地方公共団体に支出した金員について、「請求人は、本件金員は地方公共団体に対する純然たる寄附金であって、負担金ではないから、法人税法第37条第3項第1号の規定により全額損金算入が認められるよ主張するが、本件金員の支出が本件ゴルフ場の開発行為の許可のための条件とされており、当該市長は本件金員を開発等指導要綱に基づく本件ゴルフ場の開発行為に係る水道敷設工事の負担金として採納することとしていたことが認められるから、請求人は、本件ゴルフ場の開発行為に起因して本件金員を支出し、これによって、その許可を得るという特別の利益を受けたことになるので、当該市長が本件金員を寄附金として採納してとしても、これを地方公共団体に対する純然たる寄附金とする余地はない。そして、上記水道敷設工事は、本件ゴルフ場の開発行為に起因して着工されたものであること及び請求人が上記水道敷設工事により敷設された導水管を現に利用していること、また、本件金員を支出した効果が1年以上に及ぶことは明らかであるから、本件金員は、繰延資産に該当する」とした裁決例がある(平成元年12月5日裁決)。

社会においては、現金を支出し、土台となる資本関係、経済関係、生産関係なく権利義務が実現し、法律行為によって社会に認めさせることを余儀なくさせるのであって、現金を支出すれば自動的に権利義務が生じ浸透するものではない。地方公共団体名義に投融資して、水道敷設工事をし、水道を生産手段にして労働者に貸与し、労働を疎外し、資本に転嫁していて、国際金融資本との資本関係から、地方公共団体を所有する国際金融資本に現金を寄託することにより許可を取得するという法律行為を通じて、水道を使用して資本に転嫁する過程を行う権利を、経済過程における期限を決めずに社会に認めさせざるを得ないのであるから、地方公共団体に投下した金員は繰延資産となる。