<h3>[序論]</h3>

前職を辞めて飲食業界に新規産業に参入する者が後を絶たない。しかし、一年に満たず、半年足らずで閉店を余儀なくされる割合も高い。

飲食業が生計手段として成立するメカニズムの答えはどこにあるのか。
ここではいくつかの指標を用いて分析した。

<h3>[FLRコスト比率と関連比率]</h3>

FLRコスト比率とは、F=在庫を除いたFood、L=Labor、R=Rentをそれぞれ売上高で除したものの総和である。

<div style=”padding:10px; border:1px solid #949494; border-radius:10px; -moz-border-radius:10px; -webkit-border-radius:10px;”>FLRコスト比率=(原材料+労務費+地代家賃)/売 上 高</div>
FLRコスト比率は、従来から外食産業の現場に貸し出されてきた比率で、

FとLの総和が売上の60%、F、L、Rの総和が売上高の70%が望ましいと「一般に」評価される。

始めにお断りしておくが、これらの比率によって導き出された数値に関する評価は、経験則に基づいた現象にすぎないということ。

あくまで経営分析によって得られた事項は、推察であり、現実にそのとおりにならない限りは実体のない観念である。すなわち、比率を用いだ経営分析は、全ての問題を摘出する過程における糸口にすぎない。

数字の基となる事実関係を仔細に調べつくさなければならない。

FLRコスト比率と関係する比率には、

<div style=”border: 1px dashed #fd5dac; padding: 15px;”>人 時 売 上 高 = 売 上 高 / 総労 働 時 間

人 時 粗 利 益 高 =(売 上 高-原 材 料) / 総 労 働 時 間

人 件 費 = 労 働 時 間×時 給
</div>

人時売上高、人時粗利益高の数値は客単価の高い産業、客席回転率の高い産業、

労働と引き換えられた商品に小さい価値と時間という属性が付加された産業ほど高くなる。

客単価は下記数式で表される。

<div style=” background:#e6f6fc; border:none; padding: 15px;”>客単価=売上高÷販売個数×販売個数÷客数=商品平均単価×一人当たりの買上げ点数

月坪売上高=月間売上÷店舗坪数</div>

店舗坪数には、倉庫、事務所の坪数も含める。

この数値が高いほど、労働を疎外して利潤を分配しているということである。

一般に

労働に付され疎外された単価が低い農作物である小麦を使用する

ラーメン屋は原価率が低いと言われる。

自家製の商品を提供する産業は、FL比率が高くなると言われるが、

FL比率が低ければ低いほど納期を短縮され、

大量生産され、需要がフィクションされた搾取企業という見方もできる。

紙切れ、土地、建物は価値属性が備わっていない。

紙切れや労働力がオンライン上で稼働させた商品は

物差しではない。尺度ではない。

紙切れが利潤を産み出すのではない。

土地や建物が利潤を産み出すのではない。

労働が産みだした評価が疎外されて商品に転嫁されて

商品と引換に何の価値も備わっていない架空の紙切れを得て

それを評価している。

労働力商品に支給される商品の評価がされる前に

労働の疎外を土台とした利潤の評価が

国際金融資本に前貸しされて

返済を待つ労働力に貸し出しがフィクションされる。

してみると、利息や地代家賃は利潤の分配であって

金や土地を貸さなければ俺はそれを使用して労働して利潤を得ることができたんだというのは

実体のない観念である。

出荷前及び出荷後の商品の値引きは労働の疎外された評価である。

土地、建物、機器は、労働力が加工及び稼働させていることからすれば

減価償却費は労働が産みだした評価を疎外して利潤に転嫁したものということになる。

労働を一旦停止させ、労働力に稼働させた架空の商品と交渉し時間という価値を

従前よりも小さく付与する。労働を引き続き再開させて残業させ

機器を休みなく稼働させる。

残業させたことにつき

シフト制をフィクションし契約により実体化させ

残業の評価を疎外して労働力商品の評価に転嫁することを免れている。

労働に付される単価、労働力商品に付される単価は下がり

利潤の評価が増殖する。

原材料は、労働の疎外が転嫁されている。

利潤が労働により産み出されるという過程に鑑みれば、分子には、貸付をフィクションするだけの役員の報酬を除いた、アルバイト、派遣、正社員、専従者を始めとする現場労働者の残業代、賄いとして消費した商品の評価を含めた給与+減価償却費、出荷前までの値引き+廃棄損を除いた原材料費が来なければならない。

登記上の役員であっても、現場労働に関する評価分は分子に加えて差し支えない。

利潤の土台となったものは、

購入して支払わざるを得ないもの、すなわち義務である。

労働力が再生産できていれば、労働の評価を切り下げて構わないというものではない。

利潤のあるなしに支払わなければならないものと利潤から支払うものとに

分けてFLR比率、厳密に言えばFL比率を出して分析しなければ、現実の経営状態から乖離したものになるであろう。

FL比率の分子に算入されるものとしては、他に、おしぼりや箸といった消耗品費、水道光熱費、通信費、研修費、運賃、修繕費、広告宣伝費、ごみ処理代が挙げられる。すなわち労働があって商品が完成するものに支払う費用である。

利潤から分配されるものとしては、地代、利子の他に、①ロイヤルティ、②廃棄損、③租税、法定福利、火災保険、すなわち国債の返済負担が挙げられる。

ドリンクとフードに分けてFL比率を算出する場合、労働量が異なるので、売上や原料仕入に応じて按分するのではなく、それぞれの労働を終える毎に労働量を架空の商品と交渉してその商品に価値を付し個数を乗じることにより、完成品をコップに注いだり、加熱するだけのドリンクや冷凍食品よりも調理加工という労働をするフードに比重をかけて算出し分析をすることが必要になる。
減価償却+金融費用+値引きの合計額だけ赤字であれば企業は生産設備を入れ替えなければ生計手段として存続するか否かに関してはボーダーラインといったところか。

尤も、金融資本は、一円でも資産の評価がある限りは簡単に破産させてくれないのだが。

FL比率を分析して削るとすれば、先ずは、賃金を算定基礎にする法定福利を除いた、利潤から分配されるものであろう。

法定福利は、してもいない借金(実は労働者は金融資本に貸付をしている。)である国債の返済負担であるから、無駄な出費であるが、労働に対し給料を下げるわけないはいかない。

その上で、原材料、商品の仕入を見直すということになると思われる。

仕入の中で一番先に削るとすれば広告宣伝費であろう。

仕入先、外注先が原材料、商品を引き渡して現金商品を得て価値を付すととができなくとも

労働の評価を支払うのは、仕入先の資本の義務である。

仕入先の労働力に労働をさせて値引くのではなく

労働が疎外され転嫁されたところの商品を購入しない、

すなわち労働させないことを検討することである。

固定資産を休止させ

労働を早く切り上げ、休憩させ、タイムカードに長時間の価値を付す。

客席を増やさないことである。

バイトにフードとドリンクそれぞれの売上を集計させることは、

現場レベルでは、POSレジの開発よりもさらに前から行われてきたことであるが、

現在でも、POSレジがない場合には、アルバイトにフードとドリンク売上を

それぞれ集計させることを提案する見解もあるが、

現場の労働力に手待ちさせるということは

労働の速度を上げさせるということ、

それにより労働に付される単価が契約により

実体化された評価よりも下がってしまう。

POSレジがない会社がフードとドリンクの収支を

現場の労働者に

集計させたりサンプリングの仕事をさせるなら

その分を労働の評価に付加しなければならない。

経済関係をフィクションされて

利潤の評価を減らすわけにはいかないというのであれば

貸付をフィクションしているだけの労働をしない役員に

集計やサンプリングをやらせて利潤の中から分配することである。

財務諸表分析は、実数分析にしろ、趨勢分析にしろ、

比率算定を手段にしろ、経営上、生産関係上の問題を探る糸口でしかない。

現実の利潤が産み出される過程が疎外されたことが反映されていない

財務諸表上の数値に基づいて批評するだけで十分とは言えないのである。

<h3>[まとめ]</h3>

これからどうしても始めると考えている人は、物件を一括で現金払いでき、借入契約しなくて済む段階になり、且つ、半年位売上ゼロでも生活できるだけの蓄えができてから始めた方がよいと思います。

飲食業の開店に当たっては、イニシャルコストについても考えなければなりません。

家賃については、3営業日分の売上相当が望ましいと言われるが、私見としては、労働を一度停止するところを労働力にオンライン上で稼働させた架空の商品と交渉してそれを1営業日するなら、1営業日の売上相当でもいいぐらいである。

カウンター席しかない、総席数5席前後の居抜きの物件を取得できるかを考えるか、自宅が所有であれば、自宅の一室を飲食スペースとして貸し出すのもよいかもしれません。

やどかり方式で、他の店舗を借りて週二回昼又は夜のみ営業する、また、予約があってときのみ自宅、取得店舗又は他の店舗で営業し、それ以外の日は、バイトなり会社勤めをするなどから試運転してみるのも良いかもしれません。

どうしても借りるというのであれば、居住マンションとして貸し出しの募集がかけられ、事業を行うことが許容されている物件であろう。

しかし、利潤に応じて家賃の値上げが行われ、それが契約書に盛り込まれることがあるので注意しなければならない。

更に下記のことが重要になってくると思います。

①人は雇わない。

② 料理ができもしないのに始めない。

売れない芸能人や引退したスポーツ選手がやってるのを見て俺にもできそうだと思って開店すると失敗します。

それと、奥さんやお母さんに毎日料理を作ってもらっていて、厨房に入ったことのない税理士や会計士が飲食のコンサルをやってるなんて、まるで男を知らない女の子が恋の歌を歌うようなものですな。

③ 一の料理を作り過ぎない。

④ 肉、魚、野菜は、一の食材で複数の料理に転用できる食材を買い、メニューを複数開発し頻繁にマイナーチェンジする。

⑤ 乾物を使用したメニューを考える。

⑥④、⑤と被りますが、スパイスは、メジャーなものからマニアックなものまで

揃えておく必要があります。

鯖一つ焼くにしろ、使うスパイスにより、和食にもなり、インド料理にもなり、

地中海料理にもなり、アフリカ料理にもなります。

⑦ 肉や魚は数日分まとめて火を通しておく。

⑧ 次に煮込み料理を作る。

⑧ 煮込みの具材を毎日付け足す。

⑩ 薄めなければ飲めない度数の高い酒を仕入れる。

コーラやコーヒーや紅茶を薄めて出すと当初は労働の評価が低いから利潤が出るが、商品としては、酷評されるだろう。

⑪ ホームページのメニューは頻繁に更新する。

更新するといっても変わった部分だけ、書き直せばよいのであって、

全部消して一から書き直す必要はない。

営業日、休日を決めてHPに載せる。

肉、魚、野菜の名前、メニューの価格をウェブ上で明記する。

そうすると、繁忙なときに電話による問い合わせを避けることができる。

⑫ 365日24時間営業にしない。

⑬ ビールをラッパのみさせる。

労働の評価を疎外しなければ、労働の強化を抑制できる。コップやサーバーを買わなくて済む。

炭酸が抜けずに喜ばれる。
外資系に倣って拡大再生産をしないことが重要であると思います。

<h3>[追記]</h3>

フェスのフードコートって

一日当たり賃借料6~8万くらいするのです。

他に材料費もあります。

俺は人を使わないというスタンスで

色々なことにチャレンジしてきましたが、

一食500円が相場で

何食売れば、回収できるのか

気が遠くなりそうなので

出店しようと考えたこともありましたが、

出店するのを辞めました。

レアな食材を使ったら

100%原価割れ。

自分が作りたいものが作れないので

辞めました。

保健所の審査も下りないでしょうし。

出店されている方々は、

原材料、賃借料と色々、制約がある中、

どれだけ売れているかはわかりませんが、

美味しいものを提供してくれる。

理屈抜きに。

俺は自炊するし、

飲食でバイトしたこともあるから

料理を作って出すことが

如何に大変かを知っているつもりである。

だから、値切ったこともないし、

コストパフォーマンス云々を考えたくないのだ。

「作ってくれて有難う。」

「ご馳走様」

これでいいのだ。