法人が購入した建物を他の経済実体に贈与した場合に、みなす譲渡を規定した消費税法4条4項2号は適用されるのか。

資本は交換によって収益が実現するのではない。

すなわち、無償譲渡の場合、無償で譲渡したことから収益が実現し、その収益から金銭を買い手に贈与したのではない。

無償譲渡から収益が実現するとしてしまうと、価値属性を付与してそれが市場価格であるとの方便を付け加えた額に現実に得た紙切れに付した価値が加わることとなってしまう。

無償譲渡も有償譲渡も収益は労働の疎外によって実現する。経済上、実体上の贈与される価値は市場価格である。

しかし、消費税法4条は、法人が、その他経済実体の内、当該法人の役員に無償又は低廉で譲渡した場合にのみ、時価による譲渡があったものとフィクションして時価相当額の課税売上があったこととするのみで、役員でないその他経済実体(法人、登記を経ていない法人問わず)に贈与した場合にはこの当該条文は適用されず、課税仕入のみが建つこととなってしまうのである。

登記をしていない法人が譲渡とフィクションされるのは、当該建物を消費し、又は使用して継続して生活のみをした場合であり、他の経済実体(法人、登記を経ていない法人問わず)に贈与した場合には譲渡とみなされて建物の時価相当額の課税売上が建つことはない(消費税法4条4項1号)。

購入した建物を当該法人又は他の経済実体の労働者に貸し付けることなく、贈与した後に贈与した建物は課税事業用に購入したのであるとの方便を付け加えることができてしまうのである。

「課税事業用」という目的という実体のない観念を方便にすることができてしまうのである。国際金融資本が民間銀行を通じて資本関係のある産業法人に建物を買わせ、借入をさせ、労働を疎外させ、利子収入を得て、建物を他の経済実体に贈与させ、持株法人にさせ、買収し、消費税、法人税の負担ー寄附金課税は内部留保が大きい程有利ーを軽減又はゼロにすることができてしまうのである。