[事実関係]

歯科技工業を営む審査請求人は、平成17年分~23年分の所得税について確定申告を行ったところ、税務署長は、上記各年分の所得税の更正処分並びに平成18、20、21年分の所得税に係る過少申告加算税、本件過少分の重加算税の賦課決定処分、平成20、22、23年分の消費税等の各決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の賦課決定処分をした。

更正処分通知書には、

「あなたの平成23年分の所得税について、提示書類等を調査した結果、下記のとおり、誤りが認められました。

よって、あなたが平成24年3月6日に提出した所得税の確定申告書に記載された平成23年分の所得税の所得税の確定申告書に記載された事業所得の金額○○○○円に下記1.の金額2,156,547円を加算した金額○○○○円を事業所得の金額とし、雑所得の金額を下記2.の金額とし、総所得金額を別表のとおり、更正します。

1. 事業所得の金額に加算する金額・・・2,156,547円

あなたの当年分の事業所得の金額に次の(1)の総収入金額の計上漏れ額2,353,290円から(2)の必要経費の計上漏れ額196,743円を差し引いた2,156,547円と加算します。

(1)総収入の計上漏れ額・・・2,353,290円

あなたは、当年分の事業所得に係る総収入金額を○○○○円としていますが、調査した結果、次表のとおり、○○○○円と認められます。したがって、あなたが事業所得の収入金額とした○○○○円と○○○○円との差額2,353,290円を計上漏れとして総収入金額に加算します。
取引期間  平成23年1月~12月   平成23年1月~12月

取引先   Q歯科Q氏        S(R氏)

売上金額  ○○○○        ○○○○

合計                ○○○○

(2)必要経費の計上漏れ額

あなたの当年分の事業所得の計算上、必要経費に算入していなかった次のイからハの合計金額196,743円を必要経費の計上漏れとして加算します。

イ 仕入金額・・・3円

あなたは、○○社に係る仕入金額を293,479円としていますが、調査した結果、293,482円が正当額と認められますので、その差額3円を仕入金額の計上漏れとして必要経費に加算します。

ロ 荷造運賃・・・191,700円

あなたは、○○社に係る荷造運賃191,700円を必要経費に計上していませんでしたので、荷造運賃の計上漏れとして必要経費に加算します。

ハ 振込手数料・・・5,040円

あなたは、S(R氏)との取引において負担した振込手数料5,040円を必要経費に計上していませんでしたので、振込手数料として必要経費に加算します。

2. 雑所得の金額

あなたは、平成23年2月7日、V社から被保険者、保険契約者及び保険受取人をいずれもあなたとする確定型年金積立傷害保険契約(契約者番号○○○○、給付金種類:確定型)に基づく確定(給付)型年金(以下「年金」と言います)○○○○円を受け取っていますが、当該年金、所得税法第35条(雑所得)に規定する雑所得に該当します。

なお、雑所得の計算上、必要経費として控除する金額は、所得税法施行令184条(損害保険料等)第1項第2項の規定により、当該年金の額○○○○円に、当該年金の支払総額○○○○の内に払込保険料の総額○○○○円の占める割合である○○××を乗じて計算した○○○○円となります。

したがって、23年分の雑所得の金額○○○○円から、必要経費の額○○○○円を控除した○○○○円となります。」と記載されていた。

国税不服審判所は、

「所得税法155条第2項(※)が青色申告に係る所得税について更正する場合には、更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは、法が青色申告制度を採用し、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿記載を無視して更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきであり、

したがって、帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合において更正通知書に記載すべき理由としては、単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、そのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが、

帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正する場合においては、当該更正が納税者による帳簿の記載を覆すものではないから、更正処分通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について、帳簿の記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないにしても、更正の根拠を上記の更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨、目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないと解するのが相当である」とし、

「原処分庁関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、請求人は、本件各年分において、請求人の事業所得を生ずべき業務について、その事業所得の金額に係る取引を記録する帳簿を作成していないことから、本件所得税更正処分は、帳簿の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当するところ、

原処分庁は、本件所得税各更正通知書において、本件各年分の事業所得に係る総収入金額については、取引先毎に取引期間及び年間売上金額を一覧表で明らかにしており、必要経費については、計上漏れとして認定した仕入金額、荷造運賃、振込手数料、外注工賃の支払先及び年間の支払合計金額並びに減価償却費を記載していることからすれば、

本件所得税の各更正等通知書に記載された事業所得の金額に加算する金額の判断部分に係る理由は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的な記載がなされていると認められることから、本件所得税各更正処分を取り消すべき不備はない。

平成19年分ないし平成23年分の所得税の各更正処分の雑所得の金額及び本件所得税の各賦課決定処分については、その処分の理由を附記すべき旨を定めた法令の規定はないことから理由附記の必要はなく、この点についての違法はない。

本件消費税等各決定処分等について、その処分の理由を附記すべき旨を定めた法令の規定はないことから、理由の附記は必要なく、この点についての違法はない。

請求人は、法令に規定はないが、納税者にとって不利益処分であれば、具体的に理由附記する義務があるので、加算税についての本件所得税各更正等通知書における理由附記及び本件消費税等各決定通知書における理由附記について必要であると主張するが、その判断については上記のとおりであり、この点の請求人の主張は採用できない。」とした。

(国税不服審判所平成27年3月30日裁決)

※所得税法155条2項

税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正(前項第1号に規定する事由のみに基因するものを除く)をする場合には、その更正に係る国税通則法28条第2項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない。

国税通則法28条2項

2 更正通知書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 その更正前の課税標準等及び税額等

二 その更正後の課税標準等及び税額等

三 その更正に係る次に掲げる金額

イ その更正前の納付すべき税額が更正により増加するときは、その増加する部分の税額

ロ その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額

ハ 純損失の繰戻し等による還付金額に係る第58条第1項(還付加算金)に規定する還付加算金があるときは、その還付金のうちロに掲げる税額に対応する部分の金額

ニ その更正前の納付すべき税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額

ホ その更正前の還付金の額に相当する税額が更正により増加するときは、その増加する部分の税額

3 決定通知書には、その決定に係る課税標準等及び税額等を記載しなければならない。この場合において、その決定が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。

[解説]

疎外された労働の価値を労働者に前貸しさせ、労働力商品と交換される商品の支給を待たせ、労働力を再生産させ、国債のフィクションを手段に、フィクションされた融資、資本関係により国債を負担させるという課税の現実、減価償却費は疎外された労働の評価であることに鑑みれば、記帳の程度に関わりなく、帳簿記載事実を否定するか、帳簿記載事実を否定せずに法的評価を異にして更正する場合でも

金融機関の労働力や取引先の労働力に反面調査をした過程で入手した事実関係、労働の現場を実地調査して入手した棚卸、労働の評価の商品への転嫁、労働力商品と交換した商品の支給と評価、当該経済実体が融資を受けている金融機関を始めとする事実関係、帳簿の調査により入手した事実関係を挙げて、それに基づいて事実関係を確定したこと、売上計上漏れがあると認定した過程を資料を摘示し実体化する義務がある。法的評価の相違も事実関係の確定を経て行われたものだからである。

信憑力云々の問題ではないのである。帳簿に信憑力は備わっていないのである。

理由附記を定めた規定は実体法である。理由附記の義務と恣意抑制の義務は、経済取引の目的、法の趣旨目的から生成される義務ではなく、フィクションされてしまった現実の経済関係を土台とするのである。

法の趣旨目的と交渉することは、観念による処分を追認すること、すなわち恣意に基づいた処分を追認することである。代理人を使用したマスターベーションを追認することである。

売上集計表は帳簿ではないのか。当該事例は、帳簿記載事実を否定して更正する事例である。

帳簿には含まれないとするにしろ、無から評価が産まれるとでも言いたいのであろうか。

国際金融資本の代理人たる調査官は、調査という疎外労働を手段にして、労働の疎外の存在を暴露し、利潤の転嫁された商品と交換された商品の価値属性を付与するのである。

無から評価が産まれることはない。当該事例は、事実関係に欠缼がある帳簿をフィクションして帳簿記載事実を否定するのであるから、法的評価により更正をするのではなく、帳簿記載事実を否定する更正である。

国際金融資本は、代理人たる税務行政庁の労働者、司法との資本関係を源泉に、新たな事実関係をフィクションしたり、方便を付したり、既存の事実関係の改定、評価替えをフィクションしたりして、経済上不利益となる法の適用を免れてきた。

当該更正処分通知書においては、調査の結果とそれに至る計算過程が書かれているだけで、現実の経済関係に基づいて、調査により、国際金融資本を使用してフィクションされた経済上の事実関係を確定し、事実認定に至った過程が記載されていない。

払込保険料の評価は、国際金融資本がフィクションした国際金融資本による債券の購入を通じて、労働力に貸し付けがフィクションされ、労働の疎外が反復される。疎外された労働の評価と交換される商品の評価の内、約定により、実体化されたものは保険金の支給が行われ、国際金融資本が保険会社を使用して支払う保険金の未払分は、保険契約者の国債の返済負担に回される。

保険料の払込という方便と租税という方便で2重に国債の返済を負担させる。保険料の支払は、生命保険控除がある以外は、節税にはならない。課税が繰延られるだけである。

上記の経済過程に鑑みれば、

国際金融資本が金融機関の労働者に提出させた資料箋について、現実の、フィクションされた資本関係、労働の疎外の実体(存在)と給付の実体化の過程を通じて計算されたものなのかが更正処分通知書自体から明らかにされる義務が経済関係上のみならず、実体関係上も実体化された。

消費税についても、所得税に関する帳簿調査、実地調査により、所得税と併せて調査ができることが実体化されていることに鑑みれば、労働の疎外の実体が暴露され、法律により課税を実体化させることができるのであるから、理由附記はできないということはないし、理由附記は義務であろう。

上記の課税の過程に鑑みれば、消費税の賦課決定についても、国税通則法74条の14の改定により実体化されていない過程、労働過程と交換される商品に付された価値により適用が実体化されていない過程であったとはいえ、理由附記についての実定法上(所得税法155条2項、国税通則法28条2項)の要件は例示であると解し、理由附記の義務があるとみなければならないであろう。

加算税についても、上記の経済過程に鑑みれば、通則法74条の14の改定前であっても、理由附記についての実定法上の要件(所得税法155条2項、国税通則法28条2項)は、例示であると解し、加算税が賦課されるに至った過程を記載させ、恣意を排除しなければならなかったであろう。

[関連条文]

国税通則法74条の14

行政手続法第3条第1項に定めるもののほか、国税に関する法律に基づき行われる処分その他公権力の行使に当たる行為(酒税法第2章酒類の製造免許及び酒類の販売業免許等の規定に基づくものを除く)については、行政手続法第2章(申請に対する処分)(第8条(理由の提示)を除く。)及び第三章(不利益処分)(第14条(不利益処分の理由の提示)を除く。)の規定は、適用しない。

所得税更正処分につき、2013年8月23日付で<a href=”http://ameblo.jp/nextcity/entry-11598018637.html” target=”_self”>最判昭和38年5月31日</a>を取り上げています。