子供が収入を得たら申告しなけてはいけないのか、するとすれば誰が申告するのか
まずは、法律の規定を見てみましょう。所得税の納税義務がある人について、法律は次のように定めています。
所得税法第2条
居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
非居住者 居住者以外の個人をいう。
第五条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。
2 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。
一 第百六十一条第一項(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。
二 その引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得(第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいう。以下この条において同じ。)の支払を国内において受けるとき又は当該信託財産に帰せられる外国法人課税所得(国内源泉所得のうち第百六十一条第一項第四号から第十一号まで又は第十三号から第十六号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。
収入があれば、子供だから納税しなくてもいいよというわけではないとのことです。
子役の収入は、親の収入ではなく、子供本人の収入になります。
子供の本名で、所得税の確定申告をします。
基本的に、大人の芸能人の申告のやり方に則って申告納税します。
所得金額が38万円以下や給与、退職給与以外の所得の合計金額が20万円以下であっても、1円でも源泉徴収されていれば、確定申告をすれば、還付がされることがあります。
子役の収入、経費にはどのようなものがあるだろうか。
収入となるもの
興業会社が、その代表者をして、会場の賃借料、機材の賃借料、舞台や客席の設営、撤収、著作権使用料(ロイヤルティ)、出演料、移動費、旅費交通費、運賃、ケータリングを始めとする経費を払います。
著作権使用料(印税収入)、出演料報酬は、総額からマネージメント料、旅費交通費、源泉所得税が控除されて振り込まれます。
とっぱらいの仕事(現金払いの仕事)は、支払調書が交付されることがありますが、プロダクション経由の場合は交付されません
支払の明細は、プロダクションに通知されます。支払先が法人税法が適用される法人なので、支払調書は税務署にも本人にも提出しません(税務署からお尋ねがあって資料処箋を作成、提出するということはあります)。
振り込まれた金額が収入金額ではありません。
下の例ですと、振込金額+マネージメント料+旅費交通費+源泉所得=総収入金額15,000,000円が収入金額です。
預金通帳
12/27 〇〇プローモーションカ) 8,979,000
支払明細
公演料 15,000,000
源泉所得税 1,021,000
旅費交通費 1,000,000
マネージメント料 4,000,000
振込入金 8,979,000
仕訳を示すと下記のようになります。
(貸方)売上高 15,000,000
(借方)
普通預金 8,979,000
源泉所得税 1,021,000
旅費交通費 1,000,000
マネージメント料 4,000,000
支払調書を備忘として下さいと言ってもダメです。
支払明細をプロダクションからもらわないと、マネージメント料と旅費交通費が必要経費から漏れてしまいます。
別に洩れても純額が同じじゃないかと思われるかもしれませんが、消費税の課税売上の判定の問題があるのです。
興業会社の社員は、税金のことを勉強していないので源泉所得税の金額は間違っています。しかし、間違えた金額を申告して還付を受けます。
海外で仕事をした場合には、外国税額控除が受けられることがあります。
その年の収入は、その年にもらった金額ではありません。
28年12月に収録されたインタビューが29年1月に掲載され、お金をもらった場合も28年分の収入です。
チケットを芸能人自身が自分で買って、関係者に配って招待したり、自分のCDを買って配ることもあります。
無償であると通知したにもかかわらず、その代金をもらった場合、購入したのと発送したのが期をまたがっていれば、チケットを購入したときの仕訳が接待交際費や広告宣伝費で、雑収入(課税売上)で受け入れることになります。
賞金は、一時所得になります。現物でもらったときには、市場価格の6割で評価します。
パーティ 講演会、車代の名目でもらったものも事業所得になります。
Liveショーやファッションショー、映画、テレビの出演、声優、レコーディングの収入の他、インタビュー、雑誌の原稿代、挿絵代、モデルの仕事も事業所得になります。
パパやママには内緒で年齢を偽って風俗でバイトした場合も、所得税法上は、経済実体に応じて、給与又は事業所得の収入です。
CMは、1本いくらで収益が確定し、出演料ではなく契約金という名目で支払われます。
撮影に臨めなかった場合、放映されている途中で降板した場合は、役務が提供できなかった分につき、返還するという契約をしたとします。
撮影終了が延々と続いて、契約金を収受した段階よりも先の場合には、収受した段階で収益を計上しなさいと指導されることもありますが、ほとんどの場合収録を終えてギャラが支払われます。
平成28年12月に契約金額が提示され、受注し、収録を終えて、ギャラを平成29年にもらったとします。
労働力商品をリリースし終わった段階が収入を計上する段階ですから、
収録が終わったのが平成28年12月であれば、平成28年分の収入になります。放映が始まってから降板しても収録が終わった段階で、
返還不要が確定とみなされます。
プロダクションとは別個に事務所(法人税法上の法人)を設立させていて、親族を社長にして、アシスタント、スケジュールの管理をする人、経理をする人、受付、商談や残業のときに食事を作ったりするお手伝いさん、運転手を雇用して、その事務所から社長や社員の給料や交通費を払っていることがあります。
法人を設立せずに、居住者の側で支払っても構いません。親族の給与は、青色申告でも白色申告でも必要経費にできますが、経費にできる範囲(金額)が異なります。
必要経費となるもの
(1)マネージメント料
その事務所に毎月マネージメント料を支払った場合には、マネージメント料を事業所得の必要経費にすることができます。
親族が社長でも労働の実体があれば、労働に応じて上記マネージメント料を必要経費とすることが認められます。
欠損法人の営業譲渡を受けて法人を設立して節税をしている人もいます。租税回避の意図は実体がありませんので、立証することは困難です。
勘定科目は、「マネージメント料」で差し支えありません。
実際にフィクションされた経済関係をリアルに表現している科目名であれば、簿記の教科書にない科目を作って申告書を作成しても大丈夫です。
なお、芸能活動による収入を法人の収入にすることも、事実上は可能です。法人で本人に給与が支払われて給与所得控除を受けていても文句を言われたことはありません。
親の所得が38万円以下であれば、親を扶養にすることができます。
(2)外注費
外注して仮歌を吹き込んでもらって、報酬を支払った場合にも、外注費として必要経費にすることができます。
(3)旅費交通費
旅費交通費、宿泊代は、同伴した親の分も必要経費にできます。
仕事場までのタクシー代も必要経費になります。
(4)地代家賃
外部スタジオのレンタル代も必要経費になります。
自宅の一部をスタジオや稽古場として使用していれば、家賃を家事と事業に按分して必要経費にすることができます。
水道光熱費も家事と事業を按分して事業分を必要経費にすることができます。
(5)研究費
観劇、Liveのチケット代とその旅費も必要経費にできます。
レッスン、セミナー代も必要経費になります。
書籍、取材旅行 CD 楽曲のダウンロード代も必要経費になります。
(6)通信費
スマホの通信代も必要経費になります(家事と事業の按分は必要)。
スマホはプライベート兼用、仕事はガラケーの場合、ガラケーの通信代は、100%必要経費で、スマホは、事業と家事を按分します。
(7)車両関係費
送迎に使っている車は、タレント個人又は法人が設立してあれば法人の資産に登録して減価償却することができます。
ガソリン代もタレント個人又は法人の必要経費にできます。
駐車場代及び管理費も必要経費に計上できます。
(8)衣装代、消耗品費
ヘアメイク代も仕事が終わった後、仕事前の状態に戻しているのであれば、100%経費です。
衣装に「仕事用」「プライベート用」という属性は備わっていません。
実際に労働にしか使っていなければ、100%経費にできます。
かつて、スーツや散髪代は必要経費にはならないという裁判例(京都地判昭和49年5月30日)がありましたが、芸能人は、国際金融資本から、電通や博報堂の社員を通じて、視聴者を洗脳するのが仕事なんです。
趣味、嗜好で服なんて着れないんです。
また、経済関係上、ステージ衣装を着ることは難しい。
ステージや撮影で着た衣装は、アクセサリーから服の上下、靴、下着まで一揃えで1組と考えて、青色申告であれば、30万円未満であれば、購入して試着をした段階で、一括で全額必要経費にすることができます。
衣装のアクセサリーには、金属のものがあったりしますが、総合償却すれば、おおむね耐用年数は、2年になります(償却率100%)。
ネイル代も仕事が終わった後、元に戻していれば、全額必要経費にできます。
仕事に使用したウィッグ代も必要経費になります。
フレグランスの購入代も必要経費になります。
PCも、サーバー、液晶、Lanケーブル、基本ソフト、設置費用を始め一組30万円未満で、青色申告者の場合には、試運転の段階で一括で必要経費にできます。
そうでなくても、大部分のPCは、サーバーの税務上の耐用年数5年であり、その他部分については、厳密には、短い耐用年数のものを抜き出すことができれば、その短い部分に短い耐用年数を適用できるとなっていますが、事実上、最も短い、それ以外の部分の4年で全体を減価償却することが黙認されています(それなりの人数を雇用している大規模法人以外は、金額も大したことがないので課税側も文句を言ってきません)。
ブログの撮影に使っているデジカメも減価償却することができます。
自宅の一部を会議室として使用していれば、応接セットも減価償却できます。
会議室のエアコンは、室外機1台と複数の室内機が接続されていれば、建物又は建物附属設備として減価償却でき、室外機1台と室内機1台が1組になっているものは、器具備品として償却できます。
(8)諸会費その他
ジムの会費も必要経費にできます。返還不要であれば、繰延資産として入会金を償却できます。
会員権を発行するジムが民事再生法上の決定や破産廃止決定を受ければ、貸倒損失を計上できます。
協会の会費だけでなく、預け入れた保証金も返還不要であれば、繰延資産として償却することができます。
サプリ代、プロテイン代も必要経費になります。
会議を伴った飲食代も必要経費になります。
海外公演では、公演後親族同伴での飲食もあります。その場合家族と飲食した飲食代であっても必要経費にできます。
仕事関係者に贈答した物品もその購入代は、必要経費になります。
仕事関係者の香典、花代も必要経費になります。
HPは、作成後公演や出演のスケジュールが頻繁に告知されて更新されていれば、HPの作成という労働の引渡しを受けた段階で一括で全額費用に計上できますが、CDやグッズを「買い物かご」に入れて買うことができれば、繰延資産で5年で償却することになります。作成前に支払った現金商品は、前払金です。一括で全額費用にできる場合には、広告宣伝費又は外注費になります。
ブログのドメイン、サーバー使用料も必要経費になります。
親のカードから支払われたものの中から、仕事に使ったものがあれば(例えば前記に挙げたようなもの)忘れずに必要経費に計上しましょう。
ペットをブログ上に登場させている場合のペットの餌代については、経費にならないという人がいますが、成人の芸能人ですが、俺は認めさせることに成功しました(広告宣伝費)。
税理士に確定申告の作成をさせて報酬を支払えば、税理士が労働を完成した段階で必要経費になります。すなわち、翌年分の所得税確定申告の必要経費になります。