運転手が運転していない間にとる、ビル管理の労働をする労働者がとる仮眠時間は労働時間に解されるか。
仮眠の間も、労働から解放されていないこと、生産関係が継続すること、仮眠時間も呼び出しや電話、接客に応じなければならず、労働準備、労働待機時間であって、資本関係、経済関係、生産関係上実作業を行うことが義務付けられることがあるから、労働時間である。
よって、仮眠が法定労働時間内であっても、時給を減額してはならないし、時給が労働を疎外している場合には、疎外せずに労賃に価値を付与して法定労働時間の給与を計算し、仮眠時間もこの中に含めなくてはならないし、労働時間外労働であるときは、仮眠労働時間も実作業を行った残業時間と同じく割増賃金を支払わなければならず、一部又は全部をサービス残業としたり、割増賃金を減額できないものと解さなければならないであろう。
この点につき、 医師の当直について、手当だけではなく、割増賃金を支払わなければならないとの判決がある(最判平成25年2月12日)。
仮眠時間についていかなる賃金を払うかの合意があったか否かという実体のない観念に基づいて賃金請求権があるかどうかの問題ではなく、現実の労働があったのであるから、労働者からの請求があったか否かに関わりなく資本は生産関係上支払う義務がある。呼び出しや電話が希であっても、現場から離れて生活過程を行うことはできないのであるから、私的時間と解することはできないであろう。