[事実関係]
土地所有に関する和解金と土地の取得価額については、「土地所有権の帰属について訴訟上の紛争を終息[原文ママ]させ、取得時効に基づく請求人の所有権を確認せしめることを条件として支出した和解金は、当該土地の取得価額を構成するのが相当である。すなわち、和解金を支払うことにより、所有権移転登記手続が可能となり、この資産の利用価値と交換価値が完全に確保されるに至るからである」とする裁決例がある(昭和52年3月31日)。
[解説]
土地を経済上所有する経済実体は、所有権を登記することにより、既に疎外した労働を資本に転嫁した金額、疎外された労働が転嫁された金額と引換えに取得した現金商品に付与された価値属性を社会に認めさせることになる。時の経過によって自動的に所有していることが浸透していくのではなく、経済実体は、法律行為を通じて権利義務を社会に認めさせるのである。