[事実関係]

 米国金融資本家に所有されている米国法人のグループ法人に投融資された日本の内国法人に、当該米国グループ法人が日本内国法人株を譲渡し、投融資して設立されたオランダ内国法人が投資をして匿名組合契約を結び、オランダ内国法人は、当該匿名組合持分を譲渡して、投融資を行い別のオランダ法人を設立した。

被告税務署長は、オランダ内国法人が日本内国法人から受けた匿名組合分配金は、オランダ内国法人が日本国内に有する恒久的施設を介した事業から生じた所得であるとして改正前法人税法138条1項に規定する国内源泉所得及び日蘭租税条約8条1項に規定する企業の利得に当たり、法人税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分を行った。

第一審、東京高裁は、匿名組合契約が民法上の匿名組合に該当しないこと、日本子会社の事業所が、オランダ法人の恒久的施設に該当せず、源泉地国である日本に課税権がないこと、利益分配金は、23条のその他所得であるとして原告オランダ法人の主張を認容した(東京高判平成19年6月28日)。

[解説]

日本にある子会社も、米国法人も、オランダ子会社も、資本関係所有関係はあるものの、全資本家を所有する金融資本家との経済関係上、自由意思に関係なく法律行為を媒介に各々が所有する経済関係、その土台となる現金資産の法律上の所有を社会に認めさせざるを得ない以上、各々実体のある法人である。

子会社の恒久的施設が親会社の恒久施設ということにはならない。子会社の労働者から搾取した留保所得の所有はアメリカ金融資本家である、と留保現金に規定されるが、配当は現実の所有はアメリカ法人資本家に還流するが、経済実体に即して言えば、オランダ法人が事業課税を受けて、アメリカ金融資本家が配当課税を受ける関係がある。

民法上の組合を成立させる契約であれば、オランダ法人が日本国内において事業を行っているから、日本において課税を受け、納税原資は、現実には、その所有者であるアメリカ資本家が負担するということになる。

土台となる経済関係がなくしてアメリカ金融資本家との資本関係によって、法は創造又は不創造とはされないから、アメリカ金融資本家が、当該匿名組合契約前に日本の法律の存在を知っていたか否かという問題は成立し得ない。

現実には任意組合は存在しえないのであるが、民法上にいう任意組合の管理権に近い出資者募集をするしないについて組合員が参画することに自由意思はない。全ての経済関係においてオランダ法人に自由意思はない。

債権法上の効果なる方便の問題ではなく、現実には営業者の財産は組合において存在せず、組合に記帳という法律行為がなされている資産はアメリカ国際金融資本家の所有である。。匿名組合員からの出資によって、現金に所有される者が現実には投資者であるが、営業者であるとされていること、資本家との生産関係により第三者には、営業者が代表者であることに自由意思はない。現実の経済関係を疎外して、アメリカ金融資本家の経済利益を優先することを、資本関係を土台に、法を手段として認めさせて、民法上の組合に該当しないから課税できないと司法もせざるを得なかった。

オランダ法人を所有するアメリカ国際金融資本家の租税回避の目的という実体のないものが問題となるのではなく、アメリカ金融資本家が、その所有する経済関係、資本関係を土台に現実に税負担を免れたという事実関係が問題となる。租税条約は二重課税の排除という方便により、二重非課税となっている。匿名組合の営業者の所得から利益分配金が控除されている場合には、源泉地国の課税を認めると租税条約10条8項はいう。

現金を土台とした収益、所得を土台とした決算申告は法律行為であり、それを全資本家に認めさせたのであるから、源泉地国は課税しうるということになる。