[事実関係]

平成2年7月期において原告の期末発行済株式総数は、20万株であり、その内Bの持分は12万株である。

原告は、平成3月27日、B株式会社の代表取締役であり原告代表者甲の父である乙との間で同年10月20日に同社発行済の全株式4万株(本件株式)を譲り受ける旨の株式売買約定書及び株式評価合意書を取り交わし、同年3月20日、乙及びBとの間で覚書を取り交わした。

原告は、契約上、平成3年3月27日に、乙に対し、売買代金の1割を手付金として支払い、同年10月20日に売買代金の残金8億4,895万2,000円を支払うとした。

原告は、10月20日に契約書に従って残金を乙に支払った。

Bの平成2年8月1日から12月31日の仮決算書には、債務の確定していない乙の役員退職金1億150万円が未払退職金として記載されていた。乙は、現実に10月20日に退職している。

原告の平成4年7月期の決算書には、B社株式が9億4,328万円として記載されていた。

所轄税務署長は、平成7年7月31日付けで更正処分をした。

本件法人税の更正処分の通知書には、更正の理由として

「貴社は、乙と平成3年3月27日にB会社の全株式を943,280,000円で譲り受ける契約をし、平成3年10月20日に全株式譲受けていますが、当該株式の評価額の算定において、評価会社の保有する土地の評価を平成2年の路線評価を用い、全ての減価償却資産を簿価の70%で評価し、また、評価差額に対する法人税額等に相当する金額51%を控除する等の誤りが認められます。

そこで、当該株式額の算定について、当該株式は、非上場株式で気配相場がなく、売買実例等の他の類似する株式もないこと、評価会社の保有する土地は、下落傾向の強い地域であること等から土地の評価は、平成3年分の路線価を時価として純資産方式で行い再計算したところ、1,531,044,000円となり、当初の契約金額との差額587,764,000円の受贈益として計上漏れとなりますので、同金額を登記の所得金額に加算しました」と記載されていた。

原告は、

「被告は、本件各更正処分において、本件株式の評価時点をその引渡しの日である平成3年のである平成3年10月20日としておきながら、本件の第2回口頭弁論期日に陳述した準備書面(一)において、株式の低額譲渡を理由として更正するに当たり最も重要な要素である株式の評価時点を、本件売買契約締結の日である同年3月27日と主張している。

しかるに、評価時点に関するこのような主張の差し替えを課税庁に許容すれば、更正の通知書に理由附記を要求する法人税法130条2項の趣旨を没却し、被処分者の防御権行使に格別の不利益が生じるから、このような理由の差し替えは違法なものとして認められないというべきである」と

主張した。

裁判所は、

「法人税の青色申告に対し、帳簿記載自体を否認することなしに更正をする場合においては、その更正は、納税者の帳簿の記載を覆すものではないから、更正通知書記載の更正理由が、そのような更正をした根拠について、帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示するものではないとしても更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足するものである限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないと解される(最判昭和60年4月23日)。

本件更正処分通知書に記載された更正理由は、原告による株式の評価額の算定における誤りを具体的に指摘し、本件株式を再評価した場合の価額を示して、当該金額と当初の契約金額の差額が受贈益となることから、これを本件事業年度の所得金額に加算するというものであって、納税者である原告による帳簿書類の記載自体を否認する上ではなく、本件株式の評価について、原告と法的評価を異にしたことに基づくものであることが認められる。

そうであるとすれば、本件更正通知書に附記された上記理由は本件株式評価時点については明らかにしていないものの、本件法人税更正処分の根拠について、更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示したというものができるから、更正理由の附記として不備があるとは言えないから、原告の上記主張は理由がないというべきである。

被告は、本件訴訟において、当初、本件更正処分と異なる評価時点における本件株式の評価を主張しているものの、いずれの主張も、本件各更正処分における収益の計上に当たり、原告の譲り受けた本件株式の評価に係るものであって、課税される事業年度、課税される収益、課税の根拠等が同一であり、このような主張の変更は、係争処分の同一性を害するものではない。

また、原告は、被告が第4回口頭弁論において、本件評価時点を再度、平成3年10月20日としたことが、原告の防御権の行使や迅速な手続の観点から、決して望ましいものではないものの、変更後の評価時点が、本件各更正処分における評価時点と同一であり、原告が被告の主張する評価時点として当初想定していた時点であることに鑑みれば、原告の防御権の侵害した違法なものであるとまでは言えない。

そうであるとすれば、このような主張の変更が許容されないということができない」とした。

[解説]

乙は、Bが発行をフィクションさせた発行済株式の全部を出資したこととされ、譲渡後は、原告がBに全額出資したという資本関係が形成され、Bは原告の100%子会社ということになる。

原告は、乙の乙の子である甲の同族会社である。

乙は、株式引渡しまで、国際金融資本から融資を受けており、国際金融資本に利潤の評価、資本の処分権のコントロールを受けており、国際金融資本に利潤を分配した後、乙に利潤が分配された。

株式は、実体化された契約金額が疎外され、1,531,044,000円で引き渡すことが経済関係上、義務付けられ、乙は、労働力商品を購入することによるものではなく、労働を疎外したことによる利潤の配当であり、9億4,328万円との差額は、乙がキャピタルゲインからBに分配したのではないと解される。有価証券が価値を産みだしたのではなく、甲を使用してBの労働力の労働を疎外したことにより受贈益の評価に転嫁された。株式の引渡しがフィクションされる前に、労働の評価が疎外されて利潤の評価に転嫁され、株式の評価と引換えにより得た商品である現金に価値が付与れたものである。株式の評価の段階は、引渡しの前までにされたと解される。

帳簿の記載、評価は、経済関係上の事実関係を土台に行なわれるものであるから、評価を異にする更正処分も、労働の疎外に関する経済関係上の事実関係の否定である。

国債の返済負担の賦課は、信頼関係に基づいて行なわれるのではない。帳簿にも資料に信憑力なる価値属性は備わっていない。

納税者がフィクションした経済関係及びその源泉、土台を否定し、事実関係の改定をフィクションし又は別個の事実関係をフィクションして資料を用いて国債の返済負担のフィクションを実体化させることに成功させるか否かである。

取引の目的、法の趣旨目的は実体のない観念であり、それらと交渉して国債を負担を課して理由付するということは、恣意課税である。

疎外された労働の評価が貸し出され、返済を待つ間に労働力を再生産し、資本関係への置き換えがフィクションされ、労働力は、停止させられながら労働力を再生産し、労働の疎外の過程は進行しているから、利潤に転嫁されている過程において、労働力が稼働させる時計という商品と交換し時間という価値属性を付与しなければ、資本関係のフィクションを源泉に、労働の疎外を土台とする株式という架空の商品の評価を国債負担を課す側は、実体化させることができない。

調査報告書に記載された事実関係に基づくものかが、調査報告書から更正処分の事実認定に至るまでの過程が更正処分の通知書に記載されていないから実体化されていない。

土地が下落したという資料と下落の根拠を処分通知書に記載しなければならない。

土地評価に関する通達の適用の土台となった経済上の事実関係が摘出されておらず、適用に至った過程が処分通知書の記載自体に明らかにされていない。

法人税相当額は実体のない観念であはあるが、通達適用の土台となった事実関係の摘出がされていない。

22条2項を挙げて国債の返済負担のフィクションを実体化させていない。

処分は、経済関係を土台に行われ、処分の土台となる経済関係が異なるということは別個の行政処分である。

原告が被告の評価時点であると当初想定していたというのは実体のない観念であり、理由の差し替えを許容する根拠にはなりえない。

理由を差し替えたということは、事実関係の摘出の全体化、処分理由を特定し、全体化できていないということであり、フィクションした経済関係上の事実関係及びその源泉、土台を評価し処分の要件として実体化させたことの一部又は全部が現実に否定されたということであり、取引の目的や法の趣旨目的と交渉したということ、すなわち国際金融資本が、労働を疎外し、労働力との間の資本関係をフィクションし紙切れをフィクションする権利のフィクション及び再生産までの過程を土台にした恣意を排除せずに処分をしたことを実体化できずに、恣意の排除という、経済関係を土台とした自由意思の介在しない義務を免れていると解されるのである。

処分は、理由の不備があり、法律の規定を手段に取り消さなければならないと解される。

尚、理由の差し替えにつき、<a href=”http://ameblo.jp/nextcity/entry-11197487366.html” target=”_self”>最判昭和56年7月14日</a>については、2012年3月19日付けの記事で述べております。