[事実関係]

繰延資産の金額に算入された交際費費等についてした更正処分につき、

「交際費等の損金不算入額の計算に当たり、原処分庁が支出交際費等の額に含めた本件交際費等の額のうちには、原価算入額が含まれているから、当該金額のうち損金不算入額から成る部分の金額は、税務調整により減額し、所得の金額の計算上損金に算入すべきである旨主張するが、

原価に算入された交際費等の額のうち損金不算入額に対応する部分を特定することは非常に手数を要することであるので、法人自らの決算又は申告調整において原価に算入しない旨の処理をした場合には、法人の計算をそのまま認めることとしているところであり、

原処分庁が更正又は決定の処分を行うに当たって、必ず損金不算入額に対応する部分の金額を原価外のものとして資産の取得価額又は繰延資産の金額を減額しなければならないという性質のものではなく、原処分庁が減額しなかったからといって違法ないし不当というには当たらず、

これを違法とする請求人の主張は独自の見解であって採用できない」

とした裁決例がある(昭和56年7月1日裁決)。

[解説]

更正処分には価値属性は備わっていない。質問検査の過程を経て交際費という事実確定をしたのであるから、交際費の根拠となる事実が存在し、租税の、納税義務のある経済実体の留保現金を徴収して、国際金融資本の現金集中させるという過程に鑑みれば、現実の所得を把握し増額する義務があるが、経済上負担する義務がないものを労働者に負担させているのであるから、調査によって所得が減額する事実があれば、減額する義務もある。所得の減額となる事実を把握したのであるから、交際費等の損金不算入額に対応する部分の金額は、国税通則法23条2項の規定上減額しなければならないであろう。