[事実関係]
1 米国法人Aは、100%出資して子会社Xを設立し、本店所在地をケイマン諸島として登記した。
株式の購入は、東京支店で行っていた。
AとXは、法人B、Bの子法人であるCから、B、Cが購入した政策保有株式を譲り受けた。
2 原告Xは、Aに配当を支払っていた。
3 原告Xは、Bのフィクションした株式の交付を受け、BにAの株式を交付した。原告は実体上持株会社となる。
4 原告Xを合併法人、A、Cを被合併法人とする吸収合併を行った。
原告XがBの親法人となる。
原告Xは、Aの平成20年4月30日終了事業年度の納税義務を承継した。
原告Xは、平成20年12月31日終了連結事業年度から、連結納税の承認を受けた。
5.Aの20年4月期の法人税につき、麹町税務署長Yは、Xが、Xの19年12月31日終了事業年度において、Aに係る特定外国子会社等の課税留保金額(66条の6第1項)の益金の額への算入漏れがあるとして、20年4月期の更正処分をした。
原告法人Xは、措置法66条の6第1項柱書の「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に課せられる税負担に比して、著しく低いもの」との文言は、文言解釈では、一義的にその意味内容を確定することのできないものであり、同項の委任を受けて制定された措置法39条の14の文言上は、同条1項2号にいう「その各事業年度の所得」には、国内源泉所得も含まれると解するのが素直である一方、同条2項2号にいう「外国法人税」の額に日本の法人税等は、含まれないから、同条1項と2号とでは、上記措置法66条の6第1項の柱書の文言の解釈につき、異なる立場が採られ、両者は矛盾していると主張した。
裁判所は、
「当該特定外国子会社等の本店所在地の法令の規定により計算する場合(措置令39条の15第2項)についても、本邦オフ例の規定の例に準じて計算するする場合との間で著しい乖離が生じないような一定の調整を加える計算の方法を採るものとされており、このような手法もまた措置法66条の6第2項の許容するところであると解されるのであって、特定外国子会社等の各事業年度の計算に基づく所得の金額について、当該外国子会社等の本店所在地国の法令の規定により、計算する場合においても、又、特定外国子会社等の未処分所得の金額にその国内源泉所得も含まれることが前提とされているというべきである。
66条7項1項の規定による委任に基づき定められた措置令39条の18第8項において1/3ルールが採用されているのは、外国において非課税とされ、又は軽課税とされる所得から生ずる控除限度額を利用して別の外国において課された外国税法で控除されるという問題に対応するためであるところ、措置法通達66の6-20についてそのような問題が生ずることは考え難いことからしても66条7項の第1項にいう「外国法人税」について措置法66条の6-20の定めのような解釈をすることはできないものというべきである。
措置法66条の6第1項所定の課税対象留保金額の計算の基となる特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を定義する同条2項2号の規定においては、それに特定子会社等の国内源泉所得が含まれなければならないのは、そのような限定解釈をしなければ、措置法66条の6第1項の規定の法律の定めとしての有効性それ自体を認めることができないような場合、すなわち同規定につき、いわゆる合憲限定解釈を要すような場合に限られるものというべきである」とした。
(東京地判平成26年6月27日)
[解説]
日本国内源泉所得を課税留保金額に含まれないとXは主張。 69条2項 日本に実体のある事務所を置く法人資本は、日本で労働を疎外、日本国外で労働を疎外したことを土台に、利潤に価値が付されるのであるから、日本の租税法、国外の租税法により課税を受けたとしても 二重課税とはならない。
原告は、労働力商品を購入することなく、労働の疎外を土台にした利潤を得ていた。国債負担前の利潤から配当しているから、二重課税にならない。
法人は実体化させ、法人資本は労働を疎外した利潤を、国際金融資本に支払い、利子の方便が付与され、地主に分配した後の残滓を受け取ること
法人税、国債の負担は、現実には、労働の疎外を土台にした利潤から支払われ、労働者が負担したことになってしまっているが、労働に価値を付して全額支払った後、労働者でなく、借金をしながら、資本関係をフィクションした国際金融資本が負担しなければならない。