納税者は、責任役員会によって、代表役員を退任したことが承認され、給与月額は、それによって、約50%減額された。退任によって、勤務関係は終了し、退任した後において、葬儀に従事していることは、慣行であると主張したものの、包括宗教法人が新たに住職を任命したのは、1年半後であったことから、退任後も住職の職務に従事していたとして、給与所得のうちの賞与に当たると認定された(仙台不服審判所平成27年8月3日裁決)。

宗教法人における分掌変更は、如何にしてされるか

実務家の中には宗教法人について下記のように述べる者がいる。

近年、宗教法人の住職が代表役員を辞任し、東堂(住職を退任したものの呼称)となった時点で退職金を支給するという慣行が増えているという事実にかんがみれば、退職金の支給について十分な検討が必要となる。

まず、第一に、宗教法人のほとんどが包括宗教法人の単位宗教法人(被包括宗教法人)として設立されているという点である。

代表役員は、責任役員から選任となっているが、曹洞宗寺院仕免規程では、住職の任免は、管長(本山)が行うとしている。

すなわち、一般的には、住職が代表役員を務める寺院がほとんどであることからすると、最終的な任命権は、包括宗教法人が有していることとなる。このことは、責任役員会で代表役員を選任しても、本山の任命がなければ、代表役員の交替の登記ができないことを意味する。

第二に、宗教法人は、小規模法人が多く、住職以外は寺族(寺院に在職する僧侶以外の者)が職務に従事しており、書類等が未整備の法人が多い。代表役員を辞任しても、何かしら法人の職務に従事している場合が多く、「勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には、異なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係」の立証が難しい。

第三に、業界自体が持つ特殊性が挙げられる。代表役員を辞任し住職から東堂になっても師弟関係があり、葬儀では東堂が導師を勤め住職が脇導師を勤めることもある。また、檀家の依頼があれば、同様に東堂が導師を勤めることもある。葬儀に従事することをもって、重大な変動がないという判断になってしまうという可能性もある(工藤重信「宗教法人を巡る課税について~役員退職給与を中心として」税理士界1337号(2016年2月15日)15頁)。

分掌変更による退職給与の金額は、いかに解釈されるか

私見を述べると下記のようになる。

勤務関係やその合計の再分割である業界には、性質は予め備わっていない。貸付のフィクションを源泉に、労働の疎外を通じて評価がされる。従前の労働のと引き換えられた商品の評価が低すぎたという評価がされれば、労働契約法上の退職後にも労働をしていたケースで、法律により実体化された退職の際に支給された商品の評価には、労働の評価の未払い部分とその労働利息があるということになる。

宗教法人は、建前としては、持分を持たないこととされているが、施設を建設して所有し、僧侶と僧侶をしない労働者を使用して、礼拝に関する労働をさせているのであるから、労働者の何れかに出資をさせ、国際金融資本による貸付けのフィクションがなければ、宗教法人は、設立しえない。

労働力を使用して宗教活動から利潤が生じたのであれば、それは、宗教施設や公益事業のために使用しなければならないとされているが、国際金融資本が、工作員を使用して、創価学会を装って利潤をプールしている場合もある。

国際金融資本が、出資をさせられた労働者を通じて、宗教法人の労働者に貸付けをフィクションしているのであれば、退職の前後を通じて出資をさせられた労働者の立場にあり続けたのであれば、これまでの疎外されてきた労働の評価を超える部分の評価が退職給与に含まれていれば、その部分の金額は、出資者と国際金融資本への、経済上配当(利潤の処分)、税法上は、一時所得であるという見方も成立し得るところである。