最終仕入原価法を採用している法人で、事業年度末に所有している棚卸資産の一部につき、法人税法施行令68条1項1号に掲げる特別の事実に該当するものとして、評価額が0に等しいとして期末棚卸高に計上しなかった場合でも、売上原価の額に含まれたことになるから、損益計算上は同じであるという主張がある。決算日付が付された段階で計上した評価損控除後の価格が、決算申告を行った段階で当該商品を引き渡して得た現金に付されて、実体あるものとして決算という法律行為において実体あるものと社会に認めさせることをしなければ、評価損の計上は否定されるであろう。
これについては、商品の返品による期末在庫を評価損を計上することなく、評価替え後の価格をストレートに期末棚卸高に計上したことにつき、評価損を計上する状態であることが足りる証拠がなく、損金経理による帳簿価額の減額を行っていなかったとする裁決がある(平成23年3月25日裁決)。