[事実関係]
A社は、A社に付与された公開法人B社の株式を現物出資してC社を設立した(株式は架空資本であるが法律上は現物とされる)。
税制適格組織再編に該当するとして非課税であるとした。A社は、C社の株式はGregory夫人に分配される(Spin-off分割)(分割の段階における内国歳入法第112条(g)により税制適格株式交換であると解していた。)。
C社は解散し、Cに付与されていたB社株式は清算手続においてGregory夫人に分配され、課税は実現しなかった。
Gregory夫人は、C社の解散により交付されたB社株式を引渡し、譲渡課税で申告した。
[解説]
最高裁は、C社の設立が租税回避目的で設立され、組織再編税制として認めることができず、見せかけの取引(Sham transaction)であるとした。
租税回避目的というのは実体のない観念である。
C社は、法律行為を媒介に疎外労働をさせて商品、労働力商品を引渡して紙が交付されなければ、紙が交付されても紙に価値が付与されなければ、産業資本は資本増殖できず、生活ができない。
A社は、国際金融資本との資本関係から疎外労働をさせ、資本を増殖させ、配当を得ざるを得ない。
C社は、疎外労働をさせたことによる利得を享受している。
配当は法人税課税前の利益から配当される。C社の架空資本が付与されたA社は、疎外労働をしたことによる利得を分配される。
A社株を付与されたGは疎外労働による利得を享受している。資本を貸出して疎外労働をさせたことによる資本増殖の過程について、当該投資の源泉は、誰かということでGに原価のない配当所得の課税がされるということになるであろう。
架空資本の引渡しによる、架空資本が交付された経済実体からの送金に付与された価値は、現実には配当収入である。
組織再編税制の規定は、租税回避目的の有無ではなく、現実に各段階において所得が存在し、資本関係に基づいて、適用がされずに課税が行なわれると解される。