復費、協力料などの補償金

その実体に応じ、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。 ただし、改葬料や精神的補償など所得税法上の非課税に当たるものは、課税されません。実体のない観念ですけれども、課税はされません。

その他補償金の中にも対価補償金とすることができるものがある。

建物対価補償金で買換え物件金額に足りない場合は、建物等対価補償金に振替できます(措置通 33-11)。また動産移転補償金等は引越し代であるから、運送業者費用やマンション家賃等を引いた残額があれば課税されます。計算の結果税額が 0 になる場合でも、特例ですから確定申告する必要があります。

土地建物について、対価補償金・収益補償金・経費補償金・移転補償金のどれが交付されたかは収用証明書等
に記載されています

公共事業の施行者から収用事業であれば、「収用証明書」などとともに「不動産等の譲受の対価の支払調書」の交付を受けた場合、
この支払調書から課税処理上の区分をする。

交付された補償金がいずれの補償金に該当するかどうかの判定は、名義の如何を問わず現実の経済関係に基づいて確定するものとされていますが、その判定が困難なときは、課税上弊害がない限り、事業施工者の証明するところにより判定するものとして取り扱われています。

収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

個人が公共事業のために土地を譲渡した場合に、その譲渡に係る対価補償金を当てて代替資産を取得したときは、課税が繰り延べられたものとみなし、譲渡所得の税額計算において、その対価補償金(代替資産の取得に当てた部分の金額に限る。)を譲渡所得の金額に含めないことができます。租税特別措置法に定める「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(同法33条)と呼ばれる課税の特例です。ただし、その適用を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

代替資産の買換え特例を適用した場合の譲渡収入は、対価補償金から代替資産の購入価格を差し引いて計算されます。(代替資産の購入価格に相応する対価補償金は売却してないものと考えます。)

代替資産の買換え特例を適用した場合、対価補償金に対する譲渡収入の割合の必要経費を計算上の必要経費とします。

計算上の必要経費=必要経費×(譲渡収入÷対価補償金)

買換え特例を適用した場合の新しい資産の取得価額は次のように計算されます。

① 収用による対価補償>代替資産の取得費(購入価額等)
譲渡資産の取得価額×代替資産の取得価額÷収用による対価補償

② 収用による対価補償=代替資産の取得費(購入価額等)
譲渡資産の取得価額

③ 収用による対価補償<代替資産の取得費(購入価額等)
譲渡の取得価額+代替資産の取得費-収用による対価補償

課税の繰延べ

譲渡所得の計算
譲渡資産の収入金額>買換資産の取得価額 (使い残しの場合)
譲渡資産の収入金額<買換資産の取得価額 及び 譲渡資産の収入金額≦買換資産の取得価額

譲渡所得金額は生じません。

収用等により受け取った補償金で、代わりの資産を取得した場合に適用できます。収用により受け取った補償金より買い換えた資産の金額の方が多いケースには、収用に関する譲渡所得税は0円になります。

第二十八条の四  個人が、他の者から取得をした土地(国内にあるものに限る。以下この条において同じ。)又は土地の上に存する権利(以下この条において「土地等」という。)で事業所得又は雑所得の基因となるもののうち、その年一月一日において所有期間が五年以下であるもの(その年中に取得をした土地等で政令で定めるものを含む。)の譲渡(地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるもの(次項及び第三項第一号において「賃借権の設定等」という。)及び土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為その他の行為で土地等の譲渡に準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この条において「土地の譲渡等」という。)をした場合には、当該土地の譲渡等による事業所得及び雑所得については、所得税法第二十二条 及び第八十九条 並びに第百六十五条 の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該土地の譲渡等に係る事業所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「土地等に係る事業所得等の金額」という。)に対し、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額に相当する所得税を課する。

一  土地等に係る事業所得等の金額(第五項第二号の規定により読み替えられた所得税法第七十二条 から第八十七条 までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額。次号において「土地等に係る課税事業所得等の金額」という。)の百分の四十に相当する金額
二  土地等に係る課税事業所得等の金額につきこの項の規定の適用がないものとした場合に算出される所得税の額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の百十に相当する金額

3  第一項の規定は、次に掲げる土地等の譲渡に該当することにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものについては、適用しない。
一  国、地方公共団体その他これらに準ずる法人に対する土地等の譲渡(賃借権の設定等を含む。以下この項において同じ。)で政令で定めるもの
二  独立行政法人都市再生機構、土地開発公社その他これらに準ずる法人で宅地若しくは住宅の供給又は土地の先行取得の業務を行うことを目的とするものとして政令で定めるものに対する土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等が当該業務を行うために直接必要であると認められるもの(政令で定める法人に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等の面積が千平方メートル以上である場合には、第四号イに掲げる要件に該当する譲渡に限るものとし、土地開発公社に対する土地等の譲渡である場合には、政令で定める土地等の譲渡を除く。)
三  土地等の譲渡で第三十三条の四第一項に規定する収用交換等によるもの(当該収用交換等のうち政令で定めるものによる土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等の面積が千平方メートル以上である場合には、次号イに掲げる要件に該当する譲渡に限るものとし、前二号に掲げる譲渡に該当するものを除く。)

資産を収用等されたことにより、①これに代えて代替資産を取得して「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を適用した場合、②交換処分等により取得した同種の資産について「交換処分等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を適用した場合及び③換地処分等により取得した土地等について「換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例」の適用がある場合においては、これらの代替資産、交換取得資産及び換地処分等に係る取得土地等をその後譲渡した場合のその取得時期や取得費の計算に当たっては、元の譲渡資産の取得の日と取得価額を引継ぐことになります(措法 33の6 )。

将来買換え資産を売却するときまで、譲渡所得税は将来に繰り延べられます。

なお、収用等により譲渡した資産の取得費のうち、譲渡がなかったものとされる部分に対応する金額は、代替資産に引継がれます。

収用により受け取った補償金より買い換えた資産の金額の方が少ないケースは、受け取った金額と買い換えた資産の購入価額の差額を、譲渡収入金額とします。買換え終了の段階で譲渡所得税が発生します。

代替資産取得の特例は、課税の免除ではなく将来への先送りにすぎません。

すなわち、譲渡資産の取得価額を引き継ぐことで課税を繰り延べるので、将来売却する段階で課税が発生します。

また、土地を収用されて代わりに土地・建物を購入した場合には、建物部分には適用できません(東京高裁 平成 18年 12月 20日判決)。

代替資産の買換え特例 適用要件

(1)収用された土地・建物は固定資産であること。(不動産業者等の販売用不動産は、棚卸資産です。)

収用等による土地の譲渡であること。

売った資産と同じ種類の資産を買い換えること。 同じ種類とは、例えば土地と土地、建物と建物(個別法)。土地建物と土地建物(一組法 措令22条)。 事業用の資産を買い換える方法(事業継続法)の3通りの考え方が あります。

(2)代替資産は、次のいずれかであること。

その取得に当てる対価補償金に係る資産と同種の資産(たとえば、居住用の土地、又は居住用の建物)

その取得に当てる対価補償金に係る資産が、2以上の資産で一つの効用を持つ資産(一組の資産。たとえば、居住用の土地建物)であったときは、同種の一組みの資産の一部又は全部(たとえば、居住用の土地、居住用の建物、又は居住用の土地建物)

その取得に当てる対価補償金に係る資産が、その個人の営む事業に使用されていた資産(事業用資産)であったときは、その個人の営む事業に供する土地又は減価償却資産

(同種の資産)

譲渡資産が次に掲げる資産の区分のいずれに属するかに応じ、それぞれこれらの区分に属する資産であるもの(措令22④)。

土地又は土地の上に存する権利
建物(附属設備を含む。)又は建物に附属する一定の構築物
建物に附属する一定の構築物以外の構築物

土地と土地等

(一組の資産)

譲渡資産が①の区分の異なる2以上の資産で、一の効用を有する一組の資産となっており、かつ、その一組の資産が次の用に供される場合において、その一組の資産と同じ効用を有する他の資産であるもの(措令22⑤、措規14③)。

物には、効用は備わっていません。物の存在によって自動的に変化がもたらされることはありません。
その一組と同じく、資産を労働者に貸し出して、労働をさせて、利潤を産み出し、資本に引き渡すことができるものということです。

居住に用いていること
店舗又は事務所に用いていること
工場、発電所又は変電所として用いていること
倉庫として用いていること
劇場の用、運動場の用、遊技場の用その他に用いていること

居住用の建物とその敷地が収用等をされた個人が、その有する土地上に居住用の建物を取得した場合、その建物は収用等された建物とその敷地の代替資産に該当します(措通33-39)。

店舗用から店舗用等

(事業用資産)

譲渡資産が譲渡した個人の事業用不動産であった場合に、その者が事業の用に供するため前述①及び②の資産以外の不動産を取得したときにおける、その取得した不動産(措令22⑥)。

例:事業用建物から減価償却資産等

原則として、土地建物の収用等のあった日から2年以内に代わりの資産を取得すること。やむを得ない事情がある場合、取得期間の延長も認められます。

しかし、収用等のあったことに伴い、工場等の移転を要することとなった場合に、工場敷地の造成及び工場の建設、移転に要する期間が通常2年を超えるため、収用等のあった日以後2年を経過する日までに代替資産の取得が困難であり、かつ、収用等のあった日から3年以内に代替資産を取得することが確実であると認められる場合には、3年以内の期間内でその代替資産を取得することができることとなると認められる日まで代替資産の取得期間が延長されます。

また、収用事業が完了した後にその施行地内の土地等を代替資産として取得するような特殊な場合には、収用等のあった日から最高8年6か月の範囲内で、代替資産を取得することができることとなる日まで代替資産の取得期間が延長されます。

ところで、代替資産の取得期限は、いずれの場合においても収用等のあった日以後の取得を予定して定めているものですが、次のような場合には、収用等のあった日前に取得したものも代替資産として取り扱うこととされています。

すなわち、土地収用法第16条(事業の認定)の規定による事業の認定又は起業者からの買取りの申出があったこと等により、資産の収用等が確実となったため、それに代わる資産をあらかじめ取得したような場合には、その取得が、収用等のあった日の属する年の1月1日前1年以内で、かつ、事業の認定又は買取り申出後に行われたものであれば、その資産は代替資産として取り扱うこととされています(措通 33-47 )。

この場合、工場等の建設又は移転を要することとなり、かつ、その建設又は移転が通常1年を超えると認められる事情にあるときは、収用等のあった日の属する年の1月1日前3年以内に取得した土地等も代替資産として取り扱われます。

交換処分等により資産を取得した場合

個人の有する資産が収用その他次に掲げる事由により他の資産と交換等された場合には、交換取得資産を代替資産と同様に扱い、①交換取得資産のみを取得することとなった場合には交換譲渡資産の譲渡がなかったものとして課税を繰り延べることとし、②交換取得資産とともに補償金等(対価または清算金を含みます。)を取得した場合には、その補償金等の部分の譲渡があったものとすることになっています(措法 33の2 ①)。

(1) 個人の有する資産(棚卸資産を含みます。)につき土地収用法等の規定による収用等があった場合において、その資産と同種の資産の交付を受けたとき

(注)1 「収用等」とは、収用のほか、買取りの申出を拒めば、土地収用法等の規定に基づいて収用されることとなるから、買取りの申出に応じて買い取られた場合を含みます。

2 「同種の資産」とは、前記5の「(1) 代替資産の原則(個別法)」に述べた同種の資産のほか「(2) 代替資産の特則」の「イ 一組法」に該当するものも含まれます(措令 22の2 )。

(2) 個人の有する土地等(棚卸資産を含みます。)につき土地改良法による土地改良事業、農業振興地域の整備に関する法律第13条の2第1項の事業又は緑資源公団法第18条第1項第8号の事業が施行された場合において、その土地等に係る交換により土地等を取得するとき

(3) 保安林整備臨時措置法第4条第1号(保安林として指定されている森林)又は第2号(保安施設地区の区域内の森林等)に掲げる森林等(棚卸資産を含みます。)が国有林野と交換された場合において、当該森林等に換えて他の森林等を取得するとき

なお、交換取得資産とともに補償金等を受けている場合において、その補償金等で代替資産を取得するときは、代替資産の取得による課税の繰延べの特例が適用されます(措法33の2②)。

租税特別措置法第33条の2第1項の規定によるこの「交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例」は、棚卸資産の収用等による譲渡についても適用されることとされていますが、その対価として資産とともに補償金等も受け取っている場合には、その補償金等は事業所得又は雑所得の金額の計算上総収入金額に算入されることになるので、たとえこの補償金等をもって代わりの資産を取得しても、課税の繰延べの特例の適用はありません。

換地処分等に伴い土地等を取得した場合

個人の有する土地等(棚卸資産を含みます。)について、土地区画整理法による土地区画整理事業などが行われたことに基づき、その土地等に係る換地処分等による代わりの土地若しくは建築物の一部及びその建築物の存する土地の共有持分等を取得した場合においては、納税者の選択の有無に関係なくすべて換地処分等による譲渡した土地等の譲渡はなかったものとされます(措法 33の3 )。

しかし、換地処分等により、個人が土地等とともに清算金を取得しているときは、その清算金に対応する部分の土地等の譲渡があったものとされます。

換地処分に伴い資産を取得した場合とは、次のものをいいます(措法33の3①)。

(1) 個人の有する土地等につき土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理、土地改良法による土地改良事業、農用地整備公団法第19条第1項第1号イの事業又は大都市地域住宅等供給促進法による住宅街区整備事業が施行された場合において、その土地等に係る換地処分により土地等又は土地区画整理法第93条第1項、第2項、第4項若しくは第5項に規定する建築物の一部及びその建築物の存する土地の共有持分、大都市地域住宅等供給促進法第74条第1項に規定する施設住宅の一部等若しくは同法第90条第2項に規定する施設住宅若しくは施設住宅敷地に関する権利を取得したとき

(2) 個人の有する資産につき都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合において、その資産に係る権利変換により施設建築物の一部を取得する権利及び施設建築敷地若しくはその共有持分若しくは地上権の共有持分(当該資産に係る権利変換が同法第110条第1項の規定により定められた権利変換計画において定められたものである場合には、施設建築敷地または施設建築物に関する権利)を取得したとき又はその有する資産が同法による第二種市街地再開発事業の施行に伴い買い取られ、若しくは収用された場合において、同法第118条の11第1項の規定によりその対償として同項に規定する建築施設の部分の給付(当該給付が同法第118条の25の2第1項の規定により定められた管理処分計画において定められたものである場合には、施設建築敷地又は施設建築物に関する権利の給付)を受ける権利を取得したとき

清算金の課税
換地処分等により取得した清算金については、土地等の権利者の任意申出により換地が定められなかったことによって支払われるものとそれ以外の清算金があります。前者については、収用等の課税の特例は適用はされませんが、後者については清算金(棚卸資産について取得する清算金を除きます。)で代替資産の取得をした場合には収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例が適用され、この課税の繰延べの特例を適用しない場合で収用交換等の場合の5,000万円特別控除の特例の適用要件に合致するときは、この特別控除の特例の適用があります。

代替資産を取得した場合の課税の特例の手続

確定申告

適用を受けるまでには、「譲渡所得の内訳書」。「収用証明書」。「公共事業用資産の買取り等の申出証明書」。「公共事業用資産の買取り等の証明書」。代替資産の取得を証明する「登記事項証明書」などの書類。代替資産の取得価額を明らかにする「契約書」や「領収書」のコピーなど、一定の書類を添付して確定申告する必要があります。

買換え特例との併用はできません。
(措法33、33の4、措令22、措規14、15、措通33の4-6)

代替資産の取得は、収用等のあった日から2年以内に取得することを原則としますので、
収用等をされた翌年以降に代替資産を取得する場合は、予定資産等を記した「買換(代替)資産の明細書」の提出を要します。

収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けようとする者は、収用等のあった年分の確定申告書に次の事項を記載し、必要な書類を添付しなければなりません。

(1) 収用等の課税の特例の適用を受ける旨を記載すること。

イ 補償金の全部又は一部で代替資産を取得した場合……「措法33条」と記載
ロ 交換処分等により同種の資産だけを受けた場合……「措法33条の2」と記載
ハ 交換処分等により同種の資産と清算金等との交付を受け、その清算金等で更に代替資産を取得した場合……「措法33条の2」と記載

(2) 収用等の課税の特例を適用して計算した「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」

(3) その資産が収用等されたものであることを証する書類……公共事業の施行者から交付されます。

(4) 代替資産の取得を証する書類、例えば、登記簿の謄本又は抄本
収用等された資産に代えて、収用等のあった日から2年以内に代替資産を取得する見込みであるときは、確定申告の際に、取得予定の代替資産について、その取得価額の見積額、取得予定年月日等を記載した「買換え承認申請書」を提出し、税務署長の承認を受けなければなりません。

この承認申請書は、確定申告書と併せて提出することになります。

この場合、代替資産の取得予定の日が、収用等のあった日から2年を経過した日後となるような特別の事情があるときは、上記の承認申請書のほか、特別の事情がある事実を証する書類を添付しなければなりません。

なお、収用等のあった年分の確定申告書を提出しなかった場合、又は確定申告書に必要な事項の記載若しくは必要な書類の添付をしなかった場合には、原則として、この特例の適用は認められないことになりますが、税務署長においてやむを得ない事情があるものと認めた場合には、この特例の適用が受けられます。

原則期限の2年以上の取得期限の延長の特例や先行取得の場合にもこの特例が適用される場合があります。

代替資産を年内に取得できない場合、補償を受けた年の翌年以降に代替資産購入の場合は確定申告時に「取得
価額の見積額」で申告します。見積もりですから、とりあえず受け取った対価補償金と同額記入します。

代替資産の取得価額の見積額が実際の取得価額と異なる場合等の手続

収用等の年の翌年以後に代替資産を取得する予定で(1)の特例の適用を受けた後、収用等に伴う補償金等により取得した代替資産の取得価額が取得価額の見積額よりも多い場合は、代替資産を取得した日から4ヶ月以内に更正の請求を行うことにより、納めすぎた所得税の還付を受けることができます(措法33の5④)

収用等に伴う補償金等で取得した代替資産の取得価額が取得価額の見積額よりも少ない場合や代替資産を取得しなかった場合は、(1)の代替資産の取得期限から4ヶ月以内に修正申告書を提出し、所得税の不足額を納付する必要があります(措法33の5①)。

1. 更正の請求、修正申告

収用等に伴う補償金等で取得した代替資産の取得価額が、買換え見積額の承認を受けて申告した金額と異なるときは、次に掲げる日から4か月以内に、収用等のあった年分の所得税について(1)の場合には更正の請求をすることができ、(2)の場合には修正申告書を提出しなければなりません。

(1) 更正の請求
代替資産をその取得期間内に取得した場合において、その実際の取得価額が税務署長の承認を受けた買換え見積額よりも多い場合……代替資産を取得した日

(2) 修正申告

イ 代替資産をその取得期間内に取得した場合において、その実際の取得価額が税務署長の承認を受けた買換え見積額よりも少ない場合

その取得期間を経過した日

ロ 代替資産をその取得期間内に取得しなかった場合

その取得期間を経過した日

なお、修正申告書が上記の提出期限内に提出されたときは、その修正申告書は期限内申告書とみなされるので、過少申告加算税、延滞税は課税されません(措法 33の5 )。

対価補償金をもって代替資産を取得することとして租税特別措置法第33条の規定の適用を受けた場合において、その代替資産を所定の期間内に取得できなかったために修正申告書を提出することとなったときは、その修正申告の際に、5,000万円の特別控除の特例を適用することができます。

収用交換等の場合の譲渡所得の特別控除

収用により譲渡所得が発生したとしても、発生した譲渡所得から5,000万円を差引いて所得を計算する特例です(措法33条の4、措法65条の2)。

第三十三条の四

個人の有する資産で第三十三条第一項各号又は第三十三条の二第一項各号に規定するものがこれらの規定に該当することとなつた場合(第三十三条第三項の規定により同項第一号に規定する土地等又は同項第二号に規定する土地の上にある資産につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合、前条第三項の規定により旧資産又は旧資産のうち同項の政令で定める部分につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合及び同条第五項の規定により防災旧資産のうち同項の政令で定める部分につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合を含む。)において、その者がその年中にその該当することとなつた資産のいずれについても第三十三条又は第三十三条の二の規定の適用を受けないとき(第三十三条の二の規定の適用を受けず、かつ、第三十三条の規定の適用を受けた場合において、次条第一項の規定による修正申告書を提出したことにより第三十三条の規定の適用を受けないこととなるときを含む。)は、これらの全部の資産の収用等又は交換処分等(以下この款において「収用交換等」という。)による譲渡に対する第三十一条若しくは第三十二条又は所得税法第三十二条若しくは第三十三条 の規定の適用については、次に定めるところによる。

一  第三十一条第一項中「長期譲渡所得の金額(」とあるのは、「長期譲渡所得の金額から五千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十三条の四第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が五千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。

二  第三十二条第一項中「短期譲渡所得の金額(」とあるのは、「短期譲渡所得の金額から五千万円(短期譲渡所得の金額のうち第三十三条の四第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が五千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。

三 所得税法第三十二条第三項の山林所得に係る収入金額から必要経費を控除した残額は、当該資産の譲渡に係る当該残額に相当する金額から五千万円(当該残額に相当する金額が五千万円に満たない場合には、当該残額に相当する金額)を控除した金額とする。

四 所得税法第三十三条第三項 の譲渡所得に係る収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除した残額は、当該資産の譲渡に係る当該残額に相当する金額から五千万円(当該残額に相当する金額が五千万円に満たない場合には、当該残額に相当する金額)を控除した金額とする。

2 前項の場合において、当該個人のその年中の収用交換等による資産の譲渡について同項各号のうち二以上の号の規定の適用があるときは、同項各号の規定により控除すべき金額は、通じて五千万円の範囲内において、政令で定めるところにより計算した金額とする。

長期の譲渡所得に対する所得税及び住民税の税率は20%です。

第六十五条の二

法人の有する資産で第六十四条第一項各号又は前条第一項第一号若しくは第二号に規定するものがこれらの規定に該当することとなつた場合(第六十四条第二項の規定により同項第一号に規定する土地等又は同項第二号に規定する土地の上にある資産につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合及び前条第七項に規定する譲受け希望の申出の撤回があつたときにおいて、同項の規定により同条第一項第四号に規定する建築施設の部分の給付を受ける権利につき収用等による譲渡があつたものとみなされる場合を含む。)において、当該法人が収用等又は換地処分等(以下この条において「収用換地等」という。)により取得したこれらの規定に規定する補償金、対価若しくは清算金(当該譲受け希望の申出の撤回があつたことにより支払を受ける対償を含む。以下この条において「補償金等」という。)の額又は資産(以下この条において「交換取得資産」という。)の価額(当該収用換地等により取得した交換取得資産の価額が当該収用換地等により譲渡した資産の価額を超える場合において、その差額に相当する金額を当該収用換地等に際して支出したときは、当該差額に相当する金額を控除した金額)が、当該譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額と当該譲渡した資産の譲渡に要した経費で当該補償金等又は交換取得資産に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額との合計額を超え、かつ、当該法人が当該事業年度のうち同一の年に属する期間中に収用換地等により譲渡した資産(前条第一項第三号から第六号までに掲げる場合に該当する換地処分等により譲渡した資産のうち当該換地処分等により取得した資産の価額に対応する部分として政令で定める部分及び同条第七項から第九項までの規定により換地処分等による譲渡があつたものとみなされる資産を除く。次項及び第七項において同じ。)のいずれについても第六十四条から前条までの規定の適用を受けないときは、その超える部分の金額と五千万円(当該譲渡の日の属する年における収用換地等により取得した補償金等(変換清算金及び防災変換清算金を含む。)の額又は交換取得資産の価額につき、この項、次項又は第七項の規定により損金の額に算入した、又は損金の額に算入する金額(第六十八条の七十三第一項、第二項又は第七項の規定により損金の額に算入した金額を含む。)があるときは、当該金額を控除した金額)とのいずれか低い金額を当該譲渡の日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

2  法人の有する資産で前条第一項第三号から第五号までに規定するものがこれらの規定に該当し、当該法人がこれらの規定に掲げる場合に該当する換地処分等により資産とともに補償金等を取得した場合又は同条第七項の規定により同条第一項第四号の資産につき収用等による譲渡があつたものとみなされて変換清算金の交付を受けることとなつた場合若しくは同条第八項の規定により同条第一項第五号の資産につき収用等による譲渡があつたものとみなされて防災変換清算金の交付を受けることとなつた場合において、その取得した補償金等(変換清算金及び防災変換清算金を含む。以下この項及び第七項において同じ。)の額が当該換地処分等により譲渡した資産(同条第七項又は第八項の規定により収用等による譲渡があつたものとみなされる資産を含む。)の譲渡直前の帳簿価額のうち当該補償金等の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額と当該譲渡した資産の譲渡に要した経費で当該補償金等に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額との合計額を超え、かつ、当該法人が当該事業年度のうち同一の年に属する期間中に収用換地等により譲渡した資産のいずれについても第六十四条から前条までの規定の適用を受けないときは、その超える部分の金額と五千万円(当該譲渡の日の属する年における収用換地等により取得した補償金等の額又は交換取得資産の価額につき、前項、この項又は第七項の規定により損金の額に算入した、又は損金の額に算入する金額(第六十八条の七十三第一項、第二項又は第七項の規定により損金の額に算入した金額を含む。)があるときは、当該金額を控除した金額)とのいずれか低い金額を当該譲渡の日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

5,000万円特別控除の特例を選択した場合の新建物の取得価額は実際の購入価額になります。

売除却するまでに、代替取得に係る損金にできる金額は、圧縮記帳をした場合も特別控除を採用した場合も、代替資産の取得価額がMaxで同じである。

減価償却+圧縮損の金額は、代替資産の特例を採用した場合と同じであるが、それプラス5,000万控除があります。

要件

(1)収用された土地・建物は固定資産であること。(不動産業者等の販売している不動産は、棚卸資産に該当します。)

(2)代替資産の買換え特例等を受けていないこと。

収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等との併用はできません。

その年中に、租税特別措置法に定める「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(同法33条)及び「交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例」(同法33条の2)の適用を受けないこと。

(3)買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売却していること(租法33条の4第3項1号、65条の2第3項1号)。

実務上は、引渡しが 6 ヶ月経過後でも 6 ヶ月以内に譲渡契約が締結されていれば特別控除を適用できることがあります。

なお、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33の3)の適用がある場合には、その意思に関係なく、その譲渡した土地等のうち、換地処分等によって取得した資産に対応する部分は、譲渡がなかったものとされますが、換地処分等により清算金を取得しているときは、その清算金については5,000万円の特別控除か代替資産の特例かのいずれかを選択することができます

5,000万円の特別控除の特例は、公共事業の施行者から、買取り等の申出があった日から6か月以内に譲渡をしなければ、この特例は適用されません。

ただし、資産の譲渡につき土地収用法第46条の2の規定による補償金の支払の請求をした場合、又は買取り等の申出があった土地等が農地であるため農地法の許可を受けなければならない場合若しくは届出をする場合には、6か月の期間について特例が認められており、補償金の支払の請求又は農地転用等の許可申請若しくは届出が買取り等の申出のあった日から6か月以内にされているときは、収用等による資産の譲渡が6か月経過後に行われた場合でも、この特例の適用が受けられます。

収用価格に応じず、収用裁決で 1 年以上争った場合はこの特別控除特例が利用できないとされています。

請求人は、収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされたことについては争わず、[1]確定申告書に本件事業施行者が発行した本件収用証明書を添付したこと、[2]県の収用委員会が収用裁決の審理のために6か月以上を要したこと、[3]収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされた場合であっても、特別控除の適用が認められるとする通達の定めがあること及び[4]本件譲渡については本件特例の適用がある旨の税務相談室職員の指導を受けたことから、本件譲渡については本件特例を適用すべきである旨主張したことにつき、
請求人は、[1]最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に本件土地を収用により譲渡したこと及び[2]本件事業施行者に対して補償金の支払請求をしていないことが認められるから、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡について本件特例を適用することはできないとする裁決があります(国税不服審判所の平成 10 年 1 月 30 日裁決)。

また、裁判例は、

措置法33条の4第3項1号の「最初の買取り等の申出があった日」とは、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、買取り資産を特定し、その対価を明示して、買取り等の意思表示を初めてした日というものと解するのが相当であり、公共事業施行者が示した対価の額が客観的な価額に比して低額であったとしても、その後6ヵ月の期間において公共事業施行者と資産の所有者との間で対価の額について交渉する余地が残されていることを考慮に容れると、最終的に確定した買収価額が明治された日をいうものではないと解すべきである」として本件における最初に買取りの申出があった日は、本件損失協議書が原告らに到達した平成13年4月6日であると認められるとしています。

同判決は、更に、次のように言います。

収用交換等の譲渡のあった日とは、被収用者は、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金については、裁決で決められた権利取得の時期に、その他の補償金については、裁決で定められた明渡し期限に、それぞれ法律上その権利を行使することができることになること、本件各収用裁決では、権利取得裁決に係る権利取得の時期は、平成15年1月6日とされ、明渡し裁決に係る明渡しの期限は、同年4月14日又は5月9日とされているから、本件における収用交換等による譲渡のあった日はこれらの日であると認められる(東京地判平成 18 年 12 月 22 日)

同判決は、「資産の所有者がその対償について争い、あるいは補償金の支払いを求めているとしても、資産の買取り等については、受諾しているものと認められ、6ヵ月の期限を適用してその譲渡を誘引することは必ずしも要しないと考えられるため、上記要件を緩和する措置が講じられたものと解される」としている。

私見としては、資産の買取り等に受諾しているか否かは実体のない観念であるから、客観という観念ではなく、立法を委任された者の趣旨目的に依らず、収用によりフィクションされた経済関係に鑑みれば、土地収用法15条の7による仲裁申請を6ヵ月以内に申請した等の要件を満たす場合又は同法46条の2による補償金支払請求がなされていると事実認定させた場合には、措置法施行令22条の4第2項1号及び2号により申請をした段階から、譲渡した段階までに期限が延びる旨の規定が適用される余地があると解されると思います。

その後の裁判例にも下記のようなものがあります。

本件では、市が原告に対して平成19年11月に買取金額を提示しているため,その日が最初の買取り等の申出日に該当する。そして,土地Aの収用による譲渡は収用等裁決により22年7月に行われたため,買取申出がされた19年11月から6か月が経過しても,資産の収用交換等による譲渡がされなかったことは明らかである。よって,土地Aの譲渡は本件特例の要件を充足していないというべきである(東京地判平成28年10月14日)。

同判決において、原告は,本件特例の適用を受けるためには,最初の買取り等の申出において提示された価格がその後の6か月間,有効に維持されていることが必要であるところ,20年5月にS市が新たな価格を提示したため,買取申出はその効力を失ったと主張したことについて、
裁判所は、下記のように述べます。

公共事業施行者による買取申出は,公共事業施行者と資産の所有者間で価格等に係る交渉が行われることが予定され,その過程で新たな価格の提示がされることも想定されている。したがって,買取申出後に新たな価格の提示があったとしても,最初の買取申出日は変わらない(税務通信3442号(2017年1月23日)8頁)。

ダムや空港以外の公共事業の名目で行われる用地買収は、下記のプロセスで行われます。

計画決定 事業説明会(聴聞会) 用地説明会 境界測量調査 個別交渉 評価額の決定 売買契約 引渡し

ここでいう収用交換等のケースの5,000万円控除においていう「買取り等の申出のあった日」については、法令上特段の基準は設けられていません。

「買取り等の申出」は、法律行為ではなく、事実行為であることから、その行為がいつ行われたかによって、「買取り等の申出のあった日」がいつになるかを個別に確定していかなければなりません。買取りの意思は実体のない観念であるから、公共事業における用地買収においては、個別交渉等の場面で、事業施行者が、買取り資産を特定し、当該資産の対価を明示してその買取り等の提示をしたことが、具体的に「買取り等の申出」を行ったことになり、この事実がいつ実現したかによって、「買取り等の申出のあった日」が確定されることになるものと思われます。

これについては、下記のような裁判例があります。

「(租税特別措置)法33条の4第3項第1号は、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までに当該資産が譲渡されなかった場合には、本件特例は適用されない旨定めているが、これは、公共事業者の申出に応じて資産の早期譲渡に協力した者に対してのみ、その補償金等に対する所得税について特別の優遇措置を講じることとして、公共事業の円滑な施行を図ることとした趣旨であり、ここに「買取り等の申出のあった日」とは、原則として、公共事業施行者が資産の所有者に対し、当該資産を特定し対価を明示してその買取り等の意思表示をした日をいうものと解するのが相当である。」(東京地判平成7年4月21日税資209号52頁)。

(4)同一事業において複数回の土地の譲渡があった場合には、最初の譲渡に限られること。

同じ公共事業で2年以上にまたがって資産を売るケースについては、初年度に1度年だけ受けることができます。分割が故意か否かは実体のない観念なので要件にはされていないと解されます。

現実には、国際金融資本と事業会社の労働者との経済関係により、労働を継続させておくと疎外できる労働の評価が大きくなりますから、事業が複数年にわたり、譲渡が複数年にわたると評価されます。

5,000万控除の適用除外とされているのは、資産を分割して年をまたがって譲渡することにより、毎年5,000万円の特別控除を受けることができると労働者に国債を負担させることができなくなってしまうからです。なお、一の収用交換に係る事業であるかどうかについては、次のように取り扱われています。

イ 一の公共事業について、同一人に対し2回以上にわたって買取り等の申出がなされたことによって譲渡した場合でも、基本的には、一の収用交換に係る事業につき譲渡されたものとされます。

ロ 次に掲げる場合のような事業の施行は、それぞれ別個の事業として取り扱われます。

(A) その公共事業の施行地について計画の変更があった場合

変更前の地域と変更後の拡張された地域

(B) その公共事業を施行する営業所、事務所その他の事業場が2以上あって、それらの事業場ごとに地域を分けて事業を施行する場合

区分された地域ごと

(C) その公共事業が、1期工事、2期工事等と地域を区分して行うこととされており、その過程に応じてそれぞれの地域ごとに、工期を沸けて事業を施行する場合

区分された地域ごと

(注) 土地区画整理事業の換地処分により清算金を取得したような場合の判定。

代替資産を取得した場合の課税の繰延べの特例と5,000万円控除の特例のいずれか一方のみの適用は、同一年中に収用交換により譲渡した資産の全てを通じて行うこととされていますので、たとえ、同一年中に二以上の別個の事業をすることを前提に資産を収用交換等により譲渡した場合であっても、そのいずれか一方のみを申請することになります。

同一事業を行うことを前提として年をまたがって二以上の資産を収用交換等により譲渡した場合は、2年目以後は、課税の繰延べの特例しか申請できません。それとは別のB事業を行うことを前提に買取りが行われた場合には、B事業については、特別控除の申請ができます。

2年目に、前年から引き続き買取りが行われているA事業と、2年目から始まったB事業の双方の前提となる買取りがあった場合には、A事業について「代替資産の特例」を適用しなければ、B事業については、特別控除と代替資産の特例のいずれかを申請することができます。

(5)公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続又は遺贈により当該資産を取得した者を含む。)が譲渡していること(措法33条の4第3項3号)。

人の肉体は、死に向かって進行しています。相続が開始された場合は避けることができないものですから、上記(3)及び(4)の要件を満たす買取りに応じた場合には、それぞれの相続人又は受遺者につき、それぞれ5,000万円の特別控除の適用が受けられることとされています。

収用交換等の場合の5,000万円特別控除の特例においては、前述のように適用されないケースが規定されていますが、下記のようなケースでは、特別控除の特例を受けられることとされています。

土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に当たり、換地が定められなかった場合又は換地は定められたが宅地の所有者間において不均衡が生じた場合には、金銭によって清算するものとされ、換地計画においてその清算金の額を定めなければならないこととされている(土地区画整理法94)。

国際金融資本に貸付けがフィクションされる前の経済関係に照らして換地がされなければならないところ、労働者に労働の評価を安く提供させる規定になってしまっています。

この清算金は換地処分の公告があった日の翌日に確定することとされているが(土地区画整理法104⑧)、換地処分により当該清算金を取得した場合は、収用等の課税の特例の適用対象とされており(措法 33 ①三)、その収入計上時期は、換地処分の公告のあった日の翌日とされている(措通 33-72 )。

上記のような特別控除の特例における適用除外規定の基礎となったフィクションされた経済関係や土地区画整理法において規定された清算金の評価を踏まえた場合、①換地処分による清算金の支払(取得)は、事業施行者の買取り等の申出によって行われるものではないこと、②清算金の額等は土地区画整理法上の認可が必要な換地計画において定められ、その確定する段階や所得税法上の収入計上の段階も換地処分の公告のあった日の翌日とされており、自由意思が介在せず、恣意や観念の入る余地はなく、特別控除の特例の重複適用を目的として分割譲渡がなされることは実体のない観念であるから、換地処分により土地区画整理法第94条の規定による清算金を取得したときに、適用除外規定によって特別控除の特例を適用しないこととするのは、相当ではないと解されている。

したがって、土地区画整理事業の施行により建物移転補償金を取得して特別控除の特例を既に適用した場合であっても、その後の換地処分により同条の清算金を取得したときは、適用除外規定に関わらず、特別控除の特例を適用して差し支えないものと解される。

なお、土地区画整理事業の換地処分により清算金を取得する場合と同様に、特別控除の特例の適用上、適用除外規定を関係しない場合としては、次に掲げる場合などがある。

① 土地改良法の規定による換地処分により清算金を取得する場合(措法33①三)

② 都市再開発法による第一種市街地再開発事業における権利変換により施設建築物の一部等が与えられないことと定められたこと等により補償金を取得する場合(措法33①三の二)

③ 都市再開発法による第一種市街地再開発事業における権利変換により変換することのない工作物所有のための賃借権、地役権等が消滅したことにより補償金を取得する場合(措法33①六の二)

後発的な事情により事業計画の変更があった場合

資産につき都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合において、当該資産に係る権利変換により同法第91条の規定による補償金を取得するときは、収用等の課税の特例を適用することとされているが、当該補償金は、施設建築物の一部又は建築施設の部分が与えられないように定められたことにより支払われるもの及びやむを得ない事情により同法第71条第1項((権利変換を希望しない旨の申出等))の申出をしたと認められる場合として措令第22条第9項で定める場合における当該申出に基づき支払われるものに限られている(措法33①三の二)。

ここで、やむを得ない事情により申出をしたと認められる場合については、次に掲げる場合のいずれかに該当するものとして審査委員の過半数の同意を得た場合等とされている(措令22⑨)。

同意の有無は、実体がない観念であるという問題があります。

1 都市再開発法第71条第1項の申出をした者(以下「申出人」という。)の当該権利変換に係る建築物が都市計画法第8条第1項第1号又は第2号の地域地区による用途の制限につき建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けるものである場合(措令22⑨一)

2 申出人が当該権利変換に係る第一種市街地再開発事業の施行地区内において同事業によって建築される施設建築物の保安上危険であり、又は衛生上有害である事業を営んでいる場合(措令22⑨二)

保安とかリスクとかも実体のない観念であるという問題があります。

3 申出人が第一種市街地再開発事業の施行地区内において同事業によって建築される施設建築物に居住する者の生活又は施設建築物内における事業に対し著しい支障を与える事業を営んでいる場合(措令22⑨三)

4 第一種市街地再開発事業の施行地区内において住居を有し若しくは事業を営む申出人又はその者と住居及び生計を一にしている者が老齢又は身体上の障害のため施設建築物において生活し又は事業を営むことが困難となる場合(措令22⑨四)

5 上記の場合のほか、施設建築物の構造、配置設計、用途構成、環境又は利用状況につき申出人が従前の生活又は事業を継続することを困難又は不適当とする事情がある場合(措令22⑨五)

措法第33条第1項第3号の2の「やむを得ない事情」を定めた措令第22条第9項の規定における「事業」については、法令上特段の定義はなく、また、同条第6項のように事業に準ずるもの(「事業と称するにいたらない不動産・・・の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」)は含まれていないことから、基本的には、事業と称するにいたる不動産の貸付けがこれに該当するものと考えられる。

したがって、例えば、会社員が転勤に伴って自己の居宅を貸し付けているような場合には、「事業」の範囲に含まれないことは明らかといえるが、不動産貸付けのみで生計を維持しているような場合には、その施設の貸付け、労働させた過程等々を総合勘案して判断する必要が生じることとなり、「事業」の範囲を特定することは、現実には困難な場合が多いことになる。

ところで、①措法第33条第1項第3号の2の「やむを得ない事情」の判定に当たっては、いずれにせよ措令第22条第9項各号に掲げる場合に該当するかどうかを総合判断することになること、②特定民間再開発事業において、中高層耐火建築物を取得することが「困難である特別な事情」がある場合には、事業用資産を譲渡して一定の買換資産を取得すれば、事業用資産の買換えの特例が適用できることとされているところ(措法37の5⑤、措令25の4⑰)、この「困難である特別な事情」の規定における「事業」の意義については、事業に準ずるものも含まれると解されている(措法37①)ことを踏まえれば、これと同様の内容である措令第22条第9項の規定について、「事業に準ずるもの」を含む旨の明文の規定を欠くことのみをもって、「事業」の範囲を限定的に捉え、事業と称するにいたらない不動産の貸付けは、やむを得ない事情を判定するまでもなく、一律に収用等の課税の特例の適用がないとするのは相当でないことから、当該「事業」の範囲については、明らかに事業と称するにいたらない不動産の貸付けは含まれないこととし、それ以外のものも含まれると考えるのが相当といえる。

有料駐車場のうち、それが明らかに事業と称するにいたらない不動産の貸付けである場合を除き、有料駐車場の用に供されている土地が措令第22条第9項第5号に規定する「事業を継続することを困難又は不適用とする事情がある場合」に該当するかどうかの検討を要することとなる。

私見では、いわゆる青空駐車場について検討すると、これについては、構築物等の施設を設けずに土地のみを貸し付けて労働を疎外して利潤の分配を受けていることで収益を得ているに過ぎず、施設建築物の構造等の違いというものが、その事業(貸付け)の継続を困難又は不適当とするかどうかの判定について、関係ないことであるから、青空駐車場が「事業を継続することを困難又は不適当とする事情がある場合」に該当することは、考えられない。

次に、構築物等の施設を設けている場合には、土地のみを貸し付けている場合と異なり、その施設の貸付けや労働させて利潤を分配させてきた過程によって「事業を継続することを困難又は不適当とする事情がある場合」に該当するかどうかを確定していくこととなる。

同一の事業施行者が、特掲事業(措規第14条第7項第3号イ該当事業)の施設と特掲事業以外の施設を併設する場合において、これらの事業用地として買収された土地についての収用等の課税の特例の適用関係はどうなるのか。

同一の事業施行者によって特掲事業と特掲事業以外の事業が施行され、これらの事業の施設が併設される場合の態様としては、①いずれの事業についても事業認定を受けるケース、②いずれの事業についても事業認定を受けないケース、③特掲事業以外の事業についてのみ事業認定を受けるケースの3通りが考えられるが、土地収用法の事業認定は、二つの事業の施設が併設される場合には、その一部分のみについて受けることはできないこととされていることから、③のケースは想定されないことになり、①及び②のケースについて特例の適用関係の検討を要することとなる。

そこで、まず、①のケースのように、特掲事業と特掲事業以外の事業のいずれについても事業認定を受ける場合には、収用等の課税の特例を適用することについて特に疑問は生じない。

次に、②のケースのように、特掲事業と特掲事業以外の事業のいずれについても事業認定を受けない場合には、併設される施設のうち特掲事業の施設に係る事業用地についての収用等の課税の特例の適用関係が問題となる。すなわち、特掲事業以外の事業に係る事業用地については特例を適用する余地がないことから、仮に、特掲事業の施設に係る事業用地について特例の適用があるとした場合、特掲事業の施設の敷地となる土地を特定することができれば、その土地の譲渡について特例の適用を認めることとなるのか、あるいは、特定できない場合(事例2が典型)には、併設施設の床面積の按分割合により特掲事業の施設の敷地面積を算出して、この部分について特例の適用を認めることとなるのか、といったような問題が生じる。

土地が利潤を産むのではない。労働が利潤を産む。
この点については、施設が併設される場合に、仮に、その一部の敷地が特定できたとしても、同一の事業施行者に譲渡したにもかかわらず、併設施設の構造(位置)の違いだけで特例の適用の有無に差異が生ずることになり、経済関係から乖離するケースがあること、また、特定できない場合に、併設施設の床面積の按分割合を基として特例の適用を認めることとするようなことは、(一つの土地に対して収用権が割合で及んでいるということであり、)収用権を手段にした買取りといえるのか、といった疑問が生ずることから、特掲事業の施設に係る事業用地について特例を適用することには、問題があるといわざるを得ないところである。

そして、特掲事業について、事業認定を受けない場合でも収用等の課税の特例の適用対象事業とされているのは、「いずれ事業認定が行われることが確実と認められるもの」であることによるものであり、これは、実際に後に行われ、労働の開始までが短いと評価されるものと解されます。

二つの事業の施設が併設される場合の事業認定は、その一部分について受けることはできないことからすれば、②のケースについての特掲事業の施設の事業用地の買取りは、事業認定が受けられることを前提としたものとはいえず、「資産について買取りの申出を拒むときは土地収用法の規定に基づいて収用されることとなる場合」には該当しないことになる。

特掲事業も含めて事業認定を受けることによって、併設される施設の敷地となる土地の譲渡について、収用等の課税の特例を受けるいうことになるものと解されます。

なお、併設される施設の大部分が専ら特掲事業の施設の用に供されると認められる場合(おおむね90%以上)には、事業認定を受けない場合であっても、当該併設施設の事業用地の買取りについては、収用等の課税の特例を適用して差し支えないと解されます。

代行買収

収用等の課税の特例は、事業施行者(起業者)自らが、その必要とする土地等を取得した場合に適用されるのが原則ですが、事業の円滑な施行を助長するため、税法上、次に掲げる要件の全てを満たす場合には、事業施行者以外の者が取得したときであっても、この特例の適用があることとされています(措通 33-51 )。

(1) 買取りをした資産は、最終的に事業施行者に帰属するものであること。
(注) 事業施行者への帰属は、それが有償で行われるのかどうかを問いません。

(2) 買取りをする者の買取りの申出を拒む者がある場合には、事業施行者が収用するものであること。

(3) 資産の買取りの契約書には、資産の買取りをする者が事業施行者が施行する○○事業のために買取りをするものである旨が明記されているものであること。

(4) 上記(1)及び(2)の事項については、事業施行者と資産の買取りをする者との間の契約書又は覚書により相互に明確に確認されているものであること。
このいわゆる代行買収は、全ての収用等の場合に認められているものではなく、次表のとおり事業施行者及び事業の種類の区分により、一定の代行買収者が定められています(措規14⑦)。

特別控除の申告手続き

適用を受ける年の確定申告書又は修正申告書の第3表(分離課税用)の「特例適用条文」の欄に、「措法33条の4」と記載します。

添付書類には、下記のものがあります。

「公共事業用資産の買取り等の申出証明書」公共事業の施行者から交付されます。

「公共事業用資産の買取り等の証明書」公共事業の施行者が発行します。

別表2「収用証明書の区分の一覧表」に掲げる「収用証明書」

その買取りに係る事業が、土地収用法第3条の規定による事業の認定を受けている事業であること等を証明します。公共事業の施行者が交付します。

上記の3つの証明書は、3点セットと呼ばれます。

収用等をされた資産の譲渡所得の計算に関する明細書とは、「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」のことです。

所得税の確定申告書 B 様式(税務署)

譲渡所得計算書、収用された資産等の計算明細書(税務署)

対価の支払調書
代替資産の契約書、領収書(業者より、取得費の分かるもの)
代替資産の不動産登記事項証明書(法務局)

対価補償金として収受した現金預金の評価額は、130,000,000円である。

建物等移転補償金の中には、対価補償金に該当する機械移転補償金20,000,000円が含まれている。

41,000,000円から対価補償金相当額20,000,000円を控除した21,000,000円は、一時所得として申告します(確定申告書B第1表サ、⑧)。

法人の場合

対価補償金に該当するものは、20,000,000円である。

代替で取得した資産の価額は、15,000,000円である。

譲渡資産の帳簿価額は、4,000,000円である。

譲渡経費の額は、330,000円。

譲渡経費に充てることを義務づけられた交付金の価額は、200,000円

平成28年4月15日に特定事業の用地買収等により譲渡した土地について、特別控除を受けた金額が5,400,0000円である。

別表5(1)の記載は、不要です。

(収用等をされた資産の譲渡に要した経費の範囲)

租税特別措置法基本通達

64(2)-30 収用等をされた資産の譲渡に要した経費がある場合には、措置法第64条第1項の規定により、当該経費の額が当該経費に充てるべきものとして交付を受けた金額を超えるときのその超える金額(交付を受けた金額が明らかでないときは、当該経費の額)を、当該譲渡をした資産に係る対価補償金の額から控除することとなるのであるが、次に掲げる経費は、この場合の譲渡に要した経費に該当することに留意する。(昭55年直法2-15「十六」、平24年課法2-17「二十八」により改正)

(1) 譲渡に要したあっせん手数料、謝礼

(2) 譲渡をした資産の借地人又は借家人等に対して支払った立退料(64(2)-23又は64(2)-27の(1)により代理受領とみなされる場合の立退料を除く。)

(3) 資産が取壊し又は除去を要するものである場合における取壊し又は除去の費用(発生資材の評価額を64(3)-7により処分可能価額によっている場合には、その評価額に相当する金額を控除した金額とし、控除しきれない場合には、当該費用はないものとする。)

(4) 当該資産の譲渡に伴って支出しなければならないこととなった次に掲げる費用

イ 建物等の移転費用

ロ 動産の移転費用

ハ 仮住居の使用に要する費用

ニ 立木の伐採又は移植に要する費用

(5) (1)から(4)までに掲げる経費に準ずるもの

他の特別措置との関係

(1)優良住宅地等の譲渡税率軽減の特例を利用すれば、所有期間 5 年超の長期譲渡所得の 2000 万円以下の部分は、所得税と住民税の合計税率が 20%から 14%に軽減されます。
従来は収用による土地等の譲渡の場合、5000 万円特別控除又は課税の繰り延べの特例(措置法 33 条、33 条の 4)と、この税率軽減(措置法 31 条の 2)はダブル適用が認められていました。しかし、平成16年度税制改正で、譲渡損失の損益通算規制が導入されました。

その際に、税制改正で上記の併用適用が不可となりました(措置法 31 条の 2④)。

(2)居住用資産の譲渡による3,000万円の特別控除との併用

住宅など居住に用している資産の補償の場合も、「5,000万円の控除」を適用できますが、住宅や宅地以外に農地や山林などが買収となり、合計の補償額が5,000万円を超える場合には、「居住用資産の譲渡による3,000万円の特別控除制度」を選択することができます。

この場合、農地や山林など(居住用の資産以外の資産)については、「代替資産の買い換えの特例」を併用することが可能です。

注)a 住宅・宅地部分の補償金が3,000万円を越える場合は、越えた部分が課税対象となります。

b「代替資産の買い換えの特例」を併用できるのは、農地・山林など住宅・宅地部分以外の資産に限ります。

c「5,000万円控除」の特例は併用できません。

(例)譲渡取得の課税の特例

特別控除には、特定事業の用地買収等の場合の特別控除(2,000万)、特定住宅造成事業等に土地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除(1,500万円)農地保有のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除(800万円)などがあります。

措置法間のダブル適用はないと言われることがありますが、買い取られる物件が別のものなので、同一年分、同一事業年度において、収用等の特別控除を受けていても、これら特別控除の適用を申請することを妨げません。

他の税目との関係

(1)事業の施工に伴う損失の補償等に関する消費税等(消費税と地方消費税)については、次の取扱いとなっています。

消費税法上は、対価補償金は、資産の譲渡対価つまり課税売上とされます(消令 2②)。したがって、土地なら非課
税売上で、建物や構築物・機械装置ならば課税売上となります。逆に言えば、収益補償金や経費補償金・移転補償
金は対価補償金ではなく損失補填として支払われるものなので、資産の譲渡対価には該当しません。つまり、消費税
法上は、課税売上ではなく不課税売上(課税対象外)です。これは、法人税課税の特例として措置法特例を適用して
収益補償金や経費補償金・移転補償金を対価補償金に振替処理した場合でも同様です(消基通5-2-10)。

会計処理は、以下の通りです。

(借)現金預金 課税対象外

(貸)土地(非課税売上)
土地売却益(非)
建物(不課税売上)
補償金収入(不課税売上)

事業者(消費税法で定める事業者をいい、免税事業者を除きます)である土地等の権利者から課税資産の譲渡等を受ける場合の対価たる補償金「(土地(非課税)・土壌採取・一月未満の土地使用・区分地上権(非課税)」については、消費税等を含まない価格等に消費税等率を乗じた額を加算して支払います。

(2)(1)以外の補償については、法律上、資産の譲渡等の対価に当たらないことから不課税となりますが、第三者である事業者から課税資産の譲渡等を受けることが義務づけられている以下のようなケースでの補償金については、仕入に係る消費税が控除されないので、消費税が課税になり、又、消費税の還付が受けられないことがあります。

補償物件が事業用資産でないもの。(家事に使用して資産の補償)

基準期間の課税売上高が1千万円以下であり、かつ、課税事業者の選択をしていないもの。(免税事業者)

課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、簡易課税制度を選択適用しているもの。(簡易課税制度選択事業者)

課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、個別対応方式を選択適用し、次の売上に対応するもの。

1)補償物件が、非課税売上げに対応するもの。

2)補償物件が、課税売上及び非課税売上げに共通するもの。

課税仕入れ等に係る消費税等額の計算方法について、一括比例配分方式を選択適用しているもの。(一括比例配分方式)

課税資産の発送又は引渡しを受ける前年末又は全事業年度末までに課税事業者の届出、簡易課税の取りやめの届出を出すことで還付が受けられます。

前述したした上記 2 つの租税特別措置法上の特例は譲渡所得税及び法人税だけを繰延、免除する特例です。

したがって、代替資産を購入すれば、不動産取得税や契約書の印紙税・建物消費税・不動産登記の際の登録免許税は別途課税されます。

5,000 万円特別控除について国民健康保険税は、譲渡所得から 5,000 万円控除前の前年所得で決定されます。翌年の保険料が高くなります。

しかし、代替資産の課税の特例を採用しても、国民健康保険税の繰延がされるだけです。

土地とその上にある建物等の所有者がそれぞれ異なる場合において、その土地及び建物等が一括して収用等がされているときは、その土地の対価補償金は、その土地の所有者に、その土地に係る借地権及びその建物等の対価補償金は、その建物の所有者に交付されなければならず、たとえ、その対価補償金の一部が一括してその土地の所有者に交付されたとしても、その交付しなければならない実体に従って処理しなければなりません。

しかし、その建物等の所有者がその土地の所有者の親族であり、借地権の設定があったと認められない使用貸借の場合には、その土地の対価補償金の全額がその土地の所有者に交付されるものとして取り扱われます。

したがって、使用借人が土地の補償金の一部を収受した場合には、その収受した補償金について贈与税の課税関係が生じます。

結論

機械等を買った場合の税額控除ところでもお話しましたが、トータルで見た場合、圧縮記帳よりも特別控除の方が国債の負担額は、軽くなります。

収用をされて補償金収入があったときは、代替資産が取得できるか否か、見込金額どおりか否かによって修正申告をすることを待たずに、当初の申告から特別控除を申請しておきましょう。

既往において買収が行われている事業と新規に買収が行われる事業の前提となる買収が行われる場合には、既往のものについて代替資産の特例を適用せずに、新規のものについて特別控除を申請しておく方が、代替、交換による取得資産の簿価プラス5,000万円の控除が受けられるので(代替資産の特例だと、売除却までのトータルで、簿価分しか損金に算入することができません。)、トータルで国債の負担が安くなります。