事業所得の経費、法人所得の経費は事業収益から支出され、給与から法人の経費、事業所得の経費は支出されないという建前となっているが、現実には、資本関係、生産関係から給与から経費を負担することを余儀なくされることがある。労働者は、勤務していた経済実体の国際金融資本との資本関係、勤務していた経済実体の生産関係から退職を余儀なくされる。労働者は資本、生産手段を有しない。給与は生産関係上、生活の土台となるものであり、資本の所得の源泉、基礎となるものであってはならないから、所得税が課されない失業給付も国際金融資本との資本関係、生産関係を土台とする生存義務によるものであるとすれば、資本、生産手段を有しない労働者は肉体と経済過程に属性を付与したところの時間を売らざるを得ず、労働者の負担とすることはできず、就職活動に要した費用が失業給付に含まれていると解することはできないであろう。よって、特定支出控除に挙げられている項目は飽くまで例示であって、限定列挙したものと解することはできないから、現実の実務としては認められてはいないが、在職中、内定後、試用期間中に負担を転嫁させられた交際費、就職するまでに要した就職活動の交通費、宿泊代、書類作成代は給与所得を得る過程の、給与所得の基礎となるものであるから必要経費に算入することができると解することもできるのではないかと思われる。