[事実関係]

借地権の取得について、「原告会社は,、訴外A社から営業譲渡を受ける際に本件土地建物と共に同建物所有のための本件土地使用権を譲り受けたものと認められるところ、右土地使用権の性質は、本件建物が鉄筋コンクリート造りであって、長期間にわたって使用することが予定されている大規模かつ堅固な営業用建物であること、訴外甲のAに対する実質的経営権が右営業譲渡の際に失われ、A社と原告会社とは同族会社とは言えなくなったこと及び営業譲渡公告、財務諸表の各記載に照らすと、借地権と認めて差し支えないものと解される。もっとも、右借地権の対価たる権利金、地代の収受がないからといって借地権の認定を妨げるものではない。また仮に使用貸借であったとしても、本件建物のように堅固かつ大規模な営業用建物の場合には、使用収益の終了しない限りは使用貸借は終了しないものと解されるのであるから、借地権価格相当の価額が存するものと解して差し支えないというべきである」とするものがある(横浜地判昭和59年4月18日)。

[解説]

土地、建物、権利には価値属性は備わっていない。土地、建物、権利は所有しているだけでは資本を産まない。同族、非同族共に資本関係に基づいて現実にそれを貸与することにより労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁することにより資本を増殖させ価値属性を付与したことを、中央銀行の所有関係、国際金融資本と各経済実体の資本関係に基づき社会に認めさせることを余儀なくさせる。社会における資本関係を土台に、借地の価値は低く付与され、借地の減価分は底地に転嫁するという方便が用いられる。建物の基礎となる土地の所有を貸与して疎外した労働を資本に転嫁した過程を社会に認めさせない限りは、建物を貸与して疎外した労働を資本に転嫁した過程を社会に認めさせることはできない。