[事実関係]
住友軽金属工業は、生命保険会社9社と住友軽金属工業の労働者を被保険者とする団体定期保険契約を締結した。
労働者3名が、癌で死亡したことから、各保険契約に照らして、各保険会社から死亡保険金として各労働者につき、夫々6,120万円を住友軽金属工業の資本は受け取った。
3名の労働者の遺族は、住友軽金属工業の資本から、それぞれ、1,164万円、1,289万円、888万円の支払いを受けたが、保険金全額の支払いを求めて住友軽金属工業を提訴した。
裁判所は、
「住友軽金属工業の団体定期保険の運用について従業員の福利厚生の拡充を図ることを目的とする団体定期保険の趣旨から逸脱したものであることは明らかである。
しかし、第三者の生命の保険については、その適正な運用を図るために、被保険者の同意を求めることとし、保険金額に見合う被保険利益の裏付けを要求するような規制もされていないことからすると、死亡保険一時給付金として住友軽金属工業から遺族に対して支払われた金額が、各種保険契約に基づく保険金額の一部にとどまっていても、被保険者の同意があることが前提である以上、そのことから直ちにこれらの各種保険契約の公序良俗違反をいうことは相当ではない。
また、住友軽金属工業が、団体生命保険の本来の目的に照らし、保険金の全部又は一部を社内規定に基づく給付に充当すべきことを認識し、各生命保険会社に確約したとしても、このことは、社内規定に基づく給付金を超えて死亡保険金を遺族等に支払う根拠とはならない。
また、他に住友軽金属工業と各生命保険会社において、住友軽金属工業が受領した保険金の全部又は社会的に相当な金額を遺族補償として支払う旨等の合意の成立を推認すべき事情も見当たらない。
社内規定に基づく寧ろ、死亡時給付金につき、実際の運用状況を踏まえて、住友軽金属工業が、社内規定に基づいて給付額を超えて、受領した保険金の全部又は一部を遺族に支払うことを明示的にはもとより、黙示的にも合意したとは認められない」とした(最判平成18年4月11日)。
[解説]
労働者の同意のあるなしは実体のない観念である。労働者には生産関係を土台に自由意思がない。趣旨目的も公序良俗も実体のない観念である。これらは事実関係の確定の基礎とはなりえない。
効力は自然に浸透していくのではない。実体のないものを、契約という法律行為を通じて実体関係を形成し、当該法人資本は、労働を疎外して保険金の収受という不労所得を得ているのであるから、裁判所は、実体がないという逃げ口上は主張できないであろう。実体関係は成立している。
当該事例の保険契約は、取消事由に該当するのだ。保険金を収受して労働者に渡さずに、保険会社に保険料を支払い続けるということは、保険会社に投融資をしている国際金融資本が、金融機関に国債を発行させて、保険会社に、契約者から受け取った保険料で国債を買わせ、別の金融機関に国債を売って、銀行が紙切れをフィクションして戦争に投融資されるのであるから、資本は、国際金融資本の利潤増殖と、疎外労働を土台に騙しとった商品に付与された価値で捏造された、中央銀行との資本関係を土台とした、国際金融資本に付与された紙切れをフィクションする権利の永続に貢献し、そのおこぼれを得ているということである。
国債の返済は、労働者の給与から源泉徴収して労働者に負担させている。保険料は、労働者が支払っているということである。労働者は、法人資本との生産関係、フィクションされた資本関係に基づいて疎外労働をし、労働力の再生産をさせられ、健康診断を受忍し、放射能を浴びせられ、癌保険に入らされて、癌をフィクションされ、放射線を浴び、抗がん剤を投与される。そうすると、保険金全額は、労働者に支給されていなければならないであろう。
資本は、労働の疎外を土台に利潤を得ていることは事実であるから、費用損失は資本が負担しなければならず、退職給与を含めた給与と法人の損失を相殺することはできず、保険金を得て、労働者に求償を求めることはできないものと解さなければならない。
上記の団体定期保険の問題は、リスクという実体のない観念の問題ではない。現実に実現した既成事実である。納税者は、やたらと節税を連呼して保険商品を売りつけたり、借入を勧めて、納税者のためと宣う税理士の何と面の皮の厚いことよ!納税者は、保険商品を売りつけたり借入を勧める税理士との契約には注意しなければならない。