雇用保険は、適用事業年度に雇用者数(雇用保険被保険者)を5人以上(中小企業者等は2人以上)且つ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした事業主が、法人税法上又は所得税法上の税額控除が受けられるというものである。
上記以外の要件は、
(1)青色申告書を提出する事業者であること
(2)適用事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
(3)適用年度における給与等の支給額が、
前事業年度の給与支給額+(前事業年度の給与支給額×雇用増加割合×30%)以上で
あること。
(4)風俗営業等を営む事業主ではないこと
これは、生殖による労働力の再生産を妨げたことによるペナルティである。
雇用促進税制は、使用者都合という実体のない観念を用いて適用前後の労働者数を比較しているから、労働者に資本関係に基づく生産過程における瑕疵による損失を負担させて退職させる、労働者に義務を課して辞めさせないことで雇用促進税制の適用を受けることができてしまう。
雇用者には役員を含まないから現実には労働者であっても役員の属性を付与して支給金銭に低い価値を属性を付与すれば雇用促進税制の適用を受けることができてしまうのである。比較給与等支給額の算式を見ると、既存の労働者の給与の価値を上げることなく、新たにパート、アルバイトのような準正社員、日雇いを雇用し、疎外労働をさせ支給した金銭に安い価値を付与することで適用することなができてしまうことがわかる。
雇用促進税制は、奴隷をリクルートし、フィクションさせた資本関係により、労働を疎外させて利潤をコントロール、処分させて、実体のない国債の返済を、租税、雇用保険の方便を付して負担させてきたことにより、おこぼれを代理人に与えることである。
雇用する労働者を増加させることができるのは、国際金融資本との資本関係に基づいて、これまで疎外労働による資本増殖を継続してきた大法人である。
補助金が交付されるのも課税所得のある法人のみである。雇用する労働者の数が増えれば人件費総額は増えるが分業により疎外労働の量も増えるから資本は増殖する。
補助金は労働者に分配されず、石油、原子力、戦争産業に投融資される。雇用促進によるメリットを享受できるのは搾取法人(sweatsop)である。