退職給与は、如何にして支給して算定するのか。

裁判例は、

「法36条及び施行令72条において、法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その法人と同種の事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支払状況等に照らし、その退職役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その法人の各事業年度の所得の金額計算上、損金の額に算入しない旨を定めた理由は、法人の益金処分たる性質を含んでいることに鑑み、右基準に照らし、一般に相当と認められる金額に限り、収益を得るために必要な経費として損金算入を認め、右金額を超える部分は、益金処分として損金算入を認めない趣旨であると解される。

役員の最終月額報酬は、特別な場合を除いて役員の在職期間中における会社に対する功績を最もよく反映しているものであり、また、在職期間の長短は、報酬の後払いとしての性格の点にも、功績評価の点にも影響を及ぼすものと解され、功績倍率は、当該役員の法人に対する功績や法人の退職金支払能力等の個別的要素を総合評価した係数というべきであるから、類似法人の功績倍率を比較検討して、退職役員に対する退職給与の支給が不当に高額であるか否かを判断する判定方法は、法令の趣旨に合致する合理的なものと言える」とする。

(静岡地判昭和63年9月30日)

月額報酬は、労働力商品と引き換えに支給された商品の評価である。

功績倍率は、疎外労働の評価が労働力商品の何倍あるかによって規定される。

裁判例、裁決例、市販されているデータの功績倍率、役位係数は、国際金融資本の代理人たる労働者すなわち国際金融資本から借金をフィクションされて労働者への貸し付けをフィクションさせられて疎外労働をさせている代表取締役ほど高くなっており、労働の実体を反映していない。

実体のない観念である収益を得る目的、法の趣旨目的と交渉して退職給与の支給を決めると労働の実体から乖離する。

否認されて更正処分をされるまでは、法の趣旨と交渉してフィクションしたリスクは実体のない観念である。

退職給与の評価を増大させて更正の請求により認めさせることは困難である。

粗利は、最終仕入原価法で棚卸を評価した場合の、当該労働者に投融資した経済実体による労働の疎外を土台にした利潤すなわち生産した商品に転嫁された評価と近似値にある。

減価償却費は、疎外された労働の評価であり、労働力商品の評価に転嫁されなければならない評価である。

(1)原価に算入した減価償却前の粗利すなわち財務諸表上の粗利に減価償却費をプラスした金額が労働者全員の退職給与算定の基礎となる月額給与の合計額ということになる。

オンライン上の架空資産である時計には価値属性は備わっていない。労働の評価は時間の経過によって産み出されるのではない。

(2)現実にした労働(準備、待機を含む。フィクションされた資本関係、疎外された労働の評価が利潤として資本に転嫁されることに鑑みれば、瑕疵があっても労働の評価は減らない)と引き換えに労働力が稼働させる商品に時間という価値を付すのか、重量という価値を評価を付すのかによって評価し、それが現場労働力全員の労働の評価に占める割合を作業工程表(実績表であって予定表でない)その他から出し、これを償却前の粗利に乗じる。これが利潤から分配される退職給与であって、退職給与債務の評価の全てではない。

各月の上記(2)の退職給付債務の金額を報酬月額で割った数字が功績倍率である。

労働をしていない金融資本と異なり、労働者は金融資本に疎外された労働の評価を前貸しして、労働力商品と引き換えられる商品の評価すら待たされ、労働力再生産を余儀なくされ、資本関係をフィクションされ、労働の疎外を土台とした利潤を金融資本に分配させられている。

(3)各月毎に月額報酬×功績倍率×金融資本からの借入利率で退職給与の金額を計算する。

(4)(3)の金額を集計する。

又は、

上記(1)に原価に算入した月額利払額を加算して、上記(2)の功績倍率を乗じて(3)の金額、(4)の金額を計算する。

(4)を超える金額の超える部分は配当ということになるであろう。法によって配当が産み出されるのではない。

裁判例は、役員であることをもって益金処分であるとするが、法人の労働者に貸付けをしているが故に、疎外労働を土台にした利潤のフィクションまでの評価とその処分をコントロールすることを、フィクションされた資本関係により委ねられて処分したことにより益金処分の価値属性が付されたのである。

創業以来帳簿が残っていれば、創業まで遡るに越したことはないが、

残っていなければ問題は上記の過程をどこまで遡り、それを平均して在職年数を乗じるかを考えざるを得なくなってしまう。

疎外された労働の価値を完全に取り戻せるかという問題は残る。

税経通信71巻1号(通号1006号)(2016年1月号)179頁のいう「退職前10年間の平均月額報酬」というのは、更正処分ができる7年間よりも商法上の帳簿の保存義務期間10年の採用の方が労働の実体の評価の合計に収束されるのではという観念から(その観念は、実体はないが)、最終月額報酬に代えるものの例示として、退職前の平均10年間としているのではないかと思われる。

これにより算出した評価を実体化することができるかは、調査の場における労働で認めさせるかにより、現実に商品を支給したとしても、それまでは実体のない観念と評価されるであろうが、労働の実体があって、法定された帳簿の保存期間をベースに計算しているのであれば、且つ反面調査その他により入手した資料がなければ、恣意による更正するしないを決定するということを抑制しきれていないという問題は残るが、代理人たる税務署長も事実関係、評価を否定することをやめざるを得ないであろう。